中立的アドバイザーは見える化できるのか | 森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・保険・住宅ローンの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 30代のFP資格者です。
政府などが推進する資産所得倍増プランに関連して、中立的アドバイザーをFP等の中から公的機関が認定し、リスト化・公表するという話が約1年前に浮上しました。

現在、独立系FPを目指しており、その動向が気になります。

【回答】 ご質問にお答えします。
私も約1年前から議論の動向を追っていますが、FP等を中立的(顧客の立場に立った)アドバイザーとして認定する方針が打ち出された後、具体化のところで話が止まっているようです。

まず前提として、金融商品を販売せず、顧客からのみ報酬を得ていることが現時点での中立的アドバイザーの認定基準となっています。

これまで日本には、ほとんど存在しなかった新業態のため、現時点で各方面から下記の指摘を受けているようです。

1) アドバイスの中立性を公的機関が認定できるのか
2) ビジネスとしての採算性が見通せない中で担い手はいるのか

1)の課題について
公的機関が中立的(顧客の立場に立っている)と認定するのは、正直難しいのではないかとみています。

中立的かどうかは、アドバイザーの内心によるところが大きいからです。

仮に公的機関が中立的と認定した人が期待通りの言動をしてくれなければ、認定した側の責任を問われかねません。

一方、客観的な事実として判定できるのは、そのアドバイザーが受け取る報酬が透明化されているかどうかです。

顧客から直接受け取る報酬は、もちろん透明性がありますが、顧客以外から間接的に受け取る報酬も、その都度事前に開示されることが顧客にとっての安心材料になります。

2)の課題について
職業として成り立つ環境がまだ整わない中で新業態に参加しようとするアドバイザーは、確かに限定的になりそうです。

例えば、現在、金融機関に勤務していたり、金融商品仲介業をしていて、金融商品の販売に携わっている人たちは、退職か廃業をしないと、新業態には参加できないことになります。

もしこの課題に解決策があるとしたら、既存業態とのハイブリッド化だと思います。

当面の間は、移行期間として、既存業態と新業態を並走させる必要があるのではないかとみています。

今までガソリンで走っていたのに、いきなりクリーンな電気のみといわれても、急には対応が難しいのと一緒です。

また、米国や英国と比べ、大幅に遅れているアドバイザー向けプラットフォーム(ソフトウェア)の整備が現状での最重要課題なので、すでに一定数の利用者がいて、プラットフォームが存在する金融商品仲介業の枠組みを活用するのが現実的ではないかと個人的には考えています。

その際、上記1)に書いた報酬の透明化までは、少なくともクリアされている必要があると思います。

新しい顧客本位の枠組みがどうなるのか、今後も追っていこうと思いますが、いずれにしても独立系FPにとって、報酬の透明化(見える化)は、顧客との信頼関係づくりにおいてとても大切な要素といえます。