顧客本位の金融営業はどう実現されるのか | 森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・保険・住宅ローンの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 50代・男性です。
一部の金融機関で仕組み債の販売に関し、不適切な営業があったとの報道を目にしました。
以前に、郵便局でも不適切な保険営業が問題になったことがあると記憶しています。

今は状況の改善に向けた動きもあるようですが、具体的にどうしたら顧客本位の金融営業は実現されるのでしょうか。

【回答】 ご質問にお答えします。
顧客本位の金融営業がどうすれば実現されるのか、は本当に永遠のテーマです。

不適切な営業が行われる背景には、おそらく「利益至上主義」があるのだと思います。

例えば、中古車販売の業界でも、利益至上主義の問題が最近表面化し、大きく報道されました。

華々しい宣伝による好印象しか見えない消費者は、会社の実態がよくわからないわけです。

また、利益至上主義とセットになりやすいのが過度な営業ノルマです。

私が見聞きする範囲でも、証券営業、保険営業の分野で過度な営業ノルマの存在を何度か聞いたことがあります。

消費者の不安を払拭するためには、透明化が最大のポイントになると考えています。

すなわち、担当者が営業ノルマを負っているのか、負っているとしたら具体的にどの程度になるのか、開示されるべきと思います。

それらが透明化されれば、より安心してサービスを受けられるのではないでしょうか。

消費者側がとれるアクションとして、現状では、担当者に直接実情を聞いてみるしかありません。

ざっくばらんに教えてもらえないようなら、何かしら問題があるのだろうと察することができます。

もちろんある程度の目標設定をしないと、経営上の必要な成果を達成できないという事情もあります。

無理のない目標設定をして、顧客本位を貫いている会社も実際にあるのだろうと思います。

ちなみに、自分の屋号で活動する独立系FPと呼ばれる人たちで、金融機関や保険代理店等との雇用関係のない独立自営のFPは、組織にしばられることがないため、営業ノルマとは無関係なことが多いです。

少なくとも自分の意思で営業ノルマを回避することが可能です。

つまり本気で顧客本位のアドバイスを実現したいと思えば、独立系FPが向いているということです。

個人的に、独立系FPの業界がもっと発展したらいいなと思うのは、顧客本位を実現しやすいという理由も大きいです。

どこかの会社に勤めていたら、その組織の方針に従わざるを得ないことが多いと思います。

仮にその会社が利益至上主義なら、従業員と消費者の両方にしわ寄せがいきます。

私自身は、利益至上主義の会社に勤めた経験はないのですが、FPとして独立したての頃、先輩FPは、保険営業、不動産営業などの分野で利益至上主義の会社に勤めた経験のある方も少なくありませんでした。

ある先輩FPは、FPとして独立してからは、毎日が充実してストレスはまったくない、とおっしゃっていました。

ストレスなく毎日笑顔で仕事ができるとは素晴らしい。

不本意な営業を強いられている多くの人が解放される可能性を感じ、ぜひ取り組んでみたい、と当時思いました。

FPが仕事で幸せになれば、相談サービスを利用する側も幸せになり、幸せの輪がどんどん広がっていきます。

また、消費者側の負担という意味でも優位性はあります。

というのも、金融機関を通さずにアドバイスを直接買うという話なので、例えば、農家から直接、野菜を買うのと同じです。

中間マージンは、理屈のうえでは削減できるはずです。

ネットを活用できる時代だからこそ使えるテクニックといえます。

まとめますと、顧客本位のサービスは、よく勉強して消費者自身が育てていかなければならないということです。

なんとなく受け身でサービスを選ぶのではなく、自ら意識的に情報を探して、アドバイザーを「人」で選ぶのが理想的と思います。

独立系FPに相談するメリットは何ですか?と問われた時に、組織に相談するか、個人に相談するかの違いです、と説明したら、それでようやく理解しました、との反応をいただいたことがあるので、ここにも書いておきます。

賢明な消費者になるには、どう考え、どう選択すればよいか、一度立ち止まって考えてみた方がよさそうです。