お子様の教育費を考える際、
最後の壁として立ちはだかるのが大学の学費です。
仮に幼稚園から大学まで公立に進んだ場合、
学校納付金(※1)の合計は約700万円。
このうち大学にかかる費用は約484万円で
全体の69%強を占めます。
この金額を支払うために多くの世帯が
奨学金や教育ローンを
利用するわけですが、
もう一つ知っておきたい制度に
「授業料減免制度」があります。
授業料減免制度は、
学ぶ意欲があるにも関わらず
経済的な理由で
修業が困難な学生を支援するために、
授業料の全額または一部を免除する制度です(※2)。
「免除」ですから、
授業料相当額の給付を受けたも
同然で利用価値が高いはずですが、
貸与型の奨学金や教育ローンに比べ
取り上げられることが少ないのが実情です。
そこで今回は、授業料減免制度の概要と
利用時の注意点を掘り下げてみることにします。
対象者は主に国公立大生
この制度は、
文部科学省の規定や
国からの支援のもと、
すべての国公立大学で整備・実施されています。
一方、私立大学では授業料収入が
大学の経営に直結するという観点から、
実施されている大学はわずかしかありません。
実際、文部科学省の資料(※3)によると、
平成25年度に本制度を利用した
国立大学生の延べ人数(※4) は約10.4万人で、
全体のおよそ23.2%です。
それに対し、私立大学では約3.4万人で
全体の1.7%程度となっています。
したがって、利用できるのは
主に国公立大学の学生と思って良いでしょう。
ただし、
私立の中には
多数の給付型奨学金制度を
持っている大学がありますので、
単純に優劣はつけられません。
入学前に利用を確認できる場合がある
授業料減免制度は通常、
(1)学力基準
(2)家計基準
の両方を満たした世帯の学生が利用できます。
これらの基準は
公表されていない大学もありますが、
(1)学力基準は、1年次は高校や
入学試験時の成績が、
2年次以降は前の期までの成績が
基準となるのが一般的です。
一方、
(2)の家計基準は目安となる
収入金額等が公表されている
大学もあります。
たとえば、新潟大学が公表している
モデルケースによると、
4人世帯
(本人・会社員の父・無職の母・高校生の妹)
の場合の半額免除要件は、
自宅通学の学部生は
父の給与収入が645万円以下、
自宅外通学の学部生は
692万円以下となっています。
他の大学でもモデルケースや
詳細な計算方法を
掲載している場合がありますので、
入学を検討中の方は一度確認してみましょう。
制度利用時の注意点
各大学では授業料減免に
充てられる予算が決まっており、
家計基準を満たしていても
利用できない場合や、
全額ではなく一部免除となる場合があります。
家計基準ぎりぎりの場合は
過度な期待は禁物です。
また、減免になる世帯の
優先順位も各大学で異なり、
対象者を全員半額免除としたのち、
予算内で家計の厳しい世帯から
全額免除にする方法や、
全額・半額それぞれに
予算を設ける方法等があります。
ただし、
家計基準を
満たせなかった世帯でも、
家計状況が変われば利用できるケースがあります。
特に覚えておきたいのが
兄弟姉妹の進学で、
第一子の大学入学時は
利用できなくても、
第二子が大学等に
入学することで家計状況が厳しくなり、
第二子に加え、
申請すれば第一子も
次期から利用できる場合があります。
「弟妹が進学したら兄姉も申請をし直す」
と覚えておくとよいでしょう。
講師の方にも、
2歳上の兄と在学が重なった
2年間は全額免除、
残りの2年間は半額免除
という実例がありました。
単純計算で
160万円以上
家計が楽になったことなります。
同じように本制度のおかげで
家計が助かったという友人が
多くいた一方で、
大学からの情報を
見落としたために利用できず、
後悔していた友人もいます。
このように、
お子様からの情報を待つだけでは
機会を逃してしまう場合もありますから、
保護者が積極的に情報を探しに行く心構えが大切です。
制度の申請時期は
各大学で異なりますが、
新入生は入学手続きと同時、
2回目以降は次の期がはじまる
2か月前~直前が一般的です。
申請期間の少し前から学内の掲示板や
学生用のWebサービスで告知されるはずですので、
見落とさないように気を付けましょう。
大学の学費と聞くと奨学金や
教育ローンばかりに捉われがちですが、
同じく家計の厳しい世帯への救済策である
授業料減免制度を活用し、
お子様と一緒に学業成就を成し遂げたいものです。
(※1)幼稚園、小学校、中学校、高校は文部科学省・平成24年度「子どもの学習費調査」より生活経済研究所長野が算出。
大学は日本政策金融公庫・「家計における教育費負担の実態調査(平成24年度)」より
(※2)他にも学業やスポーツの成績優秀者が受けられる免除制度があるが、家計状況は考慮されないのが一般的
(※3)平成26年8月29日「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」補足資料
(※4)学部生のみ。実際に減免を受けた実人数ではなく、年度内で減免を受けた累計の人数(同年度内で2回以上減免を受けた学生はその回数を計上)









