フランスの「第77回カンヌ国際映画祭」で「哀れなるものたち」(2023)のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが主演で再タッグを組んだ映画「憐れみの3章」(原題:Kinds of Kindness)が、コンペティション部門でワールドプレミア上映された。
会場には、ランティモス監督、エマ・ストーンのほか「哀れなるものたち」にも出演したウィレム・デフォーとマーガレット・クアリー、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」(2023)や「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(2021)など話題作への出演が続くジェシー・プレモンス、「ザ・ホエール」(2023)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたホン・チャウなど今を時めく俳優が集まった。
さらにランティモス監督の「女王陛下のお気に入り」(2018)にも出演したジョー・アルウィン、「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」(2022)や「マイ・エレメント」(2023年※声の出演)などの大作で活躍するママドゥ・アティエ、ドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」(2019)、「ハンガー・ゲーム0」(2023)で注目を浴びる新鋭ハンター・シェイファーらキャストが勢ぞろい。会場に鳴り響く拍手と喝采に包まれた感動的な一夜となった。
ランティモス監督にとってカンヌ映画祭への出品は4回目。過去3回ではすべて主要賞を受賞(以下↓)。
2009年カンヌデビューとなった「籠の中の乙女」で第62回カンヌ国際映画祭“ある視点”部門ある視点賞受賞。
2015年「ロブスター」がコンペティション部門審査員賞を受賞。
2017年「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」は、コンペティション部門脚本賞を受賞)。
前作「哀れなるものたち」(2023)は、昨年の「第80回ベネチア国際映画祭」で最高賞の金獅子賞を受賞。「第96回アカデミー賞」ではエマ・ストーンが「ラ・ラ・ランド」(2017)に続く2度目の主演女優賞に輝いたほか、ほか計4部門受賞を果たした。
今回は、選択肢を奪われ、自分の人生を取り戻そうと格闘する男、海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官、卓越した教祖になると定められた特別な人物を懸命に探す女…という3つの物語から構成される。
ランティモス監督が描く、全く異なる展開を繰り広げる3つの物語で、同じ俳優たちがまるで違う設定で、違う人物を演じるというオリジナリティあふれる作品となっている。
共同脚本は「籠の中の乙女」「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のエフティミス・フィリップとのタッグが復活。
ランティモス監督ならではの予想不可能で圧倒的な余韻を残す、独創的世界を描き出している。
本作を鑑賞した批評家たちのコメント。
「『憐れみの3章』は大胆不敵な選択を厭わない監督の、注目せずにはいられない最新作だ」(The Playlist)。
「ランティモスとフィリップ(脚本)は、気まぐれな神々が人間の無防備な運命を操るように、主人公たちを翻弄する」(ファイナンシャル・タイムズ紙)。
「この映画が仕掛けた心理ゲームの中で、選び抜かれた俳優の演技の幅が歓びをもたらす」(デイリー・テレグラフ紙)。
「じっくり観れば観るほど、パズルのピースがはまり始め、共通のテーマが浮かび上がってくる」(ハリウッド・レポーター誌)。
エマ・ストーンも話題の監督の作品に恵まれ、快進撃が続きそう。
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