電子新聞いよいよ実用化 欧米各紙、年内に本格実験 | フリーメディア懇話会(通称「フリコン」)

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 紙のように薄くて軽く、文字や動画をダウンロードして読める「電子ペーパー」を使った新聞の発行に、欧米の大手出版・新聞社が本格的に乗り出すことが6月12日、分かった。年内に実験を開始し、来年初めには定期購読者向けに簡易版の発行を始める計画という。

 「電子ペーパー」はインターネットの速報ニュースに押されて部数が減少傾向にある新聞業界の“最終兵器”ともいえる技術だ。米男優トム・クルーズの主演で大ヒットしたSF映画「マイノリティ・リポート」(2002年、スティーブン・スピルバーグ監督)が描いた未来社会。新聞は掲載写真がすべて動画で、新しいニュースが次々と自動的に表示される…。この映画の公開からわずか4年足らずで、この未来の新聞が現実のものになろうとしている。ロイター通信によると、電子ペーパーによる新聞発行の実験は、米大手出版社、ハーストと、英メディア大手、ピアソンが発行する仏経済紙「レス・エコーズ」とベルギーの大手経済紙「ドゥ・テート」が年内の早い時期にスタートさせる。来年初めには簡易版を投入する意向という。電子ペーパーの技術は2000年の初頭から、蘭フィリップスやソニーなどが相次いで開発・発表している。今回の三者の実験では、ソニーと、フィリップス・エレクトロニクスから分離したハイテク企業、アイレックス(iRex)の技術を使うという。

≪動画表示も可能≫

 電子ペーパーは、紙のように薄く軽量で、折り曲げたり丸めたりといった柔軟性に富むのが特徴。電子インクを用いて文字や写真だけでなく、動画も表示できる。携帯電話やパソコンの画面より目にやさしいため、高齢者にもうってつけだ。具体的には、各新聞社のホームページからその日の朝刊の情報を電子ペーパーにダウンロードし、それを丸めたりしてスーツのポケットに入れ、通勤電車の中などで読むという形態になるという。ただし、現在は、ソニーの技術を用いる場合、電子ペーパーや情報読み取り機器などの購入費用が総額で300~400ドル(約3万4000~4万5000円)と高額なため、月ぎめで新聞を購読したり、読みたいときだけスタンドで購入する方がはるかに安い。しかし、大量生産により販売価格が下がれば、米アップルコンピュータの携帯型デジタル音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」のように爆発的に普及するとみる関係者も少なくない。

≪コスト大幅削減≫

 新聞業界はインターネットの速報ニュースに押されて発行部数が減少傾向をたどっているうえ、広告収入もネットに奪い取られている。米国新聞協会(NAA)などの調べによると、昨年10月から今年3月までの半年間に発行された新聞の総発行部数は前年同時期に比べて2.6%減少。全米の主要紙のこの半年間の平均発行部数を個別に見ると、サンフランシスコ・クロニクルのように前年同期比15.6%減という大幅ダウンを記録する社も出てきた。「電子ペーパー」が実用化されれば、新聞社は発行・輸送コストなどを大幅に削減できるうえ、新たな新規広告の獲得にも弾みが付く。「電子ペーパー」による新しい新聞は今後、最も有望な媒体になるとみられる。


(FujiSankei Business I) [6月14日]