~税制メリットと落とし穴、制度改正で何が変わる?~

老後の資産形成手段として注目される「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」。
2027年春にも、大幅な制度改正が予定されており、いま一度使う価値がある制度かどうかを見直すタイミングです。

iDeCoとは?

iDeCoは、原則自分で毎月掛け金を出し、そのお金を運用しながら老後に受け取る“私的年金制度”です。運用先は投資信託・定期預金・保険商品などが選べます。

現行制度のメリット

掛け金は全額所得控除
毎年の所得税・住民税が節税できる(例:月2万円で年間3~5万円以上の節税効果も)

運用益が非課税
通常20.315%課税される運用益がゼロに(受取時には課税)

受取時も優遇あり
一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が適用、年金形式では「公的年金等控除」が使える
※ これらの「控除」については今回は詳しくは述べませんが、通常の受取よりも税制優遇があるとご理解ください。

積立上限が今後大幅に拡大予定(27年春以降)
現在:企業年金なしの会社員は月2.3万円
改正後:最大6.2万円まで可能に(2.7倍)

加入可能年齢が延長予定(70歳未満まで)
今までは65歳未満(公的年金加入中)だったが、条件付きで70歳未満まで拠出可能になります。

知っておきたい【デメリット/注意点】

原則60歳まで引き出し不可
急な資金ニーズには対応できない(流動性が低い)ことが一番のデメリットと言えます。
掛け金の設定時にはライフプラン、家計の状況をもとに慎重に検討しましょう。

受給時に課税される
節税メリットがあるとは言え、最終的には「退職金」や「企業型DC」との合算で控除枠を超えると課税される可能性もあります。
受取時にはあらためて、受け取り方とその時の制度内容を改めて調べることが必要です。

「退職所得控除」の重複が制限へ(2026年以降)
退職金とイデコの受け取り時期が近い場合、控除を重複利用できないことが想定されます。
 ※現行は「イデコと退職金が5年以内」
  →26年からは「10年以内」に制限強化の予定

企業年金がある人は拠出枠が限られる
企業型DCやDB(確定給付企業年金)に加入していると、iDeCoの上限が月2万円など制限あります。
※ ただし27年以降は、「6.2万円-企業型DC・DBの額」という新しい算定方式に変わる予定です。

 

どんな人が特に注目すべき?

企業年金がない会社員や個人事業主・フリーランスの人

企業年金がない会社員の人は、現在でも掛け金上限が高め(月2.3万円)
→ 27年以降は最大月6.2万円まで拠出可能に!
個人事業主やフリーランスの人は、月額6.8万円(年間81.6万円)と会社員と比較して上限額が高く設定されています。
収入との相談になりますが、節税と資産形成を同時に実践することが可能です。
※ ただし、国民年金基金や国民年金付加保険料の支払いがある場合には、それらを合わせての上限額となります。

 

節税効果を最大限活かしたい中高所得者層

掛け金に対して所得税・住民税が減る分、実質的な手取り増加に直結します。

老後資金の積立をコツコツ継続できる人

長期運用に向いており、複利効果+非課税の恩恵が大きいため、コツコツと積立したい人にはもってこいの制度です。

 

まとめ ~iDeCoは活用すればするほど得する制度?~

制度の柔軟性や税制メリットは非常に大きく、今後の制度改正で拠出額の大幅増加や加入年齢の延長も実現する見込みです。

ただし、出口戦略(受け取り方)や他の退職給付制度との兼ね合いによって、節税効果が薄れる可能性もあるため、活用には一定の知識と計画が必要です。

 

迷ったときは、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談することが近道です。
資産形成に取り組むには、その時点からライフプランを見直すこともお勧めします。

FPに相談することにより、現在取り組んでいる資産形成についてのセカンドオピニオンや、保険などの固定費の見直しも可能になります。

 

FPドットコムでは、知識・経験豊富なFPをご紹介しておりますので、お気軽にご相談ください。

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