こんにちは、YUHです。
今月は国際学会 (ISMSC2026) でボルドー@フランス🇫🇷に行ってきました!
初めてのヨーロッパで街並みに魅了され、ただただ歩き回るだけでも楽しかった記憶があります。
カヌレ、ワイン、クロワッサン、チーズ、バケット、生ハム、ワイン、ワイン、ワイン、といった感じで毎日体重を増やし続けたことでしょう。
そんな国際学会にてポスター発表をみていると、興味深い発表内容をみつけました。
どうやら最近論文掲載にも至ったとか(Félicitations !!)
日本に帰国して数日後、研究室での雑誌会を行う順番が回ってきたということで、
そのときの論文を紹介してみることにしました。(今年度3人目の発表者なのに、ブログを書くのは筆頭なのなぜ)
大まかな分野としては有機系ではありますが、
光化学、触媒化学、電気化学、超分子化学、結晶学などなど、さまざまな分野の知識を
総合的に学ぶきっかけにもなりました。
ということで、
雑誌会で発表した論文について簡単ではありますが紹介させていただきます。
Supramolecular dye polymers for aggregation-induced photocatalysis
Barbieri, M., Cappelletti, D., Vaccarin, L. et al. Nat. Chem. (2026). https://doi.org/10.1038/s41557-026-02151-4
概要:凝集すると光触媒になるとは?--------
太陽光を使って水素や過酸化水素をつくることができれば、光エネルギーを化学物質の形で保存できます。水素は、燃料電池で発電すると水だけを生じるエネルギーキャリアとして利用できます。過酸化水素も、酸化剤や燃料電池用のエネルギー源として利用でき、液体なので水素より貯蔵や運搬がしやすいという利点があります。
そこで本研究では、有機色素を集めることで光触媒活性を高める「Aggregation-Induced Photocatalysis(AIP、凝集誘起光触媒)」を実証しました。有機色素は光を吸収できますが、水中で分子が自由に動くと回転やねじれによって光エネルギーをすぐに失ってしまいます。また、一般には色素が凝集すると、励起状態が消光されて反応性が低下することも問題でした。
Ðorđević先生とその共同研究者らは、ジスチリルアントラセン色素DSA²⁺を塩や対アニオンによって凝集させ、分子の動きを抑えました。その結果、光で生じた励起状態が保たれ、電子移動に利用できるようになりました。凝集した色素は、酸素を還元して過酸化水素を生成し、白金ナノ粒子とアスコルビン酸を加えた条件では水素も生成しました。
さらに、大きく成長した集合体よりも、短時間でできる小さな集合体の方が高い光触媒活性を示しました。小さな集合体では、反応物と接触できる表面が多く、励起状態も利用しやすいためと考えられます。
この研究は、分子を特別な形に並べて電荷を遠くまで運ぶのではなく、分子を集めて動きを止めることで、失われていた光エネルギーを水素や過酸化水素の生成に利用するという新しい光触媒設計を示しています。
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発表後には、さまざまな質問も頂戴しました。いくつか紹介しますと、
・活性酸素種(ROS)はどのような生成メカニズムを想定したらよいの?
・そもそもりん光は観測されるのか?
・電子線で結晶構造解析しているけど、論文中に記載している面取りの情報やface-on配向ということ (Fig. 2g) をどのように決定したの?(鋭い。)
・蛍光量子収率と光触媒活性の相関は?
などなど、でした。
重要なこととして、著者らは結晶性の高い色素集合体だけでなく、非晶質な誘導体でもAIPが起こることを示しました。
これは、AIPが特定の結晶構造や分子骨格に限られず、凝集によって分子運動を抑えられるさまざまな色素に応用できる可能性を示しています。
今後、どのような展開が行われていくのか、引き続き注目していこうかとおもいます。
以上、YUHの雑誌会(論文紹介)でした。
気温も高くなってきているので、体調に気をつけて夏をお楽しみください。
また、ボルドーの皆様、山火事にもどうぞお気をつけください。
ありがとうございました !
