お久しぶりです。林研究室M2のMANです。

ここ数日、記録的な寒波によって気温がぐっと下がりましたね。私は毎朝ホットコーヒーを飲みますが、最近は豆から挽くようになりました。寒い朝、寝起きに温かいものを取り入れると一日の調子が良くなる気がします。

 

さて、本日は私が紹介した論文についてブログを書きます。

タイトルは「ダイナミックB/Nルイスペア: 光誘起蛍光-燐光スイッチングによる構造変化とフォトクロミズム」です。

 

-----

室温りん光(RTP)はセンシングや生体イメージング、光電子デバイスなど様々な分野で応用されています。しかしながら、りん光の遷移過程は禁制遷移であるため、ほとんどのRTP材料にはスピン−軌道相互作用を引き起こす重原子が含まれています。本研究では分子内に嵩高いLewis酸(B: ホウ素)、塩基(N: 窒素)を有するLewis Pair分子を設計・合成し、溶液中や分子結晶の発光に注目して解析を行ないました。発光特性はB/N錯形成の状態に基づいて変化しました。特に、分子結晶はりん光を発し、温度変化や光照射によるクロミズム現象が観察されました。これらの分子は重原子を含まないRTP材料への応用や、新たな分子設計戦略を提供することが期待されます。

-----

 

話が少し変わりますが、嵩高いLewis酸−Lewis塩基の組み合わせをFrustrated Lewis Pair: FLPと呼びます。近年FLPは系中で酸と塩基が共存できることから触媒の設計へと展開されてきました。今回紹介した論文中では、置換基のチューニングによって錯形成をするかいなか絶妙なラインの分子を設計し、新たな発光材料への展開を見出しました。

 

FLPについて文献を探したところこのような論文がありましたので紹介しました。シンプルな分子系でありながら様々なクロミズムを示す興味深い分子だと思いました。身近な分子を組み合わせると思いもよらない物性が見つかるかもしれませんね。

 

MAN