皆さんこんにちは。B4のKEYです。暑さが厳しい毎日ですが、お元気でお過ごしでしょうか。夏はちょっとした移動にも一苦労ですが、暑さに負けず頑張りたいと思います。

 

 

今回は、先日実施した雑誌会について記述させていただきます。

日本語のタイトルは

結晶化により発光が増強され、大きなストークスシフトを示す

弾性およびイオン応答性赤色蛍光体の効率的な構築」

です。概要を簡単に説明します。

 

柔軟性を有する赤色発光性蛍光体は、有機発光ダイオード (OLED)、有機固体レーザー、蛍光センサーなど様々な応用が期待できるため広く関心を集めています。しかし、一般的な赤色発光性蛍光体にはいくつかの欠点があり、その一つとして小さなストークスシフトによる蛍光の自己吸収が挙げられます。本研究では、231 nmまで大きなストークスシフトを示す新規な柔軟な赤色蛍光体である1,2,3,4,6,7,8,9-octahydropyrido [2,3-g] quinoline-5,10-dicarboxylate (DHQB) を設計し、ワンポットの3段タンデム反応により合成に成功しました。溶液中では赤色発光(約635 nm)を示し、結晶化した状態では赤色発光が増強されることが確認されました。さらに、DHQBは、弾性特性、酸/塩基蒸気刺激応答、Cu2+の選択的な蛍光検出を示します。これは、典型的な拡張π共役系と比較して、多機能蛍光体の実現可能かつ効率的な戦略を提供するものです。

 

 

 

私は、新規化合物による柔軟性結晶の作製という点に惹かれて本論文を閲読しました。しかし、いざ読み進めていくと、赤色発光体の発光メカニズムやその検証方法など、勉強になる点がいくつもあり知見が深まりました。赤色発光の発現には「電荷移動 (CT) 相互作用 」の他に「J型会合体の形成」が鍵になります。

 

以上、KEYの論文紹介でした。

これからは官能基だけでなく分子構造の制御も視野に入れ実験に取り組みたいと思います。