みなさん、おはようございます。M1のHITです。季節もすっかり夏になり、日々暑さとの戦いですね。研究室にも新しい風が吹いてきたので、僕の研究もその風に乗って進んで行けたらなと思います。
今回は、先日実施した雑誌会について記述させていただきます。
日本語タイトルは
「気体-固体界面での錯形成に向けたキノキサリンキャビタンド(空洞)の
配座柔軟性の調整」
です。概要を簡単に説明します。
現在の環境問題に大気汚染が挙げられます。中でもBTEX (Benzene, Toluene, Ethylbenzene, Xylene)は、人体に有害である。そのため、それらを感知するセンサーの開発は、昨今の課題の一つです。本研究で扱う分子MeQxCleftは、キャビタント(空洞)を有しており、CH-π相互作用を用いてBTEXを捉えることができます。実際に、気化法で結晶を作成したところ、ベンゼンとトルエンそれぞれを包摂した結晶が得られました。それらは単結晶X線構造解析により、CH-π相互作用とCH-N相互作用で捉えられていることが示唆されました。また、これをシリカ球体にグラフトすることで、より高効率でBTEXを捉えることに成功しました。これらの研究は、気体-固体界での錯形成特性を制御する上で、あらかじめ組織化することの重要性を明らかにしました。
私は、本論文のアブストラクトのような、キャッチーな分子骨格の表現の仕方が大好きです。だから、目に留まった瞬間、「今回はこれだ」と強く思いました。本論文で得た知見は、分子を包摂する上で重要なことは、「キャビタントの数」と「標的分子への相互作用」ということです。これらの制御が、効率的な分子の包摂へと導く鍵となります。
今回は以上です。
また次回お会いしましょう。それまで皆々様お身体ご自愛くださいませ。