お久しぶりです。林研究室のMANです。
投稿するのは試験管を割って以来ですね。
大学は夏休み真っ只中です。暑い日が続きますが皆さんはどのように過ごしていますか?
今回は、私がセミナーで紹介した論文を紹介します。
早速ですがタイトルからどうぞ!!
タイトルを簡単に要約しますと、「自己修復型の超分子ポリマーとアミノ酸センシング」です。一般的に、超分子ポリマーとは非共有結合を介してネットワークを構築しているポリマーを指します。これらはドラッグデリバリーシステムやアクチュエーター(分子モーター)等、様々な分野に応用されています。
この論文で取り扱うメタラサイクル超分子ポリマー(MSP)は、ホスト-ゲスト相互作用を利用しています。合成法はシンプルで、まず金属-サレン錯体と有機金属クラウンエーテルを配位子交換によってメタラサイクルにします。続いて、このメタラサイクル同士をビスアンモニウムリンカーによって繋ぎます。つまり、2つのアンモニウムカチオンがクラウンエーテルを架橋することで超分子ポリマーが形成されます。
MSPは適切な条件下でゲルとして振る舞いますが、金属カチオンの添加や加熱によってゾルに変化します。特定の物質の添加や熱によって、非共有結合が切断されるためです。このゲル-ゾル転移は可逆的であり、冷却等によってゲルへと戻ります。
また、このMSPは傷をつけて放置すると勝手に修復することから、自己修復能力を有していることが分かります。これは粘弾性試験からも明らかになっており、自己修復効率は98%であることが判明しています。
さらに、MSPは特定のアミノ酸の添加によって蛍光スペクトルが変化します。例えば、チオール基を有するシステインを添加した場合、発光強度は1/10程度まで減少します。従って、このMSPはアミノ酸を認識するセンサーとしての応用が期待されます。