ミズナギドリ目アホウドリ科アホウドリ属
学名 Phoebastria albatrus
和名 アホウドリ
英名 Short-tailed Albatross
【分布】
北太平洋に分布。
夏季はベーリング海やアラスカ湾、アリューシャン列島周辺で暮らす。
冬季は繁殖のために日本近海に南下。
鳥島と尖閣諸島北小島、南小島で繁殖。
近年、ミッドウェー環礁でも繁殖が確認された。
2015年に小笠原諸島媒島で戦後初となる繁殖が確認。それ以降は嫁島や聟島でも繁殖が確認。
2006年には、種としての総個体数は4500羽と推定。尖閣諸島の総個体数は300〜350羽程度。
2019-2020年の繁殖期において、鳥島での総個体数は、概ね6,200羽以上まで回復したと推定。
【生態】
海洋に生息。
食性は動物食。魚類、甲殻類、軟体動物、海洋動物などの死骸をも食べる。
集団繁殖地(コロニー)を形成する。
頸部を伸ばしながら嘴を打ち鳴らして求愛する=クラッタリングという求愛行動。
夏季に北太平洋で暮らした後、
10月中ごろに繁殖島へ渡来
10月末~11月初旬 産卵(1つ)
12月末~1月初旬 孵化(産卵から65日・雌雄交代で抱卵)
4月下旬 雛を島に残し、親は離れる
5月中旬 雛は絶食で痩せてから島を離れる=巣立ち=海洋生活の始まり
5歳程度までの若い鳥は島には戻らず1年中海上で暮らす。
【サイズ・形態】
全長84-100㎝ 翼開張190 - 240㎝。
体重3.3-5.3㎏。飛行できる現存の鳥類の中では最大級。
全身の羽衣は白。後頭から後頸にかけて黄色(クリーム色)。尾羽の先端が黒。
翼上面の大雨覆の一部、初列風切、次列風切の一部、三列風切の先端は黒。
翼下面は白、外縁は黒。
クチバシは淡赤色(ピンク色) 先端部は青灰色。
幼鳥は全身の羽衣が黒褐色や暗褐色で、成長に伴い白色部が大きくなる。完全な成鳥の羽衣になるには8-10年かかる。
【その他】
1949年の調査で絶滅宣言が出されたが、1951年に約10羽が鳥島で再発見。
1958年4月25日に「鳥島のアホウドリおよびその繁殖地」として国の天然記念物に指定。
1962年4月19日に特別天然記念物に指定。
1965年5月10日に特別天然記念物の名称が「アホウドリ」、種としての指定へ変更。
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<ここから鳥の写真>
『アホウドリ(Short-tailed Albatross)』
今回は、鳥の名前について皆さんにも考えて頂ければ幸いと思います。
同種が減少してしまったのは、19世紀後半から20世紀前半にかけて人間が羽毛を採取するために乱獲したのが原因です。
その際に、飛び立つのが苦手な同種は、矢も銃も必要なく、撲殺していたと言われています。
当時は、数十万羽がいた同種も、1949年には絶滅宣言。
世界でも、こんな「アホウ」な人間の身勝手な欲望のために命を奪われた鳥は極めて珍しいです。
ハンティングをするという目的だけの標的になった北米のリョコウバト
ペット目的での乱獲のインコ類数種
航海の船員の食肉として乱獲されたドードー
・・など
彼らは絶滅しました。
逃げない鳥=アホウな鳥ということで、付けられた「アホウドリ」
この命名も身勝手な人間の業が入っていますよね。
再発見から70年ほど、繁殖効率が良くないが、長生きな同種の特性から、緩やかな生息数回復のカーブがようやく上向きになって来たので、贖罪のためにも、「アホウドリ」を、もっと立派な、凛とした海洋の王のような名前に改名して欲しいです。
「沖の太夫」=「オキノタユウ」
同種にはこんな別名があります。
この名前、素敵じゃないですか?
日本鳥類学会にもこうしたことも検討していただきたいな~
10年ほど前に、三陸沖でたった一羽の同種を見た時は、大興奮でした。
そして、ここ数年、八丈島航路など、日本の近海の航路で
季節を合わせれば、見ることが難しくなくなってきています。
とても素晴らしい回復と実感しています。
そんな、オキノタユウの姿をご覧ください。
様々な年齢の個体を貼っておきます。
若い順に張ったつもり。
こんなリング付きの個体も。
山階へ連絡しました。
荒波とオキノタユウ
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本日はお立ち寄りいただきましてありがとうございます。
今日も皆様にとってみずみずしい一日でありますように。









