30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由 | FP754のオススメ本書評ブログ

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新タイトルで心機一転、2008年以来5年半ぶりに復活させることにしたFP754初のブログです。
FP754が実際読んでみて自信を持ってオススメしたいと思えた本のみ取り上げる書評ブログです。

皆さん、おはようございます。
FP754です。

最近、売れている本です。


【オススメ本】



30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由/杉本宏之(ダイヤモンド社)


(ひとこと解説)


著者の杉本宏之氏は、元々ワンルーム(1R)のデザイナーズマンションを主力とする不動産会社「エスグラントコーポレーション」を創業し、名古屋証券取引所に当時、最年少で上場させるまで、会社を大きくしましたが、その後、突然襲ってきた2008年のリーマン・ショックによる世界的な金融危機により、不動産市況が暴落してしまい、400億という巨額の負債を抱えて、会社は民事再生、本人は自己破綻というまさに不動産バブルの煽りを受けた時代の厳しい洗礼を受けました。
そこから、2年間の潜伏期間(勉強期間)を経て、再び会社を起業し、会社経営も軌道に乗せ、復活を遂げた今、改めて会社破綻当時から現在までの回顧録を記した本です。

実は、杉本さんは、
2006年、最初の会社が絶好調の頃に「1R男~28歳の社長、上場物語」という著書を出しています。
ちなみに、当ブログでも、
2006年5月27日の記事で、1R男の書評を綴っています。
その内容を読み返してみたのですが、今回の本と同じように仲間の大切さをしみじみと感じたという感想で、今後、困難が訪れたとしてもきっと乗り越えていくのだろうと締めていますが、まさかその想像をはるかに上回る災難が杉本さんの身に降りかかってこようとは・・・当時の自分には知る由もありませんでした。
そして、その後、数年経って、1R男のことはすっかり忘れてしまっていたのですが、確か2013年にサイバーエージェント藤田社長の「起業家」が出版された時、1R男の杉本さんのことをふと思い出して、ネットで検索してみると、リーマン・ショックの煽りを受けて、会社は民事再生を申請して倒産、本人のブログの更新も、2008年4月を最後にストップしているのを見つけました。
現在はどうしているのかなぁ~とは思っていましたが、同じく藤田社長のブログで、本作が出版されることを知って、すぐに本を読んでみて、これまでの経緯を知ることになったのでした。

この本は、杉本さんの歩んだ栄光と挫折、そして復活の道を綴った自叙伝ではありますが、私は人と人とのつながりの大切さを教えてくれる本という印象を持ちました。
特に、杉本さんが民事再生を申請後、どん底を味わう中、最後までエスグラントの株を売却しなかったサイバーエージェント藤田社長の話、新会社を設立し、再起をかける中、楽天イーグルス立花社長の知り合いの経営者が会う前から融資を決めていた話、ゾゾタウンを運営するスタートトゥディの前澤社長に上場時の朝礼の挨拶を頼まれた話、そして最後までいっしょに会社整理にあたった部下がいっしょに再起を図ってくれることになった時のやりとりの話などは感涙ものでした。

そして、もう一つ、起業する場合は、自分の選んだ業種が景気とどのように関わっているのか敏感でなければならないということを改めて認識しました。
特に、株式投資の世界では、不動産といえば景気敏感株の代表例であり、株価が景気動向に大きく左右されることで有名です。
そういう観点から、本にも登場する同じ不動産業種のゴールドクレスト安川社長のように2007年の明らかな不動産市況の過熱感を肌で感じ、今後の投資を控えるという決断をされたような先見の明が必要だと思いますし、逆に、2008年のリーマン・ショック後の底値こそ絶好の好機という視点も持っていなければならなかったと思います。

最後に、少々疑問を呈するとすれば、仮に自分が民事再生の際の債権者の立場だったとしたら、とてもじゃないですが、この復活劇は受け入れられないだろうなということ、そして、現在の会社名などはあえて伏せているように見えるところで、やはり色々なしがらみが垣間見える気がしましたが、それでも、最近読んだ経営者本の中でも、その会社経営の面だけでなく、特にピンチの時など最後にものを言うのは人と人のつながりということを改めて教えてくれる本としてオススメします。

ところで、この本の出版と同時進行の企画なのか、ダイヤモンド社の書籍オンラインというサイトで、起業家対談シリーズという特集記事を組んでいます。
これまで杉本さんと対談された方は、本にも登場するホリエモンこと堀江貴文さん、サイバーエージェント社長の藤田晋さん、楽天イーグルス球団社長の立花陽三さんです。
この本を読むか検討している場合は、先にこの対談を覗いてみてはいかがでしょうか。


【最後にひとこと】

アマゾンのカスタマーレビューを見ると、結構、手厳しい意見が多いですね。
私は素直にとっても良い本だと思いましたが・・・。
その一番の理由は、感動があったこと、何度も読み返したい気になったこと、
そして実際に何度も読み返したこと・・・です。