インバウンド旅行者の爆買いが話題になっている。

いわゆる「日本ヤスイ」状態だということなのだが、為替の円安をその理由とする論調が多いが本当にそうだろうか?

 

結論から言えば、特に中産国からくるインバウンド爆買いは、累積的な購買力の伸びの差の影響が大きいと思われる。また米国人のインバウンド爆買いでも、累積的な購買力の伸びの差の影響がその半分以上あると思われる。

 

理由は以下の通り。

 

IMFによるとここ20年の世界の物価上昇率は、幾何平均で4.19%、同じく米国は2.56%、日本は0.50%である。

つまりこれは2003年末の価格を100とすると2023年末は世界ベースでは227、米国ベースでは165、日本では110になる。

いいかえれば2003年末と同様の商品を購入するには世界では2.27倍、米国では1.65倍、日本では1.10倍の通貨つまりお金を支払わなくてはいけないということである。

 

また為替は米ドルが2003年末では1ドル107.13で直近では155円である。

 

米国人の視点で考えると、2007年を100%とすると同じものが、現在の日本では46%で購入できるののである(物価上昇率の差で67%(1.10/1.65)、為替変動で69%(107.13/155)あわせて46%)。

 

つまり爆買い要因のうち、半分が物価上昇率の差によるものである。

これは少なくとも物価上昇率程度に購買力が伸びていると考えれば、購買力の伸びの差によるものである。

 

このように考えれば日本では暴利と思われるような価格をインバウンド旅行者に提示していても、彼らの目線で考えればそれでも割安に映る理由がわかるであろう。

 

上記は米国人視点で考えたが、購買力の伸びの差で考えれば、インバウンドの中でも中産国の旅行者による爆買いが発生するかもわかる。

 

彼らは物価上昇率の差だけで48%(1.1/2.27)で購入できるのであり、仮に米ドルと同じ程度の為替変動(69%)だとすれば、33%で購入できる。また物価上昇率<経済成長率であるならさらに割安感が強まるであろう。

 

次回は今後発生するであろうことを考えてみたい。