【検証2】令和7年版:離婚後、児童扶養手当を貰いながら最も賢く働く方法(養育費無しの場合)

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過去に作成したブログを2025年7月末時点の情報に基づき、修正しています。

 

 

続【児童扶養手当】をもらいながら一体年いくらまで稼ぐと良いのか?

 

計算機で数字を入力する手元

 

 

 

前回ブログのまとめとして「子どもが幼くまだしっかり働けないなら、」

 

 (養育費をもらっている場合)

児童扶養手当の全額支給の限度額ギリギリまで働いた場合と住民税非課税基準額のギリギリまで働いた場合に大した差異が生じなくなりました。よって、養育費をもらいながらも、子どもが幼くまだしっかり働けないなら住民税非課税基準額のギリギリまで働き、児童扶養手当額を全額もらうのがベターとお伝えしています。

 

 

今回は、 (養育費をもらえていない場合)です。

この場合でも、総合的に見ると住民税非課税基準額のギリギリまで働くのがベターです。

検証していきます。

 

検証1 (養育費無し)子ども2人の想定

検証2 (養育費無し)子ども1人から3人

 

 

【検証1】養育費をもらえていない場合(子ども二人)

前提条件)

本人36歳

長男11歳

次男7歳

の3人世帯

諸事情により養育費をもらえていません。

実家に戻り、働きながらも児童扶養手当をもらう(いたい)

 

※両親の所得によっては、児童扶養手当がもらえない場合がありますので、ご注意ください。

なお、受給するには、少なくとも住民票上、世帯分離をし、毎月光熱水費は実家に渡し、家計を別とする必要があります。

 

 

事例のケースで試算すると、養育費無しの場合

① 全額支給限度額ギリギリまで働く 表1中B 244万の給与収入

② 住民税非課税基準限度額まで働く 表1中C 204万の給与収入

③ 一部支給限度額まで働く 表1中D 432万の給与収入

 

※結果は、表1をご覧ください。

 

(表1)

  B児扶手全額支給限度 C住民税非課税限度 D児扶手一部支給限度
1給与収入 2,440,000 2,040,000 4,320,000
2給与所得控除 812,000 692,000 1,304,000
3給与所得 1,628,000 1,348,000 3,016,000
4養育費 0 0 0
5算定所得(児童扶養手当) 1,628,000 1,828,000 3,016,000
6算定控除(児童扶養手当) 180,000 180,000 180,000
◆児童扶養手当算定上の所得 1,448,000 1,648,000 2,836,000
7 1人目(月当たり) 46,690 46,690 11,010
8 2人目(月当たり) 11,030 11,030 5,520
9 児童手当(年間) 240,000 240,000 240,000
〇収入計【1+4+(7+8)*12+9】 3,372,640 2,972,640 4,758,360
10所得税 ※基礎控除48→95万 0 0 61,200
11住民税 ※基礎控除=43万 57,000 0 168,300
12社会療保険料 122,880 104,448 221,184
13厚生年金保険料 219,600 186,660 395,280
14iDeCo積立料 0 0 0
●支出計【10+11+12+13+14】 399,480 291,108 845,964
○収入計ー●支出計 2,973,160 2,681,532 3,912,396
年間労働時間数換算(1,200円/h) 2,033 1,700 3,600

※2025年7月時点の情報

注意1:住民税非課税は、前提条件で計算すると 35万×(本人、子1、子2)+31万=136万以下

注意2:12の年金、13の保険料は大阪協会けんぽの令和7年度の算定表より算出しています。

注意3:10及び11の税計算の控除額は、2025税法改正後の基礎控除とひとり親控除、社会保険料控除の3種を適用しています。

注意4:11に関して、住民税均等割は、市町村民税3000円、均等割1300円、森林環境税1000円で計算しています。

注意5:表中の〇収入計は、給与と児童扶養手当と養育費と児童手当を適用しています。実際にはほかにもあることでしょう。

追伸)お住まい(予定)の児童扶養手当担当課へ一度必ずご相談されることをお勧めします。

 

 

(養育費をもらえていない場合)

児童扶養手当の支給判定において、養育費をもらえていない分、給与収入を増やすことができます。(※前回のブログでの想定世帯の状況において、養育費を年60万と設定していたので、その分給与収入を一部増やすことができます。)

・表中B2 児童扶養手当全額支給限度の場合、180万から244万円

・表中D2 児童扶養手当一部支給限度の場合、403万から432万円

※住民税非課税限度額(表中C2 204万円)は、税の非課税基準であり、児童扶養手当の基準と算定方法等が違いますので、給与収入を増やすことはできません。

 

子どもがお二人の場合、表中C2住民税非課税基準限度額ギリギリは204万円です。

児童扶養手当全額支給B2と住民税非課税基準限度額C2では、40万の差が生じます。

しかしながら、それを埋める恩恵が住民税非課税であると享受できます。

 

理科実験をする子供たちと男性

 

 

住民税非課税世帯の恩恵

 

↓穴を埋める恩恵↓

 

【住民税非課税のメリット】

1 JASSO給付型奨学金    ○住民税非課税世帯及びそれに準じる世帯が対象

2 子育て短期支援事業    ○住民税非課税なら無料

3 母子生活支援施設     ○住民税非課税なら無料

4 就学援助         ○住民税非課税なら対象

5 住民税非課税世帯の給付金 ○住民税非課税なら対象 

6 高額療養費の減額     ○住民税非課税なら優遇措置

 

など(※数多あるので一部です。)

 

 

特に定期的な給付がもらえるものは、ズバリ就学援助です。

その他は、もしもの時や臨時的な給付であり、計画的に収入を見込むことができません。

また、就学援助の年間の給付額は、年間10万未満/人ですが、卒入学年では更に準備金などが加わりますので、40万頑張って稼ぐより、セーブし、住民税非課税世帯の利益を享受する方が良いでしょう。

 

≪参考≫ 就学援助制度 

 

・学用品 13,230円から27,310円/年

・新入学学用品 小1 57,060円 中1 63,000円

・中学入学準備金 63,000円

・学校給食費 41,800円/年程度

・修学旅行費 実費

・郊外活動費 交通費・見学費

・実習見学費 400円~450円

※自治体により一部金額に差が生じています。

正確な内容は、お住まいの自治体の担当課へご確認ください。

 

 

更に表1中C住民税非課税限度額まで働く場合D児童扶養手当一部支給限度まで働く場合を比較します。

DはCに比べ給与収入で2,040,000円から4,320,000円となるため、2,280,000円増えます。

しかしながら、その分支出も増え、児童扶養手当も減額される影響があります。

表3の「○収入計ー●支出計」をご覧ください。

2,040,000円の場合→2,681,532円

4,320,000円の場合→3,912,396円

給与収入が228万増えたにも関わらず、実質は1,230,864円の増に留まります。

 

約53%が経費(税・保険など)でもってかれます。

更にiDeCoを適用した場合を念のため見ておきましょう。

 

 

iDeCoを適用 (FP.Daikiからの 裏ワザ)

 

トランプとポップコーン、ジュース

 

 

 

ここで裏ワザを一つご紹介します。

児童扶養手当の算定には、控除(=個人的な必要経費)と認められるものがあります。

所得税が発生しているならば、税金を減額し、さらに児童扶養手当の額を増額し、おまけに自身の将来の年金額を増やすために積立できるものがあります。

 

そうそれは、「小規模企業共済等掛金控除」。この控除には、iDeCo(イデコ)が含まれて老います。iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金のことで、自分自身の老後資金を自分で用意する私的年金制度のひとつです。掛け金額が小規模企業共済等掛金控除として全額控除扱い可能です。

 

商品はいろいろありますが、私のお勧めはやはりオルカン(eMAXIS Slim全世界株式)です。なんだかんだ言って世界経済は発展するという考えの下、全世界の株式に投資し、手数料もさほど高くなく、結果も残しており、人気商品です。

では、同様に試算を見ていきましょう。

 

 

表2中B、C、Dは、表1のB、C、DにiDeCoを適用したものです。

 

表2(試算結果)表1中B~Dのケースへ更にiDeCo適用

 

(表2)

  B児扶手全額支給限度 C住民税非課税限度 D児扶手一部支給限度
1給与収入 2,440,000 2,040,000 4,320,000
2給与所得控除 812,000 692,000 1,304,000
3給与所得 1,628,000 1,348,000 3,016,000
4養育費 0 0 0
5算定所得(児童扶養手当) 1,628,000 1,828,000 3,016,000
6算定控除(児童扶養手当) 300,000 300,000 300,000
◆児童扶養手当算定上の所得 1,328,000 1,048,000 2,716,000
7 1人目(月当たり) 46,690 46,690 14,192
8 2人目(月当たり) 11,030 11,030 6,010
9 児童手当(年間) 240,000 240,000 240,000
〇収入計【1+4+(7+8)*12+9】 3,372,640 2,972,640 4,802,424
10所得税 ※基礎控除48→95万 0 0 55,000
11住民税 ※基礎控除=43万 45,000 0 156,300
12社会療保険料 122,880 104,448 221,184
13厚生年金保険料 219,600 186,660 395,280
14iDeCo積立料 0 0 0
●支出計【10+11+12+13+14】 387,480 291,108 827,764
○収入計ー●支出計 2,985,160 2,681,532 3,974,660
年間労働時間数換算(1,200円/h) 2,033 1,700 3,600

※2025年7月時点の情報

 

注意1 iDeCoの積立は、月1万で試算しています。積み立ては月5千円から可能です。

注意2 あくまで金融商品ですので、リスクが伴います。ご自身の判断で行ってください。

注意3 表2中のB児童扶養手当全額支給限度ギリギリに働いた場合、住民税の恩恵は生じません。

注意4 表2中のC住民税非課税限度ギリギリまで働いた場合は、所得税・住民税ともに非課税であるため、税の恩恵は生じません。

 

 

iDeCoの恩恵に注目すると

B 全額支給ギリギリまで=住民税のみ恩恵有り 57,000→45,000円

C 住民税非課税ギリギリまで=恩恵無し

D 一部支給限度ギリギリまで=児童扶養手当と所得・住民税に恩恵有り

  1人目 11,010→14,192円 (月3,182円増)

  2人目 5,520→6,010円  (月490円増)

 所得税 61,200→55,000円  (年6,200円減額)

 住民税 168,300→156,300円  (年12,000円減額)

※住民税非課税基準限度額の範囲内で働き続ける場合、iDeCoはやめておきましょう。Nisaの方がベターです。

 

 

検証2(子どもの数を考慮)

 

研究室の顕微鏡と分子模型

 

検証2へ移ります。

子どもの数からも検証を重ねます。

給与収入の限度額は次の表のとおりになります。

 

給与収入 B児扶手全額支給限度額 C住民税非課税限度額 D児扶手一部支給限度額
子供1人 172万 204万 362万
子供2人 244万 204万 432万
子供3人 272万 255万 456万

 

子ども1人でみれば、子ども2人の場合と違い、「B児童扶養手当全額支給限度額<C住民税非課税限度額」となるので、当然に住民税非課税限度額ギリギリまで働いた方が良いとの結論になります。

 

次に3人と2人を比較すると、「B児童扶養手当全額支給限度額>C住民税非課税限度額」となりますが、3人の場合、僅か年間17万円差です。255万を少し超過し、272万に抑えたとしても、上述の住民税非課税世帯の恩恵を放棄するのは、ばかげているのは明らかです。何せ、就学手当だけでも子ども3人の場合、年20万ほどは頂けるのですから。

 

 

 

まとめ

 

最後にまとめです。

 

養育費をもらえていない場合でも、養育費有りの場合と同じ結果に落ち着きました。

繰り返します。子どもがまだ幼くまだしっかり働けないなら、養育費をもらってようがなかろうと住民税非課税世帯ギリギリ限度額を目指し、稼ぐのがベターです。

そして、ある程度働ける状況になれば、次のステップとして、児童扶養手当一部支給の限度額ギリギリを目指し、働きましょう。

なお、税法にしかり、他の諸制度も毎年改正が見込まれます。その時点でベストであっても、翌年には違うということが想定されます。年に一度は家計を見直すようにしましょう。

 

「最も強い者が生き残るのではなく、最も変化できる者が生き残る」byダーウィン

 

 


なお、月に一度は、お金の勉強に関する情報を更新予定です。

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【執筆者】離婚マネーアドバイザーFP.Daiki

・AFP

・社会保険労務士有資格者

・年金アドバイザー2級

・離婚カウンセラー

産後クライシスを乗り切れず、離婚。離婚を機に「同じ苦しみを味わう人を救いたい」という思いで再起。

現在は、家計診断・勉強会・個別サポートでお客様の離婚×お金の問題を二人三脚で解決しています。