【検証】令和7年版:離婚後、児童扶養手当を貰いながら最も賢く働く方法

本ブログは、等がございますので、PCでの閲覧をお勧めします。

過去に作成したブログを2025年7月末時点の情報に基づき、修正しています。

 

 

 

 

子連れ離婚を検討(実践)中の皆様へ

 

・児童扶養手当ってそもそも何?

・児童扶養手当って年間いくらもらえるの?

・ひとり親でも児童扶養手当ってもらえない場合があると聞いたけど、、、、

・働きながら児童扶養手当をもらうには年いくらぐらいまでの収入でおさめておけば良いの?

 

そんな人に聞けないお悩みをお持ちでないですか?

 

離婚後の生活不安ですよね。

そのお悩みを本ブログで離婚マネーアドバイザーFP.Daikiが解決します。

 

 

【児童扶養手当】の基本知識

 

 


まずは基本知識をお伝えします。

始めに【児童扶養手当】とは、「離婚や死別等により児童を養育するひとり親等に対して支給されるもの」です。

 

A こんな人には支給されません。

①子供が請求者の配偶者(事実婚含む)に育てられている

②子供が児童福祉施設などに入所している

③子供が里親などに委託されている

④受給者や対象となる子供が日本に住んでいない

 

 

B 支給要件

18歳到達後最初の3/31以前の児童を扶養するひとり親が対象です。

対象となる子供は①~⑨のいずれかを満たす必要があります。

①父母が離婚している

②父または母が亡くなっている

③父または母が一定程度の障害状態にある

④父または母が生死不明である

⑤父または母から1年以上遺棄されている

⑥父または母が裁判所からDV保護命令を受けている

⑦父または母が1年以上拘禁されている

⑧婚姻によらず生まれた(未婚出産)

⑨父母がいるかいないか明らかでない

 

 

C 支給額

所得と児童の数に応じて金額に差があります。

 

支給額(令和6年11月から

 一人目 46,690円(全額支給)11,010円〜46,680円(一部支給)

 二人目 11,030円(全額支給)5,520円〜11,020円(一部支給)

 三人目 改正後の二人目に同じ(引き上げ)

 ※これ以外に地域差もありますので、ご注意ください。

 

(参考)一部支給の計算式

第1子 手当月額=46,680円【注1】 -[{(受給者の所得額-所得制限限度額)×0.0256619【注2】}]

第2子以降の場合、【注1】=11,020の値に、【注2】=0.0039568の値に置き換わります。

 

 

D 所得制限

児童の数に応じて年間所得の制限が設けられています。

全支給 107万円まで(児1人)、145万円まで(児2人)、183万まで(児3人)、、、

一部支給 246万まで(児1人)、284万円まで(児2人)、322万まで(児3人)、、、

 

 

ポイント1:実家同居の場合 → 世帯の一番高い所得者の所得で算定します

※実家同居でも、完全に家計が別なら別々に算定する場合有り。なお、お住まい(予定)の市区町村へ事前に必ず確認してください。

 

ポイント2児童扶養手当で審査する所得=所得(収入-必要経費)+養育費の8割-8万円(一律控除)-控除額

よって、養育費も所得認定されます。

 

ポイント3:児童扶養手当で審査する所得には、算定するあたり控除(経費)が7種(限定)認められています。

障害者控除(27万円)、特別障害者控除(40万円)、勤労学生控除(27万円)、配偶者特別控除(当該控除額)、雑損控除(当該控除額)、医療費控除(当該控除額)、小規模企業共済等掛金控除(当該控除額)。

○申請者が養育者(児童の母または父を除き、児童を養育する者)の場合、上記に加え、次の控除も認められます。
寡婦控除:27万円、ひとり親控除:35万円

 

 

 

 

 

【児童扶養手当】をもらいながら一体年いくらまで稼ぐと良いのか?

 

 

 

相談を受けていて、よく聞かれるのが、

「では、一体児童扶養手当をもらいながら年いくらまで稼ぐと良いのか?」というご質問です。

 

2025年税法改正を経ての私の答えは、

養育費をもらえている場合は、

第1位 住民税非課税の限度額まで働き、その利益を享受しながら、児童扶養手当を全額支給してもらう

第2位 児童扶養手当一部支給限度額ギリギリまで働く

 

養育費をもらえていない場合は、児童扶養手当全額支給の限度額ギリギリを目指して働く

と変わりました。

 

今回も、具体に試算したものをお見せしながら、解説していきます。

 

 

 

○先ずは養育費をもらっているケースについて試算します。

前提条件)

本人36歳

長男11歳

次男7歳

の3人世帯

養育費は月5万をもと配偶者からもらっています(予定)

実家に戻り、働きながらも児童扶養手当をもらう(いたい)

 

※両親の所得によっては、児童扶養手当がもらえない場合がありますので、ご注意ください。

なお、受給するには、少なくとも住民票上、世帯分離をし、毎月光熱水費は実家に渡し、家計を別とする必要があります。

 

 

実家に戻り、働きながらも児童扶養手当をもらう(いたい)

子がまだ幼いので当面は、正社員でない働き方をするならば、、、、

※結果は、表をご覧ください。

 

(表1)

  B児扶手全額支給限度 C住民税非課税限度 D児扶手一部支給限度
1給与収入 2,100,000 2,050,000 4,030,000
2給与所得控除 710,000 695,000 1,246,000
3給与所得 1,390,000 1,355,000 2,784,000
4養育費 600,000 600,000 600,000
5算定所得(児童扶養手当) 1,870,000 1,835,000 3,264,000
6算定控除(児童扶養手当) 430,000 430,000 430,000
◆児童扶養手当算定上の所得 1,440,000 1,405,000 2,834,000
7 1人目(月当たり) 46,690 46,690 11,010
8 2人目(月当たり) 11,030 11,030 5,520
9 児童手当(年間) 240,000 240,000 240,000
〇収入計【1+4+(7+8)*12+9】 3,632,640 3,582,640 5,068,360
10所得税 ※基礎控除48→95万 0 0 45,900
11住民税 ※基礎控除=43万 34,500 0 144,800
12社会療保険料 104,448 104,448 208,896
13厚生年金保険料 186,660 186,660 373,320
14iDeCo積立料 0 0 0
●支出計【10+11+12+13+14】 325,608 291,108 772,316
○収入計ー●支出計 3,307,032 3,291,532 4,296,044
年間労働時間数換算(1,200円/h) 1,750 1,709 3,359

※2025年7月時点の情報

注意1:住民税非課税は、前提条件で計算すると 35万×(本人、子1、子2)+31万=136万以下

注意2:年金、保険は大阪協会けんぽの令和7年度の算定表より算出しています。

注意3:税計算の控除額は、基礎控除とひとり親控除、社会保険料控除の3種を適用しています。

注意4:住民税均等割は、市町村民税3000円、均等割1300円、森林環境税1000円で計算しています。

注意5:収入は給与と児童扶養手当と養育費と児童手当を適用しています。実際にはほかにもあることでしょう。

追伸)お住まい(予定)の児童扶養手当担当課へ一度必ずご相談されることをお勧めします。

 

≪参考:算出方法≫

養育費の額により答えも変わってきます。自分で算出できるよう計算方法を記しておきます。

表中 B全額支給限度ギリギリまでの給与収入の算出方法

・給与所得(=給与収入―給与所得控除)+養育費の8割(月5万仮定)―社会保険料(一律8万)―控除額(ひとり親控除分35万)=◆児童扶養手当算定上の所得

方程式で解きます。給与所得をXと置き、養育費を月5万、児童扶養手当算定上の所得を子2人の全額支給限度額である145万円とするとXはいくらになるのでしょうか?

Ans.給与所得(=給与収入―給与所得控除)=◆145万-48万+8万+35万=140万

なお、2025年税法改正を加味し、これを給与収入に逆算すると210万になります。

 

 

 

事例のケースで試算すると

① 全額支給限度額ギリギリまで働く 表中B 210万の給与収入  

これで令和7年度なら、一人目4万6690円、二人目1万1030円の全額支給(月額)を得ます。

② 住民税非課税基準限度額まで働く 表中C 205万の給与収入

③ 一部支給限度額まで働く  表中D 403万の給与収入

 

表からBとCで年間収入の差はたった5万で、双方児童扶養手当を満額受給できますが、Bが失う恩恵は尋常ではありません。

 

 

↓失われる恩恵↓

 

【住民税非課税のメリット】

1 JASSO給付型奨学金    ○住民税非課税世帯及びそれに準じる世帯が対象

2 子育て短期支援事業    ○住民税非課税なら無料

3 母子生活支援施設     ○住民税非課税なら無料

4 就学援助         ○住民税非課税なら対象

5 住民税非課税世帯の給付金 ○住民税非課税なら対象 

6 高額療養費の減額     ○住民税非課税なら優遇措置

 

など(※数多あるので一部です。)

 

つまり、住民税非課税でなくなるとこれらの恩恵をすべて失います

 

【参考:住民税非課税基準に関して】

 

住民税非課税1(地方税法) ※社会的弱者の救済を法で規定している。

法第24条の5 道府県は、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、道府県民税の均等割及び所得割(第二号に該当する者にあつては、第五十条の二の規定により課する所得割(以下この款及び次款において「分離課税に係る所得割」という。)を除く。)を課することができない。ただし、この法律の施行地に住所を有しない者については、この限りでない。
一 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定による生活扶助を受けている者
二 障害者、未成年者、寡婦又はひとり親(これらの者の前年の合計所得金額が百三十五万円を超える場合を除く。)

 

住民税非課税2(均等割非課税基準) ※均等割とは、非課税限度額を上回る者に定額の負担を求めるものであり、負担分任の性格を有する個人住民税の基礎的なものとして、課されています。いわゆるこの均等割が課からない者が非課税と呼ばれています。

→基準額算定( 35万円×(本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数)+31万円 )以下の場合が均等割非課税

 

住民税非課税3(所得割非課税基準) ※所得割とは、所得に応じて課税される税金の割合を指します。住民税は、この所得割と均等割の2種で構成されています。よって、所得に応じて均等割はかかるが、所得割は課されない者がいらっしゃいます。一般的には所得割と均等割の双方が課され、納付しています。

→基準額算定( 35万円×(本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数)+42万円 )以下の場合が所得割非課税

 

 

わずかにこの基準額を上回っただけで、前述の恩恵をすべて失うのは、大きな損失と言わざるを得ません。

 

次に表1中C住民税非課税とD一部支給限度額を比較しましょう。

Dまで働くと給与収入はCに比べ(403万―205万=)198万増えます。

養育費は変わらず月5万の年60万で変わりありません。

 

しかしながら、児童扶養手当の額が変わります。

Cの場合、満額の一人目46,690円、二人目11,030円ですが、

Dになると一人目11,010円、二人目5,520円に下がります。

児童手当の額は変わりありません。

 

結果、Dの支給限度額ギリギリまで働いた場合の収入は、5,068,360円

Bの住民税非課税ギリギリまで働いた場合は、3,582,640円となります。

でも、他にも考慮すべきことがあります。

そう、収入が増えると税等他の費用も残念ながら増えてしまいます。

 

 

1 医療保険 → 是非社会保険に入ってください。住民税非課税でも国民健康保険料は0円になることはありません。社保の方が給付も多く、世帯数が増えても扶養という制度で料金は変わりません。離婚後は経済的自立が必要であり、手っ取り早く社保完備の会社で正社員を目指しましょう。

 

※協会けんぽ(大阪)令和7年度 36歳=介護2号非該当

給与収入 205万(月17万)→8,704円×12か月=104,448円

給与収入 403万(月34万)→17,408円×12か月=208,896円

●104,448円支出増

 

 

2 年金 1で社会保険に加入すると連動して厚生年金に加入します。(いまのところ)掛け金を支払うことで将来頂ける年金額が増加します。

 

給与収入 205万(月17万)→15,555円×12か月=186,660円

給与収入 403万(月34万)→31,110円×12か月=373,320円

●186,660円増

 

 

3 所得税

給与収入が205万から403万に増えた場合、所得税が新たに掛かってきます。

所得税は、基礎控除額の増額の改正により幾分税額は抑えられていますが、年45,900円かかってきます。

 

4 住民税

給与収入が205万から403万に増えた場合、住民税も当然に掛かってきます。

住民税の場合、基礎控除の変更は生じておりません。よって、所得税よりも割高な年144,800円がかかってきます。

 

 

努力して働くことにより(403万ー205万=)193万円給与が増額しますが、支出も年間(772,316-291,108=)481,208円増えます。

おまけに児童扶養手当が【(35,680円+5,510円)×12か月=】年494,280円減額されるというWパンチを受けます。

 

よって、せっかく193万稼いだのに、実質増える額は、954,512円(=193万ー481,208―494,280円)

半分ぐらい役所等に持っていかれるイメージです。

 

 

とは言え、おそらく年400万の収入を得るということは、正社員でしょうでしょうから、パート・アルバイトと違い、雇い止めなど簡単に職を失う恐れが減り、将来の不安感を少なからず減らすことができるでしょう。また、ここまでくると実質的に経済的な自立を手にしたこととなるでしょう。それは本当に素晴らしいことです。

 

ですが、おそらく子供が幼くまだそんなに労働に時間を割けないという方が大多数かと思います。

よって、結論としては、やはり住民税非課税基準ギリギリまで働くのがベターと言わざるを得ません。

 

 

 

FP.Daikiからの裏ワザ

 

 

ここで裏ワザを一つご紹介します。

児童扶養手当の算定には、控除(=個人的な必要経費)と認められるものがあります。

所得税が発生しているならば、税金を減額し、さらに児童扶養手当の額を増額し、おまけに自身の将来の年金額を増やすために積立できるものがあります。

 

そうそれは、「小規模企業共済等掛金控除」。この控除には、iDeCo(イデコ)が含まれて老います。iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金のことで、自分自身の老後資金を自分で用意する私的年金制度のひとつです。掛け金額が小規模企業共済等掛金控除として全額控除扱い可能です。

 

商品はいろいろありますが、私のお勧めはやはりオルカン(eMAXIS Slim全世界株式)です。なんだかんだ言って世界経済は発展するという考えの下、全世界の株式に投資し、手数料もさほど高くなく、結果も残しており、人気商品です。

では、同様に試算を見ていきましょう。

 

表中C2は、表1のCである住民税非課税限度にイデコを適用したものです。

表中D2は、表1のDである一部支給限度にイデコを適用したものです。

 

表2(試算結果)表1中CとDのケースへ更にIDECO適用

  C2住民税非課税限度 D2児扶手一部支給限度
1給与収入 2,050,000 4,030,000
2給与所得控除 695,000 1,246,000
3給与所得 1,355,000 2,784,000
4養育費 600,000 600,000
5算定所得(児童扶養手当) 1,835,000 3,264,000
6算定控除(児童扶養手当) 550,000 550,000
◆児童扶養手当算定上の所得 1,285,000 2,714,000
7 1人目(月当たり) 46,690 14,243←11,010
8 2人目(月当たり) 11,030 6,018←5,520
9 児童手当(年間) 240,000 240,000
〇収入計【1+4+(7+8)*12+9】 3,582,640 5,113,132
10所得税※基礎控除48→95万 0 39,800←45,900
11住民税※基礎控除=43万 0 132,800←144,800
12社会療保険料 104,448 208,896
13厚生年金保険料 186,660 373,320
14iDeCo積立料/年 120,000 120,000
●支出計【10+11+12+13+14】 411,108 874,316
○収入計ー●支出計 3,171,532 4,238,316
年間労働時間数換算(1,200円/h) 1,709 3,359

 

注意1 IDECOの積立は、月1万で試算しています。積み立ては月5千円から可能です。

注意2 あくまで金融商品ですので、リスクが伴います。ご自身の判断で行ってください。

 

 

年単位でみれば、12万積立をしているので、12万支出が増えるはずです。

Ⅰ 住民税非課税限度額まで働いた場合は、iDeCo利用しても残念ながら恩恵は全く生じません。※表2のC2

所得税・住民税とも非課税かつ児童扶養手当満額支給の為。)

Ⅱ 一部支給限度額まで働いた場合は、所得税・住民税双方課税があるため、減額されつつ、児童扶養手当額増えるというWの恩恵を受けることができます。※表2のD2

 

表2中D2の場合、児童扶養手当の金額は、

○一人目 11,010円であったものが

給与所得278.4万+(養育費5万×12月×80%)―8万(一律)-35万(ひとり親控除)―12万(イデコ分)=271.4万

=4万6680円-{(271.4万円–145万円)×0.0256619}

=4万6680円-32,436.6円=1万4243円へ

 

○二人目 5,520円であったものが

=1万1020円-{(271.4万–145万円)×0.0039568}

=1万1020円-5,001.3円=6,018円へ

 

計 (14,243-11,010)+(6,018-5,520)=3,233+498=3,731円×12月=44,772円の年間増額となります。

 

更に税の控除額が12万円増えることにより

所得税は、45,900円が39,800円へ6,100円減額。

住民税は、144,800円が132,800円へ12,000円減額。

 

12万円支出しますが、児童扶養手当の受取額が年44,772円増え、所得税6,100円と住民税12,000円が減額されるために、結果として57,128円の支出で済むことになります。

 

つまり毎年12万の金融商品を約5.7万で買うことができるのです。

おまけに金融商品ですので、長く所有すればするほど、価値の増額が期待されます。

 

とは言え、いいことばかりではありません。あくまで値下がりのリスクもありますし、何より60歳を超えないと引き出しができません。あくまで老後対策の貯蓄と考えましょう。

よって、iDeCoは月1万までの支出にとどめておきましょう。

 

また、月の貯蓄は月額面の15%までが基本です。よって、年収約400万であれば、年60万(月であれば5万円程度)。言うまでもなく住民税非課税世帯であれば、恩恵も生じないので、無理にiDeCoに投資せず、子どもが大きくなってから自分の老後資金を備えることとしましょう。

 

これらを頭に入れながら、別途教育費の準備をしておきましょう。

FP的には、表に記した児童手当のほぼ全額を子供の教育費用の貯金に回すとよいでしょう。

 

少し話がそれましたが、検証数値から見ても、養育費をもらっている場合のお勧めは、「子が幼いうちは、一部支給の限度額ギリギリまで働くよりも、住民税非課税の範囲内で児童扶養手当の全額支給を受ける方がよい」でしょう。

 

 

次に養育費をもらえていない場合を検証します。

養育費をもらえていない場合(児童扶養手当全額支給限度を目指し働く)

 

(前提条件)

本人36歳

長男11歳

次男7歳

の3人世帯

諸事情により養育費はもらえていません。

実家に戻り、働(きたい)いている。

 

 

事例のケースで試算すると

① 全額支給限度額ギリギリまで働く 表中B 280万の給与収入

② 住民税非課税基準限度額まで働く 表中C 205万の給与収入

③ 一部支給限度額まで働く 表中D 463.75万の給与収入

 

表3【試算結果】養育費受取無しの場合

  B2児扶手全額支給限度 C2住民税非課税限度 D2児扶手一部支給限度
1給与収入 2,800.000 2,050,000 4,637,500
2給与所得控除 920,000 695,000 1,368,700
3給与所得 1,880,000 1,355,000 3,268,800
4養育費 0 0 0
5算定所得(児童扶養手当) 1,880,000 1,355,000 3,268,800
6算定控除(児童扶養手当) 430,000 430,000 430,000
◆児童扶養手当算定上の所得 1,450,000 925,000 2,838,800
7 1人目(月当たり) 46,690 46,690 11,010
8 2人目(月当たり) 11,030 11,030 5,520
9 児童手当(年間) 240,000 240,000 240,000
〇収入計【1+4+(7+8)*12+9】 3,732,640 2,982,640 5,075,360
10所得税 ※基礎控除48→95万 8,600 0 67,200
11住民税 ※基礎控除=43万 71,600 0 186,500
12社会療保険料 147,456 104,448 233,472
13厚生年金保険料 263,520 186,660 417,240
14iDeCo積立料 0 0 0
●支出計【10+11+12+13+14】 491,176 291,108 904,412
○収入計ー●支出計 3,241,464 2,691,532 4,170,948
年間労働時間数換算(1,200円/h) 2,334 1,709 3,359

 

(養育費をもらえていない場合)

養育費をもらえていない分、児童扶養手当について給与収入を増やすことができます。

・児童扶養手当全額支給限度の場合、210万から280万

・児童扶養手当一部支給限度の場合、403万から4,637,500円

(住民税非課税限度は、税の非課税基準であるため、増やすことはできません。)

 

なお、この場合は住民税非課税の恩恵を諦め、児童扶養手当の全額支給の限度額ギリギリまで働くのがベターです。3人世帯の場合、年間205万と280万では、75万の違いがあり、月当たり約6万。

これは大きいです。上記例(表1)では5万にすぎなかったものが75万に開いています。

 

養育費をもらえているケースと全くもらえていないケースに大きな差が生じることとなりました。

よって、住民税非課税の恩恵は諦め、手堅く目の前のキャッシュを稼ぎながら、将来の正社員という経済的自立に備えていきましょう。

 

【諦める理由】

失われる恩恵の中で定期的な給付がもらえるものは、ズバリ就学援助です。

その他は、もしもの時や臨時的な給付であり、計画的に収入を見込むことができません。

また、就学援助の年間の給付額は、卒入年でなければ、年間10万未満/人ですので、手堅く年間75万増やす方が良いでしょう。

 

≪参考≫ 就学援助制度 

・学用品 13,230円から27,310円/年

・新入学学用品 小1 57,060円 中1 63,000円

・中学入学準備金 63,000円

・学校給食費 41,800円/年程度

・修学旅行費 実費

・郊外活動費 交通費・見学費

・実習見学費 400円~450円

※自治体により一部金額に差が生じています。

正確な内容は、お住まいの自治体の担当課へご確認ください。

 

更に表3中B2児童扶養手当全額支給限度額まで働く場合D2児童扶養手当一部支給限度まで働く場合を比較します。

D2はB2に比べ給与収入で2,800,000円から4,637,500円となるため、1,837,500円増えます。

しかしながら、その分支出も増え、児童扶養手当も減額される影響があります。

表3の「○収入計ー●支出計」をご覧ください。

2,800,000円の場合→3,241,464円

4,637,500円の場合→4,170,948円

給与収入が約180万増えたにも関わらず、実質は929,484円の増に留まります。

 

これらを踏まえると、やはり養育費をもらえない場合は、『児童扶養手当全額支給の限度額まで働く方が効率が良い』とお勧めせざるを得ません。

 

 

まとめ

 

令和6年11月1日の児童扶養手当額改正前は、子どもが幼くまだしっかり働けないなら住民税非課税基準まで働き、税等の恩恵を受けつつ、児童扶養手当を一部もらうのが一番お勧めとしてきました。

一連の金額の変更、税法改正を受け、答えが一部変わりました。

 

児童扶養手当支給限度額の変更の影響を受け、養育費をもらっている場合ともらっていない場合にわけて考える必要があります。

 

(養育費をもらっている場合)

児童扶養手当の全額支給の限度額ギリギリまで働いた場合と住民税非課税基準額のギリギリまで働いた場合に大した差異が生じなくなりました。

よって、養育費をもらいながらも、子どもが幼くまだしっかり働けないなら住民税非課税基準額のギリギリまで働き、児童扶養手当額を全額もらうのがベターです。

 

(養育費をもらえていない場合)

この場合は、住民税非課税の恩恵を諦め、児童扶養手当の全額支給の限度額ギリギリまで働くのがベターです。手堅く目の前のキャッシュを少しずつ稼ぎましょう。

 

 


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【執筆者】離婚マネーアドバイザーFP.Daiki

・AFP

・社会保険労務士有資格者

・年金アドバイザー2級

・離婚カウンセラー

産後クライシスを乗り切れず、離婚。離婚を機に「同じ苦しみを味わう人を救いたい」という思いで再起。

現在は、家計診断・勉強会・個別サポートでお客様の離婚×お金の問題を二人三脚で解決しています。