第2章 取引と仕訳、勘定科目
1.現金・預金
◆現金の範囲
簿記でいう現金の範囲では、一般的にいわれる現金(紙幣や硬貨)のほかに通貨代用証券も含まれます。
通貨代用証券には次のようなものがあります。
・他人振出小切手
…他人や他社が振り出した小切手
・送金小切手
…送金用に銀行が発行する小切手
・郵便為替証書
…送金用に郵便局が発行する証書、小為替
・利払日の到来した公社債の利札
…国債や社債の利札のうち期日が到来し、いつでも換金可能なもの
・配当金領収書
…株主が会社から交付される配当金の証書
◆現金出納帳
現金出納帳は、日々の現金の出入りを記録する帳簿をいいます。
現金出納帳は現金に関する補助簿としての位置づけにあります。
前回学習した仕訳帳や総勘定元帳が主要な帳簿で主要簿と呼ばれるのに対して補助簿はある特定の勘定科目の内訳明細を示すという意味で補助簿と呼ばれています。
【現金出納帳の記載方法】
・日付欄…取引が発生した月日を記入
・摘要欄
取引の内容や取引先名などを記載します。
・収入欄、支出欄
現金の入金額、出勤額を記入します。
・残高欄 残高を記入する。
・締め切り
通常は月ごとに締め切ります。
末日の残高を支出欄に記入し、摘要は次月(次期)繰越とします。
翌月の初日に繰越額を収入欄に記入し、摘要は前月(前期)繰越とします。
◆現金過不足
経理の基本で最も重要なことは現金の帳簿残高を実際の帳簿残高に一致させることです。
現金の帳簿残高は通常手元や金庫の中にある現金の残高に一致します。
しかし、時としてこれが一致しないということが起こります。
この実際の金額と帳簿残高との差額を現金過不足といいます。
この現金過不足の原因が分かる場合には直ちに正しい勘定科目で処理し、万一分からなかった場合には、現金が多い場合には雑益や雑収入、現金が少ない場合には雑損や雑損失で処理を行います。
◆小口現金
小口現金とは、通常会計係が行う現金管理を用度係や小口係などの支払担当者をおいて日常的な少額の現金を管理させる場合に用います。
小口現金の管理には、定額資金前渡制(インプレストシステム)と随時補充制とがあり、簿記検定では前者の定額資金前渡制が出題されます。
定額資金前渡制では、一定期間ごとに実際支払い額と同額を補充する方法で補充直後の小口現金は常に一定額となります。
小口現金は小口現金出納帳で管理を行います。
◆当座預金と当座借越
・当座預金は銀行と当座預金契約を結んだ当座口座を管理する勘定科目です。
また、当座預金での支払いは小切手で行います。
小切手は小切手帳から振り出します。
小切手を受け取ったときには先ほど学んだように現金勘定の借方に記載しますが、小切手を振り出した場合にはその時点で当座預金勘定の貸方に記載します。
ただし、小切手は受け取った者が銀行に持ち込んだ時点で引き落としになるため当座預金の銀行残高と一致しないケースがあります。
また、自己振出の小切手を受け取った場合には当座勘定のマイナスを取り消しをすることになるため当座預金の借方に記載します。
当座預金は現金出納帳と同様に当座預金出納帳で管理します。
・当座借越契約
振り出した小切手が落ちなかったとき、経営者が最も恐れる不渡りという事態になります。
そこで万一口座がマイナスになっても大丈夫なように当座借越契約を締結します。
当座預金勘定がマイナスになった場合には、実質的には一時的な銀行からの借り入れになるため当座借越勘定の貸方に記載します。
また、当座借越勘定を用いずに借方・貸方の両方で使うことが可能な当座勘定を用いることもあります。