今朝、食した真紅のトマト。見てくれも美しいし、味も最高。
トマト好きな私が、こんなに美味しいトマトと再会できたのはナン十年振りのことだろう。

「真紅のトマト」の思い出。
あれはナン十年前のことだろう。
夜8時過ぎ。駅の近くの路上。
「旨いよ~、旨いよ~」と、低~いどすの利いた声を出して、
軽トラックの荷台に乗っているのはステテコに捻り鉢巻きの強面のお兄さん。
その強面のお兄さんが指を指すのは…ヤマのように積まれたトマト。
月明かりの中でしたが、その「真紅」が美しいこと。

思わず2個買ってしまい…帰宅して、食べてみると美味しいこと美味しいこと。

「軽トラックのトマト売り」は、毎日ではなく、時々しか来ていないのですが…。
翌日、また同じ場所に軽トラックが来ていたので、
「4個ちょうだい」と声を掛けると、
例の強面のお兄さんが「あんちゃん、旨いもんは、買い溜めしちゃあダメだよ。
今日も2個だけ持って行きな」と言ってくれました。

そもそも強面だし、路上で軽トラックによる無許可の販売ですから。
道行く人は「軽トラックのトマト売り」を見て見ぬ振りをして
足早に過ぎ去って行く人がほとんど。トマトは殆ど売れていない。

軽トラックは「ヤマのように積まれたトマト」と共に暗闇に消えていきます。

それなのに。
たまたま買っていく私に、数を押し付けるどころか「買い溜めしちゃあダメだよ」
と言う温かい言葉。
私が買ったのは。真っ紅な美味しいトマトと「本物の商売」。


今朝、久々に食べた「美味しいトマト」と共に、ナン十年も前の思い出を思い出していました。