「お電話ありがとうございます。ねんきんダイヤル、中央年金相談室のいな穂が承ります」

と、私は一時期、社会保険庁でお仕事をしておりました。

中央年相室(年金相談室)は、遠の昔に無く、代わって「年金第一コールセンター」となり、

そして、事実上、昨日を以って、社会保険庁も無くなり、

1月4日から日本年金機構となります。


思えば。

私は、「機構移管の話」が持ち上がる直前の「大変な時期」に中央年相室におりましたが、

「大変な思い」は殆ど無かったように記憶しています。

相談を寄越してくる方は、「年金受給者」や「間も無く受給者」の方々でしたが、

公的年金に対する信頼は、それはそれは「分厚い」ものがありました。

「がんばってくださいね。お若い方が頼りですから」

「年金を頂けて、穏やかな老後を過ごすことができます」

「経済が厳しい中、お若い方は年金を納めるのが大変だと思います」

と多くの激励のメッセージを頂いておりました。


ごく一部の職員による、「年金記録の覗き見」に端を発した、社会保険庁の組織ぐるみの問題。

私も、私が相談に明け暮れている傍らで、女性係長が日長、携帯メールに明け暮れている姿を見かけたものでした。

年金受給者からの「ナマの声」は、私たち相談員のところで止まり、社会保険庁の職員の所には届かない、

そんな「水際作戦」が出来上がった組織であることを、まざまざと実感していました。


日本年金機構に移管したとして。

(上述のような)ますます「水際作戦」が実行されるのでは…私は、今、そんな思いでいます。

ナゼなら、日本年金機構は「アウトソーシング」を促進する組織なのですから。

日本年金機構、つまり日本の「公的年金にかかる事務体制」は、今後、「ゼネコン化」していくもの、
と予想しています。

IT業界が「ITゼネコン」と揶揄されているように、「ねんきんゼネコン」なんて言葉が登場するのかも知れない。


日本年金機構。

それは「受給者のナマの声が届かない組織」。

やがて「納付者のナマの声が届かない組織」に発展していくことでしょう。

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