(古いニュースですが)。横浜で3人死亡事故(記事はこちら)。
「信号をよく見てなかった」と言うが、それだけではあるまい。相当スピードを出していたのだろう。

私は、前職で10件ほどの死亡事故の示談交渉を行い、また立ち会ってきましたが…(ナント事故の多いタクシーだ!)。と言うと、「さぞ、ご苦労が多かったでしょう」と優しい(!)お声掛けを頂けそうです。

しかし、実際は、49日が過ぎるころから、家族関係をヒアリングし(家族関係と遺族の人数で慰謝料が決まる)所定の計算式に当てはめ「命の重さ」を算出し、遺族に提示する。「最初から納得」するケースはマレなので、提示額は「低い金額」から出発します。その後は、指数を少しずつ変更し、徐々に金額を引き上げていきます。

さて、損害保険の目的は「原状回復」です。
「マイナスをゼロ」にすることが、その役割です。
「マイナスをゼロにし、プラスにまで」と言うのは「焼け太り」とか「疾病利得を稼ぐ」ことになり許されません。

ところで、今回のような死亡事故の場合、「損害保険の目的」を達せられるのであろうか?

「対人無制限」の保険を契約しているのであろうから、金額的には問題あるまい。
遺族の手元に入ってくるのは、所詮、数千万円程度の現金にしか過ぎない。

亡くなった人の笑顔は返ってこない。
老いた母親を介護する人は返ってこない。
看護師としての可能性も戻ってこない。

いつものように、いつもの時間に現場に立っていただけなのに。

亡くなった方の人生を、亡くなった方の家族の幸せを、亡くなった方の職場の笑顔を
すべてが奪い去られてしまった。
手元に残るのは、ホンの数千万円のはした金…これを以て「原状回復」と言えるのであろうか?

仄聞で恐縮なのだが。
かつて死亡事故の裁判で、こんな遣り取りがあったそうだ。
裁判長:「被告(交通事故の加害者)は遺族に○千万円の賠償金の支払いを命ず」
遺族(夫):「裁判長、質問があります」
裁判長:「ナンでしょうか?」
遺族(夫):「賠償金を(交通事故の)加害者に全額くれてやってください。その代わりに、私が加害者を轢いても宜しいでしょうか?」
裁判長:「……」
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