犯罪を始めることを「実行の着手」といいます。
例えば、人を殺そうとしてナイフで切りつけることです。
実行の着手があったかどうか、とても重要です。
着手があれば、結果がでなくても「未遂」として処罰されるのに対して、着手なければ、原則処罰されません。
スリの場合、被害者に近づいただけでは着手になりません。
被害者の財布が入っているズボンのポケットに手を差し込んだ時が着手になります。
窃盗が家の周りをうろうろしただけでは着手になりません。
鍵の開いている玄関から入って居間の美術品に手を触れたら着手になるでしょう。
患者を殺そうとして、毒薬入りの注射をさすように、何も知らない看護士に注射を渡した時点では着手になりません。
この場合、道具として利用された看護士が患者に注射した時点で着手となります。これは「間接正犯」のときの論点です。