20代後半、
ネクタイ販売の会社員から脱サラしてこのうなぎ屋さんを始めて35年。
ここFOXYのお隣りさんです。
昔、私の友人も何人かこのうなぎ屋さんでアルバイトをしていました。
マスターにとってこの35年の間はまさに人生そのものでしょう。
以前ここら辺一帯は民家が立ち並ぶ住宅地でした。
10年前
道路計画のため民家は立ち退きし、『109』前の大通りとなったわけです。
大通りには大型トラックが止められるのでお昼時人気があります。
夜は常連客でにぎわいます。
ママさん(奥さん)と一緒にお店をはじめました。
定食の配達にまわっていたママさんは明るくて町田商店街で有名でした。
残念ながら離縁となってしまい、その後は姿を見かける事も無くなってしまいました。
マスターは一人でお店を切り盛りしてきたわけですが、
夜 べろべろに酔っ払ってこの店の前で車にはねられたり・・・
男手で若いアルバイトの面倒みて苦悩していたり・・・
先日、
「バタンッ!!」と看板が倒れ、「いたたた・・・・・」
急いで看板を起こしてあげると
「悪いね~。もう腰がだめでね~。」
若い頃は血気盛んだったマスターもすっかり丸くなっている。
そして後日、
「お店を閉めることになりました。ありがとね。」
引退後、マスターのそばには、ママさんがいたらよかったのにな。と思います。
「さんざん苦労かけちゃったな・・・」なんて言って
料理人としてではなく一人の人としてママさんにご飯を作ってあげる。
マスターも噛み締めているでしょう。男だからつっぱってきちゃったんです。
『マスター、道路が広がった今と、住宅地だった時、どっちが良かったですか?』
と聞いてみました。
「もちろん、住宅地だった時だよ!!」
即答でした。
「人と人のふれあいが大きかった。なんでも町はキレイに整備されてくけど失ったものも大きいね。」
35年間、色んなものを見てきたことでしょう。