太陽が顔を出し、
部屋には日が射し込んでいる。
段々と床が暖かくなってきた。
昼前までは雨が降っていた。
穏やかで静かな雨だった。
僕は雨が好きだ。
今日みたいな雨が降ると
嬉しくなり心が弾む。
好きな人が側にいるから尚更だ。
僕の好きな人は、
知的で綺麗で可愛らしい。
ふんわりとした雰囲気だけど、
かなりのしっかり者だ。
柔らかく穏やかで、
癒し効果のある声がたまらない。
照れたように笑う顔が
とにかく可愛い。
その人は今
僕の向かい側の席で
美味しそうにナポリタンを食べている。
午前中に二人でスーパーに
買い物に行った。
その帰り道、小さな虹を見た。
彼女が教えてくれた。
小さいけれど鮮やかな虹だった。
彼女が教えてくれなければ
きっと気が付かなかった。
ほんの僅かな楽しさや喜びを
分かち合えるって素敵なことだ。
ましてや大好きな人と
楽しさや喜びを共有できる時間が
ある事はとても幸せなことだ。
僕は今、幸せだ。
彼女は僕に、
小さな喜びや幸せを気付かせてくれる。
本当に大切でかけがえのない人だ。
僕らは一度、進む道を間違えた。
大切な人を傷つけ、
自分も勝手に傷ついた。
間違えても
すぐに修正できると思っていた。
だけど、
修正できないまま時間だけが
過ぎていった。
そして、
埋められない程の距離が
広がっていった。
気が付いた時には
その人を見失っていた。
その道を意地になって歩いた。
でも、全然
進んでいる気がしなかった。
虚しかった。
苦しさだけが増していった。
喉が乾いても
その喉を潤せる水は
どこにもなかった。
次第に水を求めるようになった。
そんなある日、
オアシスを見つけた。
かつて行ったことのある
オアシスにそっくりだった。
喉の乾きは収まらず
必死にもがいた。
もがいているうちに意識を飛ばした。
目を覚ました時には
オアシスに着いていた。
そこは捜し求めていた
オアシスだった。
でも、足が重たくて
なかなか前へ踏み出せない。
喉がカラカラで
上手く声が出せない。
そんな僕をオアシスは
包み込んでくれた。
僕はその時、
やっと元いた道に
戻ってこられたと思った。
苦しくて辛い道だった。
僕が選んで進んでいた道は
遠回りの道だった。
だけど、
その道を歩かなければ
知ることができなかった事がある。
人を想う気持ちや
逢えない辛さ、
そして、自分の中の汚い感情。
色々な想いが心と頭で混ざり合った。
混沌とした中でも
変わらない想いがあった。
彼女が好きだという事だった。
彼女と共に歩きたい、
歩いて行きたい、と心から願った。
過去は変えられない。
未来なんてわからない。
現在を生きていくしかない。
僕は彼女と今を生きたいと思った。
彼女もそう思っていてくれたことが
ただただ嬉しかった。
気が付いたら僕は、
ナポリタンが巻き付いた
フォークを持ったまま
ぼけーっと彼女の顔を見ていた。
ナポリタンを食べる彼女は
可愛くて、どこか艶っぽかった。
「どうしたの?
何かニヤニヤしてるけど・・・
あー
やらしいこと考えてたでしょ」
えっ!? ニヤニヤしてたの!?
やらしいこと・・・?
考えてないから。 ホントに!
むしろ、まともな事を考えてたよ。
君は僕のオアシスだ!とか・・・・・
いや、これまともかぁ・・・
絶対言えない。引かれそう・・・・・
彼女が僕の顔を覗き込むように
見てきた。
「えっ、いやホント
やらしい想像はしてないから。
食べてる顔も可愛いなぁって・・・」
「あれ~、焦ってる(笑)」
焦るでしょ、そりゃ。
ニヤニヤした顔してたなんて
気付いてなかったって
いうのもあるんだけど、
そんな可愛い顔して、
しかも不意打ちで上目遣いに
覗かれたら
心臓保たないからっ!!
できれば食事中に
理性を飛ばしかねない行為は
ご遠慮願いたい。
食事終わってからにして・・・
耳が熱くなっていた。
僕はナポリタンを頬張って
必死に理性と格闘した。
毎度こうなったら
正直、身が保たない。
先が思いやられる(笑)。
僕は彼女の笑顔を見ながら
幸せを噛みしめた。
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次回、最終回です。
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