僕は、冷蔵庫から
レタスと卵と焼き豚を取り出した。
レタスをざく切りにし、
焼き豚は1センチ角に切った。
卵をボールに割り入れ溶いた。
そして、
市販の炒飯の素を使って
炒飯を作った。
由依さんと一緒に晩ご飯を
食べられない時は、
簡単に作れるものにしている。
何だかんだで、炒飯の素を使うと、
それなりに美味しくなる。
僕はざっと作ると、
出来上がったチャーハンを
器に盛った。
そして
テーブルに持っていき
一人で頬張った。
由依さんからの連絡に
直ぐに応答できるように
スマホは脇に置いてある。
チラチラと時間を確認しては
まだだいぶ早いのに、
彼女を駅に迎えに行くタイミングを
見計らっていた。
彼女の帰りが遅い日は
いつもそわそわしてしまう。
だって、あんな綺麗な人が
一人で歩いていたら危険でしょ!!
世の中けっこう物騒だし・・・・・
そう考えると
余計にそわそわしてしまった。
僕は気持ちを落ち着かせるため、
食後にハーブティーを淹れた。
そういえば、あの日、
彼女から大事な話があると
言われた日、
彼女は話しの前に
ハーブティーを淹れてくれた・・・・・
由依さんとおばあさんは
玄関で僕を出迎えてくれた。
おばあさんは
出迎えを終えると、
リビングの隣の部屋に入り
扉をそっと閉めた。
どうやら、
僕と由依さんが
マンツーマンで話さなければ
いけない事らしかった。
由依さんは話しの前に
ハーブティーを淹れてくれた。
「これ飲むと少し落ち着くから」
と彼女は言った。
気持ちを落ち着かせなければ
話せない事を
これから聞かされる。
そう思うと、
気が滅入りそうだった。
たぶん僕の事だと思った。
僕が混血の狼人間だから
その事だと思った。
僕の推測では
彼女はたぶん純血に近い。
つまり、
限りなく人間に近い
狼人間だと思った。
満月の日に変身はせず、
目の色だけが変わる人。
そういった純血の人間や
純血に近い人間の中には、
変身する狼人間に対し差別意識を
持っている人も少なくなかった。
由依さん自身がというより、
もしかしたら彼女の両親が
僕らの交際に反対しているのかも
しれないと思った。
由依さんも、
由依さんのおばあさんも
狼人間には理解がある。
そうでなければ
ウェアウルフ語を話せるわけがない。
この頃、巷では
狼人間と純血の人間との
悲恋モノの映画がヒットしていた。
だから、そういった事に
敏感になる人が増えていたのも
事実だった。
僕は別れを切り出されるのかと思い
内心かなりびくびくしていた。
僕らは少しぎこちなく
ハーブティーを飲んだ。
正直言って
全然気持ちは落ち着かなかった。
ほどなくすると彼女は、
「あのね・・・・・」
と話しを切り出した・・・・・
がしかし、
彼女が語った事は、
僕の推測とは
まるで反対の事だった。
彼女は自身の血統について
話し出した。
現在、
日本では国民の三分の二、
世界では約半数が
狼人間の血を引いている。
その中でも、
純血の狼人間もしくは
それに準じる準純血の人は
世界でも一握りだった。
彼女はその一握りの人間だった。
かなり驚いた。
純血は純血でも、
狼人間の方だった。
今まで純血、準純血の人には
一度も会ったことはなかった。
ましてや
日本にいるとは思わなかった。
というのも、
その一握りに分類される人の多くは
ほとんどヨーロッパにいると
聞いたことがあったからだ。
僕は混血の狼人間。
満月の夜でも普通に過ごせる。
頭に縦長三角の耳が生えてきて、
普段より聴覚が過敏になるくらいで
それ以外は何も変わらない。
でも彼女は違う。
純血という事は、
まるまる変身してしまう。
そういえば、
出会ってから一度も
満月の日に彼女に会ったことは
なかった。
その日を避けているのだろうか?
恋人の前で変身するのは
恥ずかしいのだろうか?
僕がその事を訪ねると、
彼女は少し困った顔をした。
その変身は、どうやら
恥ずかしい以前の問題だと
彼女は言った。
だから、
僕の心の整理がついてから
変身した姿を見て欲しいと言われた。
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