彼女の変身した姿を見た
僕の第一声は、確か


「か、かわいい・・・・・」 だった。



あまりのかわいさに
声が震えたのを覚えている。



彼女を両手で抱き上げると
暖かかった。


そして、
当たり前なのだけど、
彼女からは彼女が使っている
シャンプーの香りがした。



「由依さん」と名前を呼ぶと


クゥン と鳴き、頬ずりをした。



可愛いの極みだった。





僕は彼女を抱っこしたまま
リビングのソファーに腰を下ろした。



彼女をじっと見つめた。



神秘的でシルクのような毛づや。


厳かに輝く宝石のような瞳。


そして、
食べちゃいたくなるようなサイズ感・・・





彼女が変身した姿は、
僕が想像していたサイズではなかった。


巨大化すると勝手に思い込み、
少々身構えていた。


いざ変身した姿を見ると
目尻が下がるほどコンパクトな
サイズ感だった。



正直に言うと、
かなり拍子抜けした。





僕はおもむろに
ティーカップを持ってきていた。


そして、
そっとその中に彼女を入れてみた。



彼女はキョトンとした顔をした。



カップの方が少し小さく
収まりが悪かった。


どうやら、
ティーカッププードルの
サイズではなく、

タイニープードルくらいのサイズ
らしかった。



狼というより超小型犬だった。



一人納得しながら
彼女の頭を撫でると、彼女に


カプッ 


と、左手を噛まれた。



ティーカップに入れたのが
気に食わなかったらしい。


それは何だか


(犬扱いしないでよね)


と言っているみたいだった。



僕がすぐに謝ると、
ペロペロ と噛み痕を舐めた。





変身後の彼女は、
言葉を理解できても
話すことはできなかった。


そして、
動きは子犬のようで少し
たどたどしく危なっかしかった。





変身前の彼女から言われていた通り
専用の食事を器に入れた。


そして、
専用の台をソファーの隣に置き
その台に食事を入れた器と
水を入れた器を置いた。



当初はこの台に
彼女が腰掛けるのかと思っていた。


だけど、
実際はその台によじ登って
食事をした。



食事はヨーロッパ直輸入の
専用フードで、
見た目はキャットフードの
カリカリに見えた。


一粒食べて見たけれど
うま味があり上品な味わいだった。


牛、豚、羊、鹿、鶏、などの肉が
主な原料のようだ。


そこは何か狼ぽかった。



普段と同じ食事でも
いいらしいのだけど、
箸もフォークもスプーンも使えない。


それに、
食べやすく一皿にまとめると
見た目が猫まんまに見えるのが
嫌だと言った。


だから、
いつもネットで
専用フードを注文していた。





彼女には悪いけど、
食べる姿はまさに子犬だった。



僕は彼女が食事をしている間、
ずーっとだらしなく
口元が緩みっぱなしだった。



それに気が付いた時には
すでに彼女は食事を終えていた。





お腹がいっぱいになると
眠くなるみたいで、
僕の膝の上でウトウトしだした。



彼女をベッドに連れていき
寝かせると、
両手をチョイと上げて仰向けで寝た。



へそ天ってやつだった。



僕は我慢できずに
その姿を写真に収めた。





僕が寝る頃には
彼女はベッドの真ん中に

コロンッ と寝転がっていた。
 


彼女を抱えベッドに入ると、
鼻先を首元に埋めてきた。


あまり強く抱きしめると
壊れてしまいそうだったから
そっと僕の左肩に彼女を寝かせた。



その日は、
変身した彼女の寝顔を見ながら
寝落ちした。





翌朝、目を覚ますと、
元の姿に戻った彼女が隣で寝ていた。



その寝顔も当然可愛くて、
そっと彼女の髪を撫でた。


すると、
まるで条件反射のように彼女は
カプッ と僕の手に噛みついた。



そして、


「ティーカップに入れたお返し」


と言って
無邪気な笑顔を僕に向けた・・・・・















初めて彼女と
満月の日を過ごした時は
こんな感じだった。



この時の"へそ天"写真はその後
密かにプリントした。


それは現在、
僕の仕事机の引き出しに入れてある。


疲れた時に見ては
癒しをもらっている。



が、この事は彼女には内緒だ。





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