●業務効率化の効果は出ているのか?定量的な変化に注目

業務の見直しやツール導入、会議の短縮、リモートワークの活用など、業務効率化に向けた施策は各社で進められてきました。

 

しかし、表面的な取り組みだけでは成果が見えにくく、実態を測ることが難しいのも事実です。添付のグラフは、役職者と管理職における「以前と比べた残業時間の変化」についての回答の割合です。

 

今回は、「以前より残業が減った」と回答した人の割合を基準に、業務効率化の効果を定量的に測定しました。

 

グラフから見えてくるのは、「残業が減った」と感じている役職者が約29.1%に対し、管理職では23.7%にとどまっているという点です。

また、「以前より残業が増えた」と感じている割合は、役職者よりも管理職の方がやや高くなっています。

 

この差は一体、何を意味しているのでしょうか?

 

●業務効率化は「現場」に届いているのか?

まず注目すべきは、「残業が減った」と回答した割合が、役職者の方が高いという点です。

これは、現場レベルでの業務改善がある程度機能し、実際に作業時間の削減につながっている可能性を示しています。

 

たとえば、デジタルツールの活用や業務フローの見直し、定型業務のマニュアル化といった取り組みは、特に役職者層――中堅の実務担当者やプレイングマネージャーにとって効果を発揮しやすいと考えられます。

彼らは日々の業務に直接関わっているからこそ、効率化の恩恵を肌で感じやすく、それが残業時間の減少という形で表れたのでしょう。

 

一方で、管理職の立場にある人々は、組織全体をマネジメントする業務の比重が高く、業務効率化の効果が直接的には届きにくい面があります。

たとえば、部門間の調整や、従業員の育成、トラブル対応といった業務は、単なる時間短縮では対応できない「複雑な仕事」であるため、残業時間が削減されにくいのです。

 

●管理職に重くのしかかる「見えない業務」

興味深いのは、「以前より残業が増えた」と回答した割合が、管理職では約17.9%と、役職者の約16.3%よりもやや高い点です。

業務効率化を進めているにもかかわらず、一部の管理職ではむしろ残業が増えているのです。

 

この背景には、次のような要因が考えられます。

 

●部下の業務量を軽減するために、上司がカバーしている

テレワーク導入後、労務管理や進捗把握に時間がかかるようになった

組織改革・DX推進などの新たな業務が増加している

人材不足によって管理業務が集中している

こうした「見えにくい業務」が積み重なることで、表面上の業務は効率化していても、管理職の残業は減らない、あるいは増加しているという現象が起きていると考えられます。

 

●管理職の負担をどう軽減するか

役職者層で業務効率化の成果が出始めている一方、管理職にとってはそれが必ずしも「楽になること」を意味していないという現実が見えてきました。

これは組織運営にとって見過ごせない問題です。

 

たとえば、管理職に対しても業務の可視化と棚卸しを行い、「本当に必要な業務は何か」「他者に委譲できる業務はあるか」といった視点で業務設計を見直す必要があります。

 

さらに、マネジメントスキルだけでなく、「業務整理スキル」や「チームのタスクマネジメント力」など、今の時代に合ったスキルの習得も求められているでしょう。

 

●「業務効率化=残業削減」ではない

今回のデータ分析から、重要な気づきと確証を得ました。

それは、「業務効率化を進めても、すべての人が楽になるとは限らない」ということです。

 

効率化によって、現場レベルでは着実に成果が出ている一方で、組織を支える管理職層の業務負担が目に見えにくい形で増加している可能性がある――これは多くの企業にとって、構造的な課題と言えます。

 

つまり、業務効率化は「点」ではなく「線」で捉えるべき取り組みであり、組織全体の設計・支援体制の見直しなしには、本当の意味での生産性向上は実現しないのです。

 

「Goodモチベーション」で見える課題と未来

今回取り上げたデータは、面談サポートツール「Goodモチベーション」に蓄積された数万人規模のアンケート結果をサンプルデータとして分析したものです。

一人ひとりの声を拾い上げることで、見えない職場の実態や変化を可視化し、組織としての課題発見・解決につなげることができるのが、本ツールの強みです。

 

業務効率化は、単なるツール導入やルールの変更だけでは完結しません。

従業員の声に耳を傾け、現場とマネジメントの両面から丁寧にアプローチすること――そのための「データに基づく対話」が、今まさに求められています。

 

【最後に】

「以前より残業が減った」人の割合が一定数存在するという事実は、業務効率化の取り組みが確かに前進している証でもあります。

しかし、同時に「残業が増えた」と感じている管理職がいることは、表面的な成果だけでは測れない組織課題が存在することを示しています。

 

本コラムが、貴社における業務改善やマネジメント支援の一助となれば幸いです。

今後も「Goodモチベーション」は、リアルな声とデータをもとに、組織づくりを支援してまいります。