耳の症例です。

 

20代女性

 

半年ほど前からたまに左耳がこもるようになり、

自分の声がこもって聞こえる。

最近は頻度が多くなり、平日5日のうち会社にいる時は終日、休日は家でゆっくりしている時にはならないが、人と会っている時などに症状が出る。

右耳はまったく問題ない。

耳鼻科は受診していないが、ネットなどで調べて「耳管開放症」の症状に似ていると思った。

子どもの頃からアトピー性皮膚炎があり、悪化するとステロイド薬を塗り、良くなると止めるという繰り返し。

他に低用量ピルを5年くらい前から服用している。

 

初診は脈診、腹診、問診などから「腎虚脾実」の証で治療しました。脈は沈、やや数、虚。

 

2診目(その後一週間に一度の来院)「休日に症状が出たが、月~水曜日は昼食を食べると症状は消え、木、金曜日はまったくなかった。」引き続き腎虚脾実で治療。

 

3診目 「4日間ほどまったく耳はつまらず。アトピーは痒い時があるが、眠れないほどではないので最近は薬をずっとつけていない。」

 

4診目 「耳は一日症状が出た以外は全く問題なし。いつもある生理時の気分の落ち込みがなかった。」

 

5診目 「一瞬、耳がつまったが30秒ほどで治る。」

 

6診目 「まったく耳がつまることはなかった。」

 

7診目 「ライブに行った時、耳がつまり、治るまでに15分ほどかかった。それからは一度も耳がつまることはない。」

 

これ以降は全く耳の症状は出ていない。

 

完全に耳の症状がなくなるまでに7回の治療を要しました。

この方の場合、

耳の不調に気づいたのが半年前と比較的短かったこと、

常につまっているわけではなかったこと、

そして片耳のみでさほど病が進行してなかったこと、

そして耳鳴りなどの付随する症状が出ていなかったことから治りやすかったと言えるかもしれません。

しかし、それは治った今だから言えることであって、このような場合でも人によってはもっと時間を要することがあります。

 

というか、まったく同じ人間はいないように症状だけを取り上げて罹患している期間や随伴症状や他の症状の有無や程度など比べてみても人によって治り方は違います。

 

お問い合わせで「〇〇病なんですが、何回で治りますか?」とか

「そちらには〇〇病でいらっしゃっている方はいますか?」と聞かれることがありますが、

本当にやってみないとわからないのです。

 

鍼灸治療は西洋医学のように

薬が化学的に作用して炎症を抑えたり、熱を下げたり、

鎮痛させたりという体内の生理機能をコントロールする治療ではありません。

人体を一つの機能的物質と考えるのであれば、薬は忠実な働きをするかもしれませんが、

それは症状を抑えているだけであって、薬が治しているわけではないのです。

治しているのは自分の自然治癒力であり生命力なのです。

 

やってみないとわからないのであれば(もし治らなかった場合にお金がもったいないので)治療は受けないのか、

あるいはやってみようと前向きに考えられるかはその方次第だと思いますが、どんな治療を受けようとも主体は自分であるということ。

 

うまく言えませんが、どうしたら良くなるのか有形無形に主体である本人の関与(気づき?)が必要ではないかと思います。

 

ちなみに上記の女性は途中から低用量ピルを止め、ステロイド軟膏も止められました。

特に私が何も言わないのにです。

 

 

 

 

サルビア鍼灸院