当院には皮膚科で
「爪甲剥離症」(爪とその下の爪床と言われる皮膚の部分が離れて隙間ができ外から見ると白く見える)と診断をされ、
「治らない」と医師に断言されてやってくる患者さんが多いのですが、多くの患者さんを診させていただいて感じたことを書いてみます。
一口に「爪甲剥離症」と言っても人それぞれです。
当人にしかわからないくらいのわずかな剥離の方がいらっしゃる一方で爪の半分以上がきれいに剥離して白いという方まで。
それと剥離しているだけでなく、爪そのものが変形していたり、剥離している爪の指が荒れて硬くなっていたり、指腹が腫れていたり、爪が上向きに反っていたり・・・。
でも、明らかにこういう病気、昔はなかったんじゃないかなー、あったとしてもごくごく少数と思ってみています。
原因は不明とされています。
その中でも敢えて原因を探るとすると
1)機械的な刺激(強弱は問わない)つまり指の酷使。
たとえば楽器を弾くとかパソコンやスマホの使用、ゲームなどで反復してその指を使ったが故になったもの。
2)ジェルネイルで薬剤をつけたり、紫外線にあたったためになったもの。あるいはネイルでなくても塩素系のような強い洗剤がついたもの。
3)爪の間に下敷きのような薄いものがはさまって爪の間が広がってしまってからずっと治らないもの。
4)長期間にわたって薬を飲み続けている人。(どの薬によるものかは限定できないですが。)
5)ストレス。
爪の症状が出る前にすごく仕事が忙しかった、とか家族が病気をしたとか、悩みを抱えていたとか。
6)まったく思いあたるふしはない。
子どもの頃から剥離していてもう数十数年剥離保持者という方もいらっしゃいます。
どの原因も引き金であって、そういう素地〈身体の変調〉があってたまたま外的、内的刺激を受けることによって発症したものだと考えられます。
そして、何といっても厄介なのはその引き金になったと思われる原因を取り除いたら(ネイルを止めるとか飲んでいた薬を止めるとか・・・)自然に治るかといったらそうでないところです。
治るどころか、別の指にまで新たに出てくることもあります。
一度そういう爪の生え方が身体にプログラミングされてしまうと延々同じような爪が生えてきてしまうのです。
つまり、全身性の疾患と捉えられ、爪に異常が現れるような身体の異変があったと考えていいと思います。
原因は何であるにせよ、身体は正直でその異変を爪という形でサインを出しているわけなのです。
もちろん、今が今、重篤な状態ではないと思いますし、もしかしたら年を取ったら白髪になるようにある種の退行変性かもしれません。
だから放っておいても痛くも痒くもないのであれば放置しておくということもできます。
でも、何らかの異変があるからこうなったのだと考えるなら、治りたい、きれいな爪に戻りたいと思うのが自然でしょう。
そこで経絡治療の出番です。
全身治療で身体の癖(体質)を改善し、人間が本来持っている生命力を引き出すことで皮膚は艶やかになり、きれいな爪が伸びてきます。
東洋医学では爪は「筋余」(筋の余り) 、(ちなみに髪は血余、歯は骨余)
と言って、筋肉の延長というか一部と考えられ、筋は五臓のうちの肝(西洋医学でいう肝臓と同じものではありません)が支配しています。
なので肝の状態が爪に反映されると考えられのですが、爪甲剥離症が肝だけの変調で発症するのかと言えば、そうとも言えないところが難しいところです。
人によっては肺であったり、脾であったり、腎であることもあるのです。
治療に際しては初回、爪の写真を撮らせていただきます。
その後、1か月単位で写真を撮っていきます。
爪甲剥離症の治療をやり始めて当初の頃はまったく写真を撮ってませんでした。
ご本人の爪なので一番よく見てらっしゃると思っていたのです。
が、見ているようで見ていない方が多い。
特に毎日見ていると案外、変化がわからないもので「良くなったような気がする。」とか「悪くなった。」という自己申告があてにならないことに気付いたのと、良くなった時は何もおっしゃらないのに、悪くなってから「せっかく良くなっていたのに。」とおっしゃられてこちらとしてはえっそうだったの!ということがあったからです。
たかが爪、されど爪です。
このような爪になってしまったのを機に食事、生活習慣、生活環境、飲んでいるお薬などなど、改善できることはないか考えてみる良い機会だと思います。