昭和の母 昭和の父

敗戦からの復興 高度経済成長

モノの豊かさを掴んだ 子どもの教育を競った

上流階級を目指し 24時間働いた

頑固一徹 厳格実直

質素倹約 礼儀礼節を重んじた

子どもに夢を描き 期待をかけた

 

自分の望む通りに育って欲しかった

先回りして安全なレールを敷こうとした

なんでもしてあげた

自分のことより子どものことが優先だった

 

 

価値観の押しつけも 親切の押し売りも

行き過ぎる干渉も

子のことを思えばこそと

老害と思われようと 言わなくてはならない

信念は曲げない こだわりは譲らない

 

子孫繁栄を盾にジェンダーレス社会には理解を示さず

障害者を見るとかわいそうにと言い

容姿や肌の色への差別、偏見にも無頓着で

愚かな中年息子を今なお猫かわいがる

 

切ないくらい正直で いじらしいほど純粋で

あくまでもシンプルで まっすぐに生きてきた

 

 

スーパーの売り出し品に並び

蓄えは子どものため

子どもに迷惑をかけたくないと言い

散歩に家庭菜園 健康に気を配る

あいさつを大切にし 笑顔を忘れない

 

二人の思いがあって 今、私がここにあること

最上級の愛情を注いでくれた

そんな両親と過ごす 残された時間が

今日も緩やかに 流れていく