2019年5月8日 発刊 岩波書店
【感想】 2013年7月24日 NHKの女性記者佐戸未和さんが過労死で亡くなった。その事実をNHKが公表したのは、2017年10月で実に四年後のことであった。
この本は、美和さんの父佐戸守さんと母佐戸恵美子さんの気持ちを受け止めて、尾崎隆史さんがNHKや現政権の「働き方改革」を告発し、一般市民である親や働く若者に注意喚起している本である。
内容は、NHKが未和さんの過労死事件の組織的隠蔽と公表潰しに奔走する姿を晒し、その対外的に説明する「働き方改革」なる取り組みの胡散臭さを暴露している。そして取材活動を通じ、NHKの報道姿勢が、自らが関わるネガティブ情報を報道せず隠蔽していると告発しているのだ。
NHK は あるべき本来のジャーナリズム姿勢を失ってしまった存在となっている。それは最近の 安倍首相になってからの政権の権力維持姿勢と軌を一にするのだ。NHK は政府忖度報道を続け、政権に都合の悪いこと、あるいは NHK組織に都合の悪いことは、全て隠蔽して公表しないと決意している。しかし、仮にも報道機関であるNHK という 組織に関わる記者たちが、組織防衛ということに何の疑問を持たずに組織目的に向かって、疑問を持つ国民を排除している、という事実を思うにつけ、 NHK には ジャーナリズムという言葉はもうないのかと 記者達に問いたいものだ。