今回から新宿ショー2024の入手品紹介です。

今回も標本を2点しか手に入れていないので1標本当りのブログを分割UPして行ます。

 

 

 ラベル情報: Spicomellus sp.スピコメルス属

        middle Jurassic ジュラ紀中期

        El Mers FMT エル・マース層群

                      Boulemane Morocco ブルーマヌ県 モロッコ王国

 

 サイズ: スパイク部分 L 36.50 ㎜ × W 32.88 ㎜ × H 77.96 ㎜       

                (L と W はスパイクの根元部分を測定し太い面をLとした。H はスパイクの最も長い片を測定)

 

      肋骨?部分 写真上辺右端部分厚み       21.94 ㎜

                                    写真上片左端部分厚み        16.12 ㎜

            写真下片スパイク根元中央付近厚み   8.36 ㎜ 

 

 ラベル情報を補足すると、スピコメルス属はモロッコ王国のミドルアトラス山脈北部にあるフェズ・メクネス州ブルーマヌ県ブラーファ近郊の海成層エル・マース層群エル・マースⅢ層(バース階1億6830万年前~カローブ階1億6310万年前)から発見された初期の鎧竜類です。

 

 Google Mapでブラーファを調べると以下の結果になりました。

 


 上図の赤印がブラーファの位置ですが、それ以外にブルーマヌ(黄印)やエル・マース(橙印)などの地名も見つかりました。

多分ですが、エル・マース層群の名称は橙印のエル・マース集落にちなんで命名されたのかもしれません。

 

 ホロタイプ標本は商業化石ディーラからロンドンの自然史博物館が購入した部分化石です。

 

 当初はエル・マースⅢ層と同じ場所にある同時代の陸成層のゲッティウア層から発見された剣竜類アドラーティクリット(Adratiklit boulahfa)ではないかと推測されていましたが、化石から切り取った骨の組織を調べたところアンキロサウルス科に見られる特長的なパターンが観察されました。

 

 これ(スパイクと肋骨が融合した恐竜化石にアンキロサウルス類の特徴が見られたこと)は非常に珍しい発見だったそうですが、この標本が業者から購入したものだったことから研究グループは最初にフェイクの可能性を考えたそうです。

 

 そのため部分骨格全体をCTスキャンで精査しましたが人為的に作られた痕跡は見当たらなかったため、正式に恐竜類鳥盤目装盾亜目アンキロサウルス科スピコメルス属として2021年に記載されました。

 

 なお、属名はラテン語でスパイクを意味するspicusと首輪を意味するmellusから名付けられています。

 

 以上、今回はここまでにします。

次回はこの標本がsp.であり種名aferではないことについて検証したいと思います。