池袋ショーが終わって一週間ですね。

遅くなりましたが今回手に入れた標本の詳細UPです。

今回はこれ一つなので複数回に分けて詳しくUPしていく予定です。

 

 

 最初にラベルの記載内容です。

Torvosaurus gurneyi(トルボサウルス・グルネイ)、Savage lizard(獰猛なトカゲ)、Partial tooth(分離部分歯)

 

 トルボサウルスはジュラ紀後期キンメリッジ階からチトン階(約1億5300万年前-1億4800万年前)に現在の北アメリカおよびヨーロッパ(及び東アフリカ?)に生息していた体長10mに達する大型の獣脚類です。

なお、米国ではブリガムヤング大学の古生物学者ジェームス・ジェンセン及びピーター・ガルトン(Peter Galton)が1972年にコロラド州デルタ郡のモリソン層ドライ・メサ発掘地(Dry Mesa Dinosaur Quarry)で発掘調査を行ないトルボサウルス属のタイプ種トルボサウルス・タンネリ(Torvosaurus・tanneri )の命名と記載が行ない、ポルトガルではリスボン新大学博士課程の学生、クリストフ・ヘンドリックス(Christophe Hendrickx)が2006年にポルトガル中西部のロ-リニャン層でトルボサウルスのものと思われる骨を発見、この化石はトルボサウルス・タンネリの化石に酷似しており、最初この2つが同一種のものと考えられていましたが、さらに詳細に分析した結果、これら2つの種が原始大西洋(Proto-Atlantic Ocean)を挟んだそれぞれの地で数百万年にわたり独立して進化してきたとの結論を下し、トルボサウルス・グルネイと命名されました。

 

9-11 metres long(体長 9~10m)、2.5 metres long(体高 2.5m)、3 tonnes weight(体重 3t)

Order:Saurichia(目:竜盤類)、Suborder:Theropoda(亜目:獣脚類)

Family:Megalosauridea(科:メガロサウルス科)

Upper jurassic(145 Mya)後期ジュラ紀(1億45百万年前)

Lourinha – Peralta – Portugal(ローリニャン,ペラルタ,ポルトガル)

(*ここではLourinhaをローリニャンとしていますが、ロウリンニャが正しい発音に近いのかもしれません。)

 

 産地情報が少し判りにくかったので理解に手間取りましたが、ポルトガル共和国セントロ地方オエステ地域ローリニャン市?(下図2)ペラルタ海岸ローリンニャ層と云うことのようです。

 

 最初にこの標本を見た時の感触は余り状態が良くないな、と言うことでした。

歯尖のエナメルが剥がれているのではなく、欠けている部分を作っているのではないか、と感じましたので、取りあえず流して他のブースを回ることにしましたが、恐竜化石ガチ勢のブースを最後まで見て回っても(価格的な意味も含めて)これはと云った標本に巡り会えませんでした。

 

 最終的にせっかく東京まで来たのだから1標本だけは手に入れることに決め、仏ブースにあった米国モリソン層、タンザニア共和国テンダグル層と生物相が似ているポルトガル共和国のローリニャン層(下図1及び3)産トルボ歯にしました。

 

     図1                 図2        図3

 

 理由はトルボ歯もケラト歯も広大なモリソン層(図5の黒太線内、面積100万~150万㎢)産であっても希少な標本なので数千分の1の広さしかないローリニャン層(図4の右下、地層色別け詳細の上から3番目の水色)と同時期のアルコバサ層(図4の同4番目の濃い水色)と併せて400~500㎢)のトルボとケラトは更に希少なのではないかと思ったからですが、両方とも過去にGさんところで出ていたモリソン層産歯よりかなり小さく状態も良くない標本だったのでケラト歯は諦め、ケラト歯より大きかったトルボ歯のみとしました。

もちろん、円高で気が大きくなっている時期なら同産地のケラト歯もお持ち帰りとなっていたと思います。

(*モリソン層、ローリニャン層、テンダグル層の生物相については「世界の巨大恐竜博2006」の公式解説書PP. 69~71に概要が載っているのでお持ちの方は読み返してみるのも面白いと思います)

 

                図4               図5

 

 なお、この標本はオールドコレクターの放出品でという事で現在は採取できなくなった産地のものということでしたが、画像を見て判る通り無駄に母岩が大きく厚みも5cmほどあるので、嵩張って重いのが難点です。

 

 以上、長くなったので今回はこれで終わりますが、次回には鋸歯をUPするようにします。