前回に引き続きジョバリエ歯を取り上げます。
というのも、新宿ショーからの帰る道中に以前、今回のジョバリエ歯に似た標本を手に入れていた事を思い出したからです。
それが,この標本。
スピノフォロサウルス・ニゲレンシス
Irhazer Group, Irhazer FoamationⅡ170.3Ma~166.1Ma(ジュラ紀中期バッショアン~バトニアン)
マランデット地方、ニジェール共和国
これは2018年の池袋ショーで伊ブースから手に入れた物ですが、当時はマダガスカルのボスリオ歯に似てるな、という印象が残っている標本でした。
さすがにマダガスカルとニジェールを間違うはずはない?だろうと思いましたが、スピノフォロ歯とジョバリア歯が同じ物ではないかと気になりましたので少し文献を調べる事にしました。
上図はニジェール共和国の化石発掘サイトの位置と地層です。
上段右端の緑丸の黒数字が発掘サイトの数になりますが、アガデス市の近郊に多く集まっていることが判ります。
上図はアガデス市近郊の12サイトの詳細位置です。
ポールセレノ博士の調査では多くの恐竜がこれらのサイトから発見されていますが、要旨は以下の様になります。
地層
① Irharez層群 Irhazer頁岩累層(145Ma~133Ma)白亜紀 ベリアシアン~パランギニアン
② Irharez層群 Tiouren累層 (168ma~145Ma) ジュラ紀 バトニアン~チトニアン
③ Irhazer層群 IrhazerⅡ累層 (170Ma~166Ma)ジュラ紀 バッジョアン~バトニアン
恐竜化石
① Carcharodontosaurus saharicus
Aegyptosaurus baharijensis
Spinostropheus gautieri
Rebbachisauridae
Elaphrosaurus sp
② Jobaria tiguidensis
③ Paravipus didactyloides
Spinophorosaurus nigerensis
Afrovenator abakensis
つまり、文献上はジョバリエとスピノフォロサウルスは発掘された地層が違う別の恐竜と云うことになるわけです。
とはいえ、手に入れた標本は似たような形質を持つのでマダガスカルの竜脚類で起きたアーケオドントサウルスとボスリオスポンディルスのような混乱やラパレントサウルスが無効となりボスリオスポンディルスが有効名になったことなどが起きないと良いのですが・・・。
以上でジョバリアとスピノフォロサウルスの比較は終わりますが、次回以降にオマケ企画としてスプーン型の歯冠を持つ北米のジュラ紀竜脚類やマダガスカルの竜脚類、ニジェールサウルスのようなモロッコの竜脚類歯?などを数回に別けて短く紹介します。