ご無沙汰しております。

前ブログの終了が決まった頃から気乗りしなくなったといいますか、ミネラルショーのない時期に突入したこともあって更新が滞っておりました。

 

本来であれば、今週末当りに石ふしぎ大発見展大阪ショーが行われ、少しはヤル気も出て来る予定だったのですが、新型コロナの影響で7月まで開催延期(7月に開催できるかは甚だ疑問です)となってしまいました。

 

このまま行けば新宿ショーも中止、池袋ショーが開催出来るかどうか、と云ったところでしょうか。

現在の状況は非常に残念ですが、懐具合には優しい年になりそうです。

 

では、今回紹介する化石です。

 

 

種名: キンベレラ・クアドラータ(Kimberella quadrata)
時代: 原生代エディアカラ紀(6億2千万年前~5億4千2百万年前)
産地: ロシア連邦国北西連邦管区アルハンゲリスク州白海沿岸地域(バイダル層群上部リャムツア層?)

 

ロシア白海地域のキンベレラ印象化石です。

キンベレラは原生代末期エディアカラ紀(約6億3500万年前~約5億4100万年前)の地層からだけ発見されるエディアカラ生物群の一種です。

 

エディアカラ生物群の化石はオーストラリアやロシアの他にナミビアやカナダなど、世界各国の20ヶ所以上から発見されているため、カンブリア生物群(パージェスや澄江)のように入手が難しいというほどの化石ではありません。

 

本来なら、気に入った化石が複数出て来るまでゆっくり待つつもりだったのですが、今年は全ミネラルショーが中止になる可能性を考え、取り敢えずこの標本を手に入れることにしました。

 

属名は1964年に中央オーストラリアの遠征中亡くなった収集家ジョン・キンバー(John Kimber)にちなんでキンベリア(Kimberia)と命名されましたが、この名前はキリガイダマシ属の亜属に使用されていたことが判明したため、1972年にメアリー・ウェイドの提案によってキンベレラ(Kimberella)に変更されています。

 

キンベレラは1946年にオーストラリアの地質学者レッグ・スプリッグにより南オーストラリア州アデレードの北300㎞付近にあるフリンダーズ山脈のエディアカラ丘陵でエディアカラ生物群の一種として発見されましたが、近年ではロシアの白海地域から様々な成長段階のキンベレラ(最大の個体では体長15㎝、幅7㎝、体高4㎝に達し、最小の個体では体長さが2㎜)が千体以上見つかっています。

 

この地域の化石は保存状態が大変良いため外観や内部構造、運動や摂取方法など様々な情報が得られています。

 

キンベレラ生態復元 (NHKスペシャル 地球大進化ガチャ、原色地球大進化図鑑より)

 

 

この標本もキンベレラの特徴をよく表しています。

体は楕円形で前後に長く、刺包動物(クラゲやイソギンチャクなど)に特徴的な放射相称は無く、左右相称的な特徴を持っています。

 

また、この化石には痕跡が見られませんが、長い吻の先に付いた爪のような歯舌で海底の堆積物(バクテリア?)を引っ掻いて食べていたと考えられています。