京都ショーで手に入れた標本紹介の2回目で最終回です。

本来は翡翠の安価なカボッションルース各種だけを手に入れるつもりで参加したのですが、あまりにも見栄えの良い修復のなさそうな嘴化石が出ていましたので手に入れてしまいました。

 

 

 2000年代に入った頃はアンハングエラ程度しか名前の付いていなかったモロッコの翼竜ですが、今ではアンハグエラ以外にグナトサウルスやシロッコプテリクス、アランカ、コロボリンクスなど多様な名前が見られるようになっています。 また、これら以外にも新たに発見され研究中の翼竜も数種見つかっているようです。

 

 このように白亜紀のモロッコでは多種多様な種類の翼竜が繁栄していたようですが、翼竜は空を飛び易くするため中空化した骨と華奢な骨格を発展させたからでしょうか、化石になり難いようです。そのためか、ミネショで見かける翼竜化石の多くは分離した歯冠で、それ以外はたまに翼や足の爪が見られる程度で嘴は非常に稀でした。ただし、翼竜は恐竜に比べ人気が無いので現地で採取されないだけなのかもしれません。実際、モンゴルの化石発掘現場では翼竜の歯なんかは見向きもされずその場に放置だったそうです。

 

 詳細です。

 

 

 残念ながら産地情報は殆どありません。

 

 翼竜の嘴 

 アルビアン~セノマニアン

 ケムケム層群

 モロッコ王国タウズ地域

 

 唯一特徴と言えるのが、

 

 

嘴の中に2列で等間隔に開く痕跡です。ブースによれば歯槽の痕跡かも、ということですが、翼竜の歯は嘴の中ではなく縁から突き出していたような・・・。

 

 なお、この化石を手に入れたことにより翼竜の嘴は3種類目となりました。

 

 

  サイズは長さのみですが、上段 320㎜、 中段 150㎜、下段 60㎜ですが、中段の嘴は先端から50㎜程度(少し黒っぽく見える部分)は作られていると思います。また、下段のみ嘴の上下が揃っており、上段と中段は下嘴だけですが、3種とも歯のないタイプで中段だけがアランカタイプとして区別できます。

 

 産出情報については中段がケムケム層群、モロッコ王国のみ。下段がアランカ・サハリカ セノマニアン テガナ層のみです。

嘴の大きさから翼竜の大きさを推定できるかと思いプテラノドンの全身骨格を調べてみると凡そ下嘴の長さと顎から頚の付け根までの長さ、頚の付け根から尾椎の先端までがほぼ同じ長さのようです。であれば、今回手に入れた上段の下嘴が折れていないとした場合、体長約1mの翼竜のものと言うことになります。