不妊治療をすると、耳慣れない単語に一喜一憂することになる。

例えばhCG (ヒト絨毛性ゴナドトロピン)だ。

大文字と小文字が混じっている理由は未だに分からないが、胚移植をした後はこの値が重要になる。

 

新宿のKLCでは、hCGの値が伸びていると一番右側の加藤先生が鎮座している部屋に通されることが多かった。

数値が伸びていないと左側の部屋だった。

 

吉祥寺のIレディースクリニックでは、胚移植の前にhCGを注射した。

着床促進のためだと説明を受けた。

 

この数字がゼロやLowと出ると、微妙な着床でかすったくらいなので妊娠には至らないと判断される。

胚移植前にhCG10000打っても、結果がLowだと一体どこに流れてしまったのかと悲しくなった。

 

不妊治療は基本的に自己負担100%。

続けるならまた生理が始まったら3日目に来てください、と言われるだけだ。

 

ずっとhCGで躓いて前に進めなかったとき、病院から

「夫婦で相談し、しばらく休んだらどうですか」

と言われたことがある。

婉曲的な表現の卒業の引導だと思った。

 

続けたかったらどうぞ、でもお金も更に飛んでいきますよ。

紙切れ1枚のhCGの値に振り回される。

受験で言えば合否判断。

ダメだったときは空虚感しかない。病院で静かに泣いている患者さんも目にした。