一時期、登場直後ぐらいでしょうか、海外での人気がすごくて日本への入荷が途切れまくっていたのがピレリのP-ZERO RACE TLRです。うちでも入荷後はよく売れるようになりました。評判もいいです。レースガンガン出る人には、最近はGP5000TT-TRの問い合わせが多いです。

 

このタイヤ、今は同じような名前で二種類あるわけです。普通のとSPEEDCORE。スピードコアの一部サイズは新しく稼働した工場でのミスが出て、初期生産がリコールになりましたが、今後は安定稼働します。

 

さて、 SPEEDCORE と 普通 のですが、大きく違うのは、、、

 

”アラミド粒子配合のゴム層がタイヤ内部を包むのでチューブレスとしての密封性が上がったよということ”

 

とされているんですが、いやいやもっと変更点あるだろ と思っています。

 

重量やコンパウンド、ケーシングTPI値は変わりないとも言えますが乗り比べると感触はかなり変わります。感触を大きく変化させているのは個人的には、全体の構造変更による要因が大きいように思います。フォーミュラカー的に言うとタイヤコンストラクションってやつです(ただ横文字にしただけですがw)

 

P-ZERO RACE TLR 外側から順に

コンパウンド-対パンク中央ベルト-TECHWALL-ケーシング三層

 

 

 

P-ZERO RACE TLR SPEEDCORE 外側から順に

コンパウンド-ケーシング-ケーシング-対パンク中央ベルト-ケーシング-SPEEDCORE

 

 

構造ちゃうやん (°д°)””

 

こういうコンストラクション変更がSPEEDCORE以外の部分で追加されているんすね~

 

僕の方で感じている従来のRACE TLRは

 

○重量はレース志向の競合品よりやや重だが耐パンク性が強い(GP5000Sより5~10g位重)

○転がり抵抗は軽いし、実走でもスピードの残り感が良い

△値段が高い 入荷が遅い

△シーラントの汗かきがある(特に粘度の低いシーラントだとパンクではなく汗かき染み出しが出る場合がある まぁ、これは割りと他社もあるけど)

▲高圧寄りにセッティングすると急激にタイヤの芯の硬さが顔を出す感ある

▲上記に付随してウェットコンディションでのエア圧設定が難しい

 

メーカーではウェットでは0.3下げるようにとか、リム幅に対しての推奨圧を詳細にパッケージやウェブサイトに示してくれているので、そこはすごく参考になるのですが、推奨値とプラス0.2あたりで急に芯の硬さが出ることが気になるタイヤでした。

 

それもそのはずで、耐パンク層という最も硬く変形量の少ない層が最外層に配されているからですね。クリンチャーとかのP-ZEROでもこの構造ではなく、120TPI2層が外のSPEEDCOREと同じ構造です。

 

 

この点を踏まえてSPEEDCOREモデルに乗ってみると、

 

○重量はレース志向の競合品よりやや重だが耐パンク性が強い(GP5000Sより5~10g位重)

○転がり抵抗は軽いし、実走でもスピードの残り感が良い
○しなやかに変形していく感じがSPEEDCOREじゃないモデルより明確

○低圧運用し易い 圧設定の幅で性格急変する感が少ない

△値段が高い (まぁ、しゃあないやんw為替ぇ)

△耐パンク性はSPEEDCOREじゃないモデルのほうが上

▲パンクはしないけどコンパウンド表面に切り傷入りやすい場合があるかも。でもこれはしなやかに路面を掴むこととバーターですかね

 

大きな改良点を体感できるし、最強の転がり抵抗をマークする理由もすごくわかるタイヤですね。

 

レーシングタイヤとしての性能向上では

圧倒的にSPEEDCOREだと思います。

 

 

ただ、惜しむらくは、RACE TLRは今後は売り切りでSPEEDCOREに移行しそうなんですが、、、耐パンク性の高さをついついレースタイヤに求めてしまうホビーライダーにとっては、前作もかなりいい性能もっていたかと思うんですよね。

 

うちでP-ZERO RACE TLRタイヤ買ってくれた人は、僕から 「高めに設定すると急に跳ねるようになるから気をつけて」と必ず言われているはずw

 

今シーズンのプロ選手の使用状況は、SPEEDCOREじゃない方のTLRか クリンチャーにTPUチューブって感じだったのですが、それはたぶん工場のミスの影響じゃないかと思います。28cがもろに食らったので。来季はSPEEDCOREモデルがグイグイ来るんでしょうね。ピーダスンはクリンチャーのまんまかもしれないけどw長距離ミサイル型スプリンターだから重量気にするんでしょうねw

 

もうひとつ下位グレードにP-ZERO ROAD TLRというRACEって名前が取れたモデルもあるのですが、いきなり重量50グラム重くなるので、、、う~ん万人向けではないかなと思います。

 

 

タイヤは、昨今、本当に難しくなりました。レース用のTLRタイヤとして攻めたものもあれば汎用性のバランスを求めたものもあるし、さらにETRTO新規格に準じているとかいないとかw

 

お客様も自分の走りに最適な性能バランスより、転がり抵抗の低さやグリップ感と重量の軽さをお求めになられます。この難しさが楽しさなんですけどね~

 

実売店として情報を整理してお手伝いができるように試したり、調べたり、御購入頂くお客様に小さなことでもtipsお伝えしたいですね。

 

というわけで、長くなりましたが近日のうちに RACE TLR (SPEEDCOREじゃないほう) まとめて入荷します。今月このタイヤ買ってくださった方には、交換工賃分サービスしてきましたが、次の入荷は特価になるので工賃有料です。入り次第、アップします。