初めてのロードバイクをどうやって選ぼうか? 悩んでいる方も多いハズです。大きなお買い物になりますから悩むのは当然です。

 

巷に流れる ”こんな入門モデルはいい自転車だ” という情報は、、、

 

①アルミフレームのほうがカーボンより耐久性が高い。でもカーボンフレームのほうが振動吸収性能がいい。でもカーボンフレームはうんぬんかんぬん。アルミはうんぬんかんぬん。

②コンポーネントは105がいい

③ブレーキはシマノじゃないやつはダメだ

 

ま、だいたいこんな感じでしょうか? そして、同時にこの3条件が 「ほしい自転車が見つかっているのに買うことが出来ないでいる人」 を生み出している部分もあると思います。特にご予算が15万円をこえない人にとっては大きなハードルになっているのではないでしょうか。

 

分解して考えてみましょう。クエスチョンマークを付けておきます。

 

①アルミフレームのほうがカーボンより耐久性が高い?でもカーボンフレームのほうが振動吸収性能がいい?ほにゃらら。。。

TREKエモンダALR、CANNONDALE CAAD12など最軽量クラスのアルミフレームは、フレーム重量960グラムだとか1100グラムだとかいろいろな数字がありますが、塗装やら何やらを含めて考えたときには、”アルミフレームの最軽量クラスはま~実際1100グラムくらいなんちゃうの?”と考えておきましょう。

 

そして、最軽量クラスじゃないほうのアルミフレームは??ってことになるのですが、店長が昨年海外まで持っていったりもしたGIANT DEFYが1440グラムでした。今年のGIANTはもっと軽くなっているみたいです。 http://ameblo.jp/fortunebike/entry-11974872575.html

 

 

 

なにが言いたいのかとゆ~と、「アルミフレームって書いてあっても1440グラム~1100グラムまで幅があるんですよ」ということです。

 

じゃあ、カーボンフレームはどんだけの範囲の商品があるんだ!ってことなのですが、だいたい1150グラム~650グラムぐらいの範囲まであるんですよ。値段を考えないと、無茶苦茶な広範囲なのがカーボンフレームなんです。10万~100万みたいな範囲ですから。

 

で、私が問題有るな~って思うのは、カーボンフレームVSアルミフレームみたいなキャッチーな比較のためなんでしょうけど、特徴を比べるにしても、カーボン650グラムVSアルミ1440グラムの対決はオカシイやろ??ということです。値段で言うなら、60万円vs15万円みたいな話。さらに例えるなら、日本人VSイギリス人自転車対決で、日本代表 錦織大祐 vs 英国代表 サー・ブラッドリー・ウィギンス だったらちょっと待てよって皆言うでしょ??間違ってるぞ、それ!って言うでしょ?比較対象が違うわけです。

 

仮に完成車予算を20万円に設定した場合、アルミフレームで1150グラム、カーボンフレームでも1100グラムくらいなことも今は多いです。割と重量は近いんスよ。

 

で、この同じ重さのアルミとカーボンの耐久性ですが、アルミフレームのほうが丈夫って言い切るのも考えものだと思います。転んでぶつけたときにどっちが大丈夫か?ってことを最初は考えると思いますが、1150グラム近辺になるとほぼ同じだと僕は思います。結局、衝撃/打撃の質によるんですよ。

 

アルミフレームだったらコケても大丈夫だったのに、カーボンフレームだったから割れた!みたいな話ありますけど、同じコーナーで同じコケ方した人がいるとしても、1100グラムくらいのカーボンフレームが割れるレベルの衝撃が1150グラムちょいのアルミフレームに入ったら、結果、どっちもダメですよ。(1440グラムの重量級ならなんとかなるかもしれなかったですけど、ノンダメージじゃないです)

 

フレームのヘタレに関しても、まぁ、これは実際に走っている人は実体感としてわかって頂けると思うんですけど、アルミフレームもカーボンも数万キロ乗れば、ある程度はヘタれるんですね。ただ、ここ5年位に発売されたカーボンの方で1000グラムオーバーのフレームはヘタレ具合があきらかに少ないと思います。対して、最軽量アルミフレームの部類は、個人差も当然ありますが、3万キロくらい行くと、結構踏んで使っていた人のフレームだとかなり進まなくなっていて、ヘタレていることが多いです。折れることは減りましたが。

 

ちなみに、ここまで僕は一切 乗り味の話はしていません。それぞれのバイク毎に違いますしね。アルミだからこうとか、カーボンだからこうってのも実際ちょっと無理があります。

 

振動吸収性に関しては、対象とする周波数帯をどう考えるか、対象とする衝撃の大きさをどう設定するかでほんとは違うんですが、まぁカーボンのほうが振動を吸うという能力には大幅に長けています。フレックスさに関してはアルミも無茶苦茶良くなっているので、入門者の方は「あぁ~自分が選んだバイクがガキンガキンの硬さのバイクだったらどうしよう~」という心配は、(ちゃんとしたブランドのロードバイクを選ぶ限り値段に関係なく)あんまり必要ないと思います。

 

②コンポーネントは105がいい?

まぁ、そうですよね。今の105はかなり良いです。ついでに言うなら、アルテグラの方がいいし、それよりはデュラエースの方がいいです。電動もありかもしれませんね。最近はワイヤレスもありますから。でも変速部品だけで最高級グレードは30万円以上するものも多いです。アルテグラ搭載完成車だと30万クラスが多いし、105もフルセット搭載完成車だと20万弱ですね。

 

コンポーネントの性能がいい方が良いに決まっているわけです。僕だってそうです。

 

でも、ロード乗って四半世紀経ちますけど、僕の脚力は落ち(泣)、部品の性能は上がり、それを無視しても今のSORAとかTIAGRAとか、物凄い性能ですよ。コレ、僕自分で買って試して言ってます。(前述のDEFYなんてそのために自腹切ってます。去年は電デュラ、レコード、SORAってなってましたからねw 結果得たのは、なんだ自転車やっぱ楽しいじゃん。コンポも良くなっているね~でした。)

 

先日のサイクリストサンスポにあったコレ↓がひとつの真理だと思います。僕も7段Wレバークロモリロードから入っているのでw

 

栗村修の“輪”生相談<87>10代男性「クラリスの自転車でレースに出て好成績を残すことはできますか?」 http://cyclist.sanspo.com/295977

 

じゃあ、アマチュアがデュラエースとか使うのに意味はないのか?ってことなんですが、そんなの個人の自由です。もしいきなり面と向かって「デュラエースのくせに遅いですね」って言われたら、「ティアグラのくせに早いですね」とでも言い返せばいいでしょう。あとは殴り合いが始まるだけだと思いますが、言ってることは同じくらい馬鹿馬鹿しいのです。なので、やめときましょう。

 

好きなもんを自分で買って使ったらいいんです。選んだものを大事にして、自分の物にして使いこなしたらいいんです。自分の自転車、自分の時間、だからひとりで走っても誰かと走っても楽しいのです。

 

コンポーネント、自転車部品は大きく進化しましたが、人間の脚力が倍になったわけではありません。自転車は昔よりも安全で楽しくなっているんです。これは僕のど真ん中の考え方でもあり、25年の経験に基いて言っています。自転車はこれからもドンドン素晴らしいものになりますよ。自転車屋は皆、命がけでそうしていきますよ。

 

クラリスだって速くなることは出来ます。ただし、道具として使いこなすこと、性能の維持のために努力すること。これは重要です。廉価パーツで沢山の走りをする、強くなるためのトレーニングをしようと思うなら、安全のためにレース前の点検やショップのメンテナンスをより強い意識で活用すべきです。ま、結果なんでもそうですが。

 

③ブレーキはシマノじゃないやつはダメだ?

そんなん、変えたらいいですよ。変える予算が最初は無いんだったら、あとから変えたらいいです。クランクも同じです。それを変えられるのが自転車のいいところです。

 

 

 

めちゃくちゃ長くなりましたが、毎年、新しいモデルが出るとウキウキわくわくしますが、同時に悩みすぎて心が苦しくなっているお客様にもお会いします。

 

悩むのも楽しいと思ってもらえないのは、ぼくら自転車業界側の力不足もあると思います。精進します。

 

”本当はTIAGRAで自分は満足できるし、本当にほしい自転車にはTIAGRAがついているけどネットには105以上じゃないとダメって書いてあったから、買えない(涙) 本当はいますぐアレが欲しいのに~!! ”

 

なんて人がいたら、うちでもウチでなくてもいいので、自転車屋さんに言って、ありのまま言ってみて下さい。ネットや活字では伝えきれない、うまく書ききれないいろいろなことが面と向かってなら説明できることもたっくさんあります。ほしいと思ってもらった自転車を買った後、どんなふうに良くしていくかも楽しみの醍醐味です。

 

お客さんのニーズによっては、あと少し高いものを勧めることもあるかもしれません。

 

逆に、値段のやすいこっちでも大丈夫ですよ~ということもありますよ。

 

何か、お手伝いできることがあればいいな~と思います。

ウィギンスと対決する時は自転車じゃなくて、ルートビア一気飲みなら勝ち目があると思ってます。