もし今ぽっくり死んだら――
 

冷蔵庫の中、洗いかけの皿、3日分の洗濯物。
 

で、パソコンの“あのフォルダ”。頼む、誰か消しといてくれ。って、誰に頼むんだよ。

 

家族?いない。友達?言いづらい。じゃあ放置?…いや、無理。

 

実は、そういう“死んだあとめんどくさいこと”を
ちゃんと生きてるうちに誰かにお願いできる契約があるんだって。

 

名前はカタイけど、中身はわりと切実。
 

「死後事務委任契約」っていいます。

 

遺言が“お金とモノ”なら、これは“段取りと後始末”。
 

スマホ、ペット、SNS、鍵、USB――ぜんぶ託せます。

 

死んだあとのこと、ちょっとだけ考えてみるのも、悪くないでしょ。

 

 

📊 日本における「お一人様」の現状

 

・単身世帯の割合

 2020年の国勢調査によると、全世帯のうち単身世帯の割合は約38.0%で、2000年の27.6%から増加しています。

 
・人口ベースの単身者割合
 同調査では、全人口の約17.2%が一人暮らしをしていると報告されています。
 
・年齢・性別別の傾向
 男性では40歳未満、女性では65歳以上の単身者割合が高い傾向がありますが、近年では若い女性の単身者割合も増加しています。
 
・将来の推計
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後も単身世帯の割合は増加し、2050年には全世帯の約40%を占めると予測されています。
 
 
😰「残業帰りに見た“孤独死特集”が、だいぶ刺さって眠れなかった夜の話」
 

残業終わりの夜10時。
肩はガッチガチ、脳みそは空っぽ、足は棒。
それでも電車に揺られてコンビニ寄って、俺は帰った。俺の、1DKへ。
 

電気をつけて、靴下を脱いで、カップ麺にお湯を入れて、
テレビをポチッとつけたその瞬間だ。

 

「今、増えています。“お一人様”の孤独死――」

 

やめて。せめて、せめて一口目食わせて。

 

45歳、独身。
田舎には母の介護で手一杯の姉がひとり。俺より年上。
 

東京で会社員をしている俺は、死後の心配なんてしてるヒマない

物価高騰にコメ不足、増税増税でそんな場合じゃないんですよ。

 

画面には「無縁仏」「誰にも看取られず」「デジタル遺品」とか、深夜に見るには重すぎる単語が踊っている。

セクシービデオの監督がはしゃぎながらレポートしてる(笑)そんなに楽しいですか?!
 

そしてナレーションがこう言うのだ。

「こうした“死んだあとのこと”を託す新しい仕組みが──」
 

ほぉ。あるんか。

 
どうせ金持ち専用なんだろ?どうせ俺には関係ないんだろ?
 
……と思ったら「契約書作成に数万円」ってテロップ。
 
ギリ、払える。
米は切らすけど、これはギリいけるかもしれん。
 
ていうか、死んだあとの段取りに“一括数万円”って、逆に安くね?
冷蔵庫の中身より現実的じゃね?

 

「死後事務委任契約」

 

ふざけた名前してるけど、わりと本気らしい。
 

死んだあとにやってほしいことを、生きてるうちに誰かに頼んどく契約だってさ。

 

火葬の手配、部屋の片付け、スマホの解約、
あとあの…パソコンの中の“フォルダA”と“フォルダB”の削除……いや、これはオプションですか??

 

物価は上がる、給料は上がらない。未来なんて見えないし、老後も想像つかない。
 

でも、「死んだあとのことを誰かに頼める」って、ちょっとだけ生きるのがマシに思えた。結婚してない子供もいない俺には刺さるかな…

 

ってことで、今週末、ちょっとだけ調べてみようかな?
……あ、先に洗濯しなきゃ。3日分、たまってる。

 

🪦 そもそも「死後事務委任契約」ってなに?

 

📝 遺言じゃ足りない“あとのこと”、まとめて頼めます

  • 死んだあとに必要な「雑務」を、生きてるうちに誰かに頼んでおく契約

  • 遺言ではカバーできない、実務的な「片づけ」を引き受けてもらえる

  • 火葬・納骨・役所への届け出・家の片づけ・公共料金やスマホの解約などが対象

  • SNSの削除やペットの引取りもお願いできる場合あり

  • 信頼できる家族や知人、あるいは行政書士などの専門家に依頼できる

  • 契約は公正証書にしておくと安心(トラブル回避になる)

🔍 遺言書と死後事務委任契約のちがい(超ざっくり)

  • 遺言書
     👉「お金やモノを誰に残すか」を決めるもの。

  • 死後事務委任契約
     👉「火葬・手続き・片づけを誰に頼むか」を決めるもの。

 

💡一言でまとめると

遺言書は「遺産のゆくえ」

※財産関係しか事務処理できない。遺品整理などのお願いは遺言書に書けない。
死後事務は「その後の段取り」

※あらかじめ契約内容で決めておく事で他の事務処理も行える

 

🍶「自己紹介、いる? でも一応しとくか」

 

自己紹介が遅れました。俺の名前は――岡野桃太郎

「おかもも」なんて呼んでくれる貴重な人もいます(笑)
 

45歳、独身、子なし。零細企業の会社員。
特技:空気を読むこと。趣味:孤独。スナックに通う
……はい、もうツッコミどころしかないですね。

 

「桃太郎って、名前負けじゃね?」ってのは学生時代に言われ尽くした。
猿も犬もキジもいないし、鬼と戦った記憶もない。
 

あるのは、たまに痛む肩と、引っ越してから誰も鳴らさないインターホン。

 

でも、そんな俺にもひとつだけ、“居場所”ってやつがある。

 

それが――
スナック・ランクワームタイ
赤羽の商店街を外れた、ちょっと古くて、ちょっと静かな店。

何故かタイ料理のお通しが出る(笑)

 


 

週末になると、俺は自然とそこに向かう。
 

というか、そこに行かないと、月曜が迎えられない

 

値段は安い。うるさくない。
何より、話しかけてくれる人がいる。

 

ママのPee(ピー)は、タイ出身の元ダンサー(という噂)。
47歳、美人。なのに、実はゲイ。
 

初見じゃ絶対分からないけど、ツッコミのキレは新喜劇級。
 

「死後の話でも盛り上げられる女」って感じのプロ中のプロだ。

他にも、いつものメンツがいる。

  • 北島さん♂:50歳、独身。20年前に娘と生き別れて、未だ連絡ナシ。パティシエ

  •       でいつも何故かコックコートを着ている。

  • 縁子さん♀:50代。姉妹はいるけど遠方で、最近は一人で介護保険の話ばっかしてる。

そういうメンバーで、
誰も多くは語らないけど、確実に“なにか”を共有してる時間がある。

 

それが俺にとっての、場末の週末。
 

そして――生き甲斐

 

🍸「死んだあとに残るの、スマホとローンだけって話」

 

「こないださ、死んだあとのこと話してる深夜番組あってさ……」

 

カウンターの端っこで、
岡野桃太郎――通称おかもも(45歳、肩こり歴20年)が、
水割りをちびちびやりながら言った。

 

「なんかさ、孤独死の現場?片づけしてる人の密着やっててさ、“遺品の中でいちばん多いのは未開封の郵便とレシートです”……って言ってたの」

 

店内が一瞬しんとした。

 

テレビは音なしのバラエティ番組。
カラオケも鳴ってない。
氷の音と、微妙にズレた換気扇の音だけが回ってる。

 

「それ観たとき、ちょっと笑ったんだけどさ……笑ってる自分が、いちばん怖かったんだよね」

 

そこへ、カウンターの奥から声が飛んできた。

 

「アンタ、あの番組観たネ〜」

 

ママのPeeだ。
47歳。タイ出身。美人。ゲイ。
 

おかももは初めて来たとき本気で惚れかけたが、
3分後に全部知って、3杯目で全肯定した。

 

「死んだあとって、意外と忙しいんだからネ。
火葬の手続き、家の片付け、スマホの解約、あの……変なフォルダの削除とか」

 

「それは頼む相手を考えなきゃな……」
 

と、おかももがボソッと言うと、常連の北島さん(50・独身・娘と20年未連絡)が、
ため息まじりに言った。

 

「俺のスマホは、ロックされたまま燃やしてくれ……」

 

Peeが笑いながら言う。

「アタシ、もう契約してるヨ。死んだあとにやってほしいこと、紙に書いて、お金払って、頼んでる。死後事務委任契約ってやつネ〜」

 

「しご……なに?」
 

「なんか呪文か?」
 

「寿司の新メニュー?」

 

そんな声をよそに、Peeは言った。

 

「人生って、終わったあとがいちばんメンドクサイのヨ。ソレニ私、男だろ!パートナーのケンちゃんとケッコンできないだから!ちゃんとやっとくンだよ!!」

 

「な、なるほどね…」

 

🎯 こんな方におすすめ

 

1. おひとりさま(独身・子なし・身寄りなし

近年、単身高齢者の増加に伴い、死後の手続きを自分で準備する必要性が高まっています。例えば、1990年には160万世帯だった高齢者の一人暮らし世帯は、2010年には465万世帯と、20年間で約3倍に増加しました。

 

2. LGBTQ+の方々

法的な家族関係がない場合、死後の手続きを信頼できる人に託すことが重要です。死後事務委任契約を利用することで、自分の意志を尊重した手続きを行うことができます。

 

3. 離れて暮らす家族しかいない方

遠方に住む家族や高齢の親族に負担をかけたくない場合、専門家や信頼できる第三者に死後の手続きを依頼することができます。

 

4. 自分の死後に特定の手続きを希望する方

葬儀の形式や遺品の処分方法など、自分の希望を明確にしておきたい方にとって、死後事務委任契約は有効な手段です。

 

今後も求められる契約としては需要は上がる見込みですし、国も対策に積極的です。

国の外郭団体である「社会福祉協議会」が受任者になるケースもある。

 

📝 死後事務委任契約でできること

  • 葬儀や火葬の手配

  • 役所への死亡届提出 ※任意後見契約も必須の場合あり

  • 公共料金や各種契約の解約

  • 遺品整理や住居の明け渡し

  • SNSアカウントの削除

  • ペットの引き取り先の手配


📝死亡届に関する注意点

 

ここについては、別の回にて詳しく説明いたします!

死亡届については、専門家でも意見の分かれるところですので。

 


 

🏮「なんでママ、そんなこと知ってたの??」

 

「……ていうかさ、Peeママって、なんでそんな制度のこと知ってんの?」

 

グラスをくるくる回しながら、桃太郎がふと聞く。

 

Peeはにやっと笑って、

 

「んー、なんかね、たまに来るのよ。あのギョウチュウショシ?とかいうメガネの人」

 

「……ギョウチュウ……?」
 

桃太郎が目を細めた。

「寄生虫?」と、苦笑い。

 

「いや、それってギョウセイショシじゃないの?」
と北島さんが真顔でツッコむ。

 

「……あー、なんか聞いたことあるわ〜」
縁子がゆるく頷いた。

 

「うん、たしか“役所とかの手続きで詳しい人”ってやつよね?登記したり??」
 

「そうそう、なんでも手続きオタクって感じ」

 

Peeがストローをくるくる回しながら、

 

「ちょうど今日、来るよ〜。その“ギョウチュウショシ”」

 

ピンポーン…店のドアが開いた。

 

そこに立っていたのは、
メガネをかけた、スーツ姿の男。

 

ちょっと暑そうにジャケットを脱ぎかけながら、
 

男はまぶしそうに言った。

「いや〜、大阪からやっと帰ってきましたよ。Peeママ、お久しぶり!」

 

それが俺と“ギョウチュウショシ”との出会いだった。

 


📺次回予告

「というわけで現れた、“ギョウチュウショシ”こと謎の男。
 彼は誰なのか? 本当に役に立つのか?
 そして、桃太郎の死後はどうなるのか――
 

次回「死後、ギョウチュウショシがなんとかしてくれるらしい」

 
お楽しみに!!更新は明日の20時!
スナック・ランクワームタイで会いましょう~♪