女性道(女は花であれ) -23ページ目
コイバナ
恋花
「私の憧れ」
私の薬指には
白い水中花のような
とても美しい
他の誰にも見えない指輪が
優しく輝いていると
心からそう思えて
とても幸せでした♡♡
やがて夏休みに入り
私は友だちのM美ちゃんが
家に帰省する時に
一緒に泊まりがけで
遊びに行くことになりました
美しい田園風景の中を
列車が走ります
作って来たサンドイッチを
二人で食べながら
たくさんおしゃべりをする
楽しい小さな旅みたい
M美ちゃんが
「京子の薬指の指輪
どんな輝きなんだろうね」
缶コーヒーを飲みながら
私の左の薬指を見ています
私は
「世界にたった一つしかない
とってもステキな輝きよ」
と列車の窓に左手を
かざして言いました
M美ちゃんは
「うん、本当に
そうなんだろうね。
Mくんの気持ちを受け取って
京子が輝かせた指輪だもん
世界に一つだけのね」
そしてM美ちゃんは
少し間を置いて
「京子、本当は自分の為に
Mくんに大事なお金を
使わせたくなかったんでしょ」
と言いました…
私は「…Mくんのお父さん、
また大きな手術を
なさるそうなの。
サークルのリーダーがご親戚で
お見舞いに行った時に
お話しなさっていたそうで
Mくんからは何も聞いて
いないけれど
私に心配させたくないと
思っているのだと思う
M美ちゃん、私の薬指には
世界でただ一つの指輪が
本当に輝いているの。
私、とっても幸せよ」と
私は言いました
M美ちゃんは優しい笑顔で
黙って頷いていました。
**
降り立った駅から
随分と歩いて
M美ちゃんの家に着くと
大きな玄関から
坊主頭の目がクリクリとした
男の子が飛び出して
来ました。
「ねえちゃん!
おかえりなさーい!」と
元気に言いました
M美ちゃんは
「R、ただいま!」
と言いながら
可愛い坊主頭を撫でると
「お土産入ってるから
先に、ばあちゃんに渡して!」
と紙袋を渡しました
そして私に
「弟のRだよ、
ねえちゃんの友だちの
京子ちゃんだよ。
ちゃんと挨拶して!」
そう言うと弟のRくんは
「こんにちわー」と
ニコッと笑って紙袋を持って
走って家の中へと
入って行きました
**
八十歳になられる
M美ちゃんのおばあちゃんが
「こんな田舎によう来て
くれましたね、
M美と仲良くしてもらって
本当にありがとう。
何にもないけれど
ゆっくりしてね」と
たくさんの手料理を次々に
出して下さいました
お父様もお母様も
そして妹のAちゃんも私を
とても歓迎してくださり
明るく楽しい時間を
過ごさせて頂きました
夜になると庭で妹と弟が
線香花火をしています
お父さんは縁側で
ビールを飲みながら
お母さんは茹でたての枝豆を
ざるで持って来て
「この枝豆、お隣から
もらったんですよ。
粒が大きくて立派ですね」と
話していらっしゃる
おばあちゃんは「何にもない」と仰ったけれど
私には温かい家族という
豊かな宝がとても眩しくて
「M美ちゃんは
こんなに素晴らしいご家族の
もとに生まれ育って幸せね」
と言いました
するとM美ちゃんは
「いっつも喧嘩ばっかりよ。
小さい時は特にお菓子の
取り合いでね、今もか」と
言って笑いました
でもそれこそが
私の最高の憧れでした
つづく
**・*・*・*・*・**
家の中がね明るいと
心の中がね
とってもあったかいの♡
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生
コイバナ
恋花
「約束と手紙」
彼は「約束だよ」と
言いました…
オレンジ色の夕焼けの中を
彼を乗せた電車が
ゆっくりと走り出し
電車が見えなくなるまで
私はホームに立って
いました
薬指のサイズ…
手紙や毎日の電話でも
私に聞く事はできるけれど
彼は
あえてそうしなかったのは
とても大切な事だから
直接会った時に…と
いう気持ちと
そして
私が断れないタイミングを
よく考えていて
とても彼らしいと
思いました
その日の夜
彼に手紙を書きました
薬指のサイズも約束通り
書き添えました
そして、お願いも
書きました
あなたが薬指のサイズを
教えて欲しいと
言って下さったとき
とても嬉しく思いました
飛び上がりそうな
くらいに。
そして、その瞬間に
私の薬指には
白く美しい指輪が
すでに輝いていることに
気が付きました
あなたが秋まつりに
くださった
白い水中花のように
とても綺麗な
優しい指輪です
これ以上に素敵な指輪は
どこにもありません
ですから
一つだけお願いを
聞いて頂けませんか
この美しい指輪は
形ある指輪が来た時には
消えてしまいます
どうか
この素敵な指輪を
このまま私の指に
もっともっと着けたままで
いさせてください
心から
あなたが好きです
と、書きました。
その手紙は46年後の今
私の手元にあります
彼はこの手紙が届いた日の
午後8:05の電話で
手紙が届いたこと
とても嬉しく思ったこと
そして
私のお願いを受け止めたと
言ってくれました
それから彼は
帰りの電車の中から
次第に小さく遠のいて行く
夕日に包まれた君を
見ながら
もうまたすぐに
会いたくて
とても切なかったと
言いました
私は彼の気持ちが
変わらない限り
白い水中花のような
白無垢に身を包む日を
何年でも待ちたいと
思いました
物の価値観よりも
感性が合う人に
出会えた喜びが私の背中を
いつも押し続けて
くれたように思います
つづく
・**・*・*・*・**・
たとえ
どんなに小さな花でも
咲くことを忘れなければ
必ずだれかが
見ていてくれるんだね
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生
コイバナ
恋花
「約束」
Rくんからの又聞きが
すごくすごく
嬉しかった私でした
友だちのM美ちゃんに
その事を
話しました
私「麦茶を作っている私を
見ていてくれたらしいの。
それで分かったのよ。
美人でも綺麗でもない私を
なぜ好きになってくれたのか
本当に分からなくて。
麦茶って言うのも
なんだけど
でもそれでいいのなら
納得できたの」と
言う私を見ながら
M美ちゃんは
楽しそうに笑ってた。
そして
「良かった。私が男でも
やっぱり京子のこと
好きになってたと思うもん。
Mくんって
目の付け所が違うわー」
「M美ちゃん
褒めすぎだって、
甘いもの何がいい?」
と笑う私に
M美ちゃんは
「今日もいっぱい
のろけを聞いたからさ、
ホットケーキご馳走に
なろうかなー」と
言って笑った。
**
やっとやっと
久しぶりに彼に会える日
外出許可が出たと言っても
日帰りなので
限られた大切な時間
賑わう博多駅の改札口で
彼の姿を見つけたとき
彼が私に気付いて
白い歯を見せて笑ってくれた
とき
たくさんの人たちも
ざわざわとした話し声も
もう何も見えず
何も聞こえませんでした
私の瞳には笑顔の彼だけが
映っていました
会える時間は3時間
映画を観る事さえも
もったいないと思いました
彼の話しをたくさん
聞きたい
彼の笑顔や姿を
時間の限り見ていたいと
そう思っていました
人混みをかき分ける様にして
静かな喫茶店に入り
ほっと向き合ったときに
彼が私の思っている事と
同じことを言いました
「京子ちゃんの話しが
いっぱい聞きたい。
時間の許す限り京子ちゃんの
笑顔や姿をしっかりと
目に焼き付けて帰りたい」と
彼は言いました。
お互いに同じことを
思っていたことが
とても嬉しかった。
私は
まずは先に彼のことを
聞かせて欲しいとお願い
しました
彼は
毎日がハードな
体育の授業みたいだ
と言うことや
覚えることが凄く沢山ある事
食事のこと、お風呂や
起床、就寝のこと
友だちになった人たちの事
そしてそれら全てが
とても充実していると感じて
いると話してくれました
私は彼の話しを聞いて
とても嬉しくて
とても安心しました
私も彼にサークル活動や
勉強の事、アルバイトの事
などを話しました
彼は頷いたり
笑ったりしながら
楽しそうに聞いてくれました
でも
Rくんからの又聞きの事は
話しませんでした
知らないふり♡
お話しをしながら
聞きながら
ランチを食べて
コーヒーを飲んで
公園をゆっくりと歩きながら
大切な大切な時間
それなのに時はまるで
倍速で進んでいるかの
ように
あっという間の3時間
でした
もうすぐ博多駅
つないだ手を
彼はぎゅっと握りしめて
「次の手紙をくれる時に
薬指のサイズを
教えて欲しい」と
言いました
私は彼を見上げて
「はい」と
言いました
彼は
「約束だよ」と
言いました
夕焼けがとても綺麗で
彼が振る大きな手を
オレンジ色に染めたまま
電車はゆっくりと
走り出しました
つづく
・**・*・*・*・**・
どんな可愛い
約束
したのかな♡♡°
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生

