女性道(女は花であれ) -22ページ目
コイバナ
恋花
「友だちの憧れ」
泊まりで遊びに行った
M美ちゃんの実家は
お元気なおばあちゃん
少し無口で優しいお父さん
よく笑いよく動くお母さん
2つ下の可愛い妹
まだ小学生の元気な弟
おばあちゃんを先頭に
家族みんなが
何気ない思いやりと
優しさを出し合う
時々ケンカもあるけれど
とてもあったかい家庭
でした
M美ちゃんは
「いっつも喧嘩ばっかりよ」
と言って笑ったけど
喧嘩になるから良いなと
思いました
私の両親は長い間
もう喧嘩にもならなかった
相手の姿は
もはや瞳の中に映らず
相手の声が
すでに耳の中にも入らず
ここに居るのに
居ない者となっていた事が
幼い私でさえも感じて
いたのですから。
私はM美ちゃんに
「M美ちゃんの家庭こそが
私の憧れなの」
と言うと
M美ちゃんは
「私は京子ちゃんを
とっても羨ましいと
思っていたんだよね」と
言いました
その言葉は
私には不思議でした。
M美ちゃんは
「初めて京子ちゃんの家に
遊びに行った時さ、
私ね、生まれて初めて
シャンデリアが玄関や
部屋中に付いているの
見たんだよ。
おトイレまでさ!
私、言ったでしょ、
京子ちゃんちすごいねって
それにさ
京子ちゃんの部屋にも
シャンデリアがあって
大きな暖炉や
お姫様みたいなベッドが
あってさ感動したよ。
うちなんか暖炉じゃなくて
火鉢だよ、
まあせいぜい
掘りごたつだし。
子ども部屋なんて
シャンデリアじゃなくて
はだか電球よ、
私、思ったんだ、
世の中には
こんな綺麗な生活を
している人が
いるんだなあって」
M美ちゃんは
そう、一気にしゃべると
「でも…みんな
無い物ねだりなんだね」と
言いました。
そしてM美ちゃんは続けて
「私がね小学生の頃
お父さん重い病気しててさ
私、小学校から帰ると
ばあちゃんと道端で野菜を
売ってたんだよ。
残った野菜はその日の
夕ごはんになるの。
野菜が一杯余ると
毎日野菜ばっかりだよ。
私さ、必死で売ったよ。
お肉なんて
1週間に1回あるかないかよ
妹とさ、お肉の大きさで
ほんと、喧嘩してたよ。
なんでうちには
お金がないんだろう?って
お金持ちになりたいって
いっつも思ってたもん。」
そう言って笑うと
「でもね、
京子に出会って
私とは違う世界があって
幸せって難しいなあって
思うようになったの。
たとえお金があっても
立派な家に住んでても
幸せじゃないって
感じている人がいるんだ
もん…」
M美ちゃんは
寝転がって天井を見ながら
「でもね、やっぱり私は
京子に憧れてる。
お金持ちとかそんな事じゃ
なくてね。
なんかね、私とは違う感覚、
すごく憧れるんだよ
言葉でうまく表現できない
けど、ほんとよ」
M美ちゃんは
そう言うと笑った。
すると弟のRくんが
「ねえちゃん!もうすぐ
8時だよ全員集合が
始まるよ!」
と楽しげに教えに来てくれた
のでした
私はそう言ってくれる
友だちの憧れを
壊さないようにしたいと
思いました
そして
私にも家庭をつくれるのなら
M美ちゃんの家族のような
あったかい家庭を
築いて行きたい。
心から
そう思いました
つづく
**・*・*・*・*・**
似ているようで
みんな違う
意見が合わなくてもいい
なぜ合わないのかよりも
どうすれば
合わせられるかを
考えた方が
とっても楽しいわね**。
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生
コイバナ
恋花
「私の憧れ」
私の薬指には
白い水中花のような
とても美しい
他の誰にも見えない指輪が
優しく輝いていると
心からそう思えて
とても幸せでした♡♡
やがて夏休みに入り
私は友だちのM美ちゃんが
家に帰省する時に
一緒に泊まりがけで
遊びに行くことになりました
美しい田園風景の中を
列車が走ります
作って来たサンドイッチを
二人で食べながら
たくさんおしゃべりをする
楽しい小さな旅みたい
M美ちゃんが
「京子の薬指の指輪
どんな輝きなんだろうね」
缶コーヒーを飲みながら
私の左の薬指を見ています
私は
「世界にたった一つしかない
とってもステキな輝きよ」
と列車の窓に左手を
かざして言いました
M美ちゃんは
「うん、本当に
そうなんだろうね。
Mくんの気持ちを受け取って
京子が輝かせた指輪だもん
世界に一つだけのね」
そしてM美ちゃんは
少し間を置いて
「京子、本当は自分の為に
Mくんに大事なお金を
使わせたくなかったんでしょ」
と言いました…
私は「…Mくんのお父さん、
また大きな手術を
なさるそうなの。
サークルのリーダーがご親戚で
お見舞いに行った時に
お話しなさっていたそうで
Mくんからは何も聞いて
いないけれど
私に心配させたくないと
思っているのだと思う
M美ちゃん、私の薬指には
世界でただ一つの指輪が
本当に輝いているの。
私、とっても幸せよ」と
私は言いました
M美ちゃんは優しい笑顔で
黙って頷いていました。
**
降り立った駅から
随分と歩いて
M美ちゃんの家に着くと
大きな玄関から
坊主頭の目がクリクリとした
男の子が飛び出して
来ました。
「ねえちゃん!
おかえりなさーい!」と
元気に言いました
M美ちゃんは
「R、ただいま!」
と言いながら
可愛い坊主頭を撫でると
「お土産入ってるから
先に、ばあちゃんに渡して!」
と紙袋を渡しました
そして私に
「弟のRだよ、
ねえちゃんの友だちの
京子ちゃんだよ。
ちゃんと挨拶して!」
そう言うと弟のRくんは
「こんにちわー」と
ニコッと笑って紙袋を持って
走って家の中へと
入って行きました
**
八十歳になられる
M美ちゃんのおばあちゃんが
「こんな田舎によう来て
くれましたね、
M美と仲良くしてもらって
本当にありがとう。
何にもないけれど
ゆっくりしてね」と
たくさんの手料理を次々に
出して下さいました
お父様もお母様も
そして妹のAちゃんも私を
とても歓迎してくださり
明るく楽しい時間を
過ごさせて頂きました
夜になると庭で妹と弟が
線香花火をしています
お父さんは縁側で
ビールを飲みながら
お母さんは茹でたての枝豆を
ざるで持って来て
「この枝豆、お隣から
もらったんですよ。
粒が大きくて立派ですね」と
話していらっしゃる
おばあちゃんは「何にもない」と仰ったけれど
私には温かい家族という
豊かな宝がとても眩しくて
「M美ちゃんは
こんなに素晴らしいご家族の
もとに生まれ育って幸せね」
と言いました
するとM美ちゃんは
「いっつも喧嘩ばっかりよ。
小さい時は特にお菓子の
取り合いでね、今もか」と
言って笑いました
でもそれこそが
私の最高の憧れでした
つづく
**・*・*・*・*・**
家の中がね明るいと
心の中がね
とってもあったかいの♡
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生
コイバナ
恋花
「約束と手紙」
彼は「約束だよ」と
言いました…
オレンジ色の夕焼けの中を
彼を乗せた電車が
ゆっくりと走り出し
電車が見えなくなるまで
私はホームに立って
いました
薬指のサイズ…
手紙や毎日の電話でも
私に聞く事はできるけれど
彼は
あえてそうしなかったのは
とても大切な事だから
直接会った時に…と
いう気持ちと
そして
私が断れないタイミングを
よく考えていて
とても彼らしいと
思いました
その日の夜
彼に手紙を書きました
薬指のサイズも約束通り
書き添えました
そして、お願いも
書きました
あなたが薬指のサイズを
教えて欲しいと
言って下さったとき
とても嬉しく思いました
飛び上がりそうな
くらいに。
そして、その瞬間に
私の薬指には
白く美しい指輪が
すでに輝いていることに
気が付きました
あなたが秋まつりに
くださった
白い水中花のように
とても綺麗な
優しい指輪です
これ以上に素敵な指輪は
どこにもありません
ですから
一つだけお願いを
聞いて頂けませんか
この美しい指輪は
形ある指輪が来た時には
消えてしまいます
どうか
この素敵な指輪を
このまま私の指に
もっともっと着けたままで
いさせてください
心から
あなたが好きです
と、書きました。
その手紙は46年後の今
私の手元にあります
彼はこの手紙が届いた日の
午後8:05の電話で
手紙が届いたこと
とても嬉しく思ったこと
そして
私のお願いを受け止めたと
言ってくれました
それから彼は
帰りの電車の中から
次第に小さく遠のいて行く
夕日に包まれた君を
見ながら
もうまたすぐに
会いたくて
とても切なかったと
言いました
私は彼の気持ちが
変わらない限り
白い水中花のような
白無垢に身を包む日を
何年でも待ちたいと
思いました
物の価値観よりも
感性が合う人に
出会えた喜びが私の背中を
いつも押し続けて
くれたように思います
つづく
・**・*・*・*・**・
たとえ
どんなに小さな花でも
咲くことを忘れなければ
必ずだれかが
見ていてくれるんだね
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生

