コイバナ
恋花

「甘えじょうず」



彼のヤキモチを知り
何だか心が
くすぐったいような
嬉しいような
感じがしました


ちょっとだけ妬く
そんなヤキモチなら

自分にも相手にも
ステキなこと…

そう思う私でした






手をつないで
静かな波が寄せては返す
美しい海岸を
ゆっくりと歩きながら


「指輪、もっと大きな
ダイヤモンドのを
買ってあげるからね」


彼がそう言いました


「私、この指輪が大好き。
だから他のものは
いらないの。」


私はそう言いました


「そうか、京子ちゃんが
この指輪を大事にしてくれて
とっても嬉しいよ。

じゃあ、結婚をして
結婚記念日に
もっと大きなものはどう?」

と彼は言います


私は本当に
一生この指輪だけで
充分だと
思っていました


けれど


「はい。その時は
よろしくお願いします」と
笑って言いました



この時
歩いている海岸は


数年後に沢田研二さんが
渚のラブレター
という曲を
歌謡番組の中継で
波打ち際を歩きながら
お歌いになりました


*・*:.。..。.:'・♡*:.。. .。.:*・*





M美ちゃんが
東京で素敵な彼氏との
御縁が整いご両親に
挨拶をするために
二人一緒に
福岡に帰って来た時のこと


久しぶりで嬉しくて
私もM美ちゃんも
おしゃべりが止まりません


ふと気付くと
初対面の彼氏同士は
紹介したものの
話しをすることもなく
黙って珈琲を飲んでいます


女性は初対面でも
すぐに仲良く話しが出来る
のですが

男性は
ちょっと違うみたいですね




するとM美ちゃんが彼氏に
「ねぇ、
京子の左手の指輪を見て。
その指輪はね
素敵なエピソードがある
愛の指輪なんだよ」と
言いました


M美ちゃんの彼氏は
私の指輪を見て、私の彼に
「どんなエピソードですか
教えてください。
彼女に贈る指輪の参考に
させて欲しいです」と
言いました


するとM美ちゃんが
「いやねぇ、
エピソードなんて簡単に
話せるもんじゃないわよ
ねぇ、Mくん!」
なんて意地悪を言って
笑っています


彼は笑って
「M美さん、実は先日、
もう少し大きなダイヤモンド
をと彼女に言ったら
断られましたよ。

だから結婚してから
結婚記念日に贈ることに
しました」と
言いました


M美ちゃんは
「京子はね、
そういう人でね
甘えベタなんですよね」
と言って彼と一緒に笑って
います


M美ちゃんの彼氏が
「M美からは最初から
大きいダイヤモンドね!
って言われているんですよ
僕の夏と冬のボーナスと…
困ったものです」と
言って笑いました


彼氏同士が少しずつ
和やかな雰囲気になって
来ました


するとM美ちゃんが
「私に惚れた弱みでしょ!
でもさ、よく考えてみると
京子の方が本当は
甘えじょうずなのかも
知れない。」と
言って彼の顔を見ました


すると彼は
「そう言われると
そうかも知れませんね。
本人は全く気付いては
いませんけど」と
言って笑いながら
私の顔を見ました


M美ちゃんが
「だってね
京子は望んでいないかも
知れないけれど
してあげたくなるのよ、
うん、不思議。」と言い


彼は
「本当にそうなんですよね
何も望んで来ないんですけど
なんか
京子ちゃん喜ばせたいって
思ってしまって
頑張りたくなるんですよ」
と言いました


M美ちゃんが
「そう!あの水中花も
そうだったんじゃないの?」

彼が
「ああ、そう言われると
やっぱりそうでしたね!
人混みをかき分けて
必死で見つけました
水中花!」と言って
笑いました


M美ちゃんが
「京子、訂正するよ、
あなたは甘えベタではない。
甘えじょうずです!」
と言うと皆んな
笑いました


私はとっても楽しくて

「訂正してもらえて
ありがとうございます」
と笑って言いました



私は
甘えじょうず
なのかな





つづく





**・*・*・*・*・**


真っ白だったり

うすいピンクになったり

ちょっぴり
濃いピンクだったりする

そんな私の心は

求めないのに
甘えじょうずなのかな

(*´︶`*)♡°


女はであれ
賢く優しいとなれ

*+.° °.+*











一瞬


一生













コイバナ
恋花

「彼のやきもち」




他の人からすると
なんだそんな事で悩むのか
と思うような事でも

幼い頃から不安に思って
過ごして来たことは
心の中から
事あるごとに顔を出し
糸を絡まらせてしまうことが
あると思います


それでも
自分を本気で愛してくれる
存在があることで
心の中で複雑に絡んでしまう
糸さえも
一瞬で解けてしまう事を
私は知りました








私は仕事も覚えて
仕事をする楽しさも知り
会社の先輩、同僚とも
良い関係を徐々に築いて
いました



M美ちゃんは
東京にある会社に就職をし
海外勤務を大いに
楽しんでいるようでした



サークル活動は
社会人になっても25歳までは
続けられるため皆んな
可能な限り続けて
いました


サークル活動での
夏祭りの日の事


昼から夕方まで
小学生や幼稚園児の為の
金魚すくいや
ヨーヨー釣りなどの
お手伝いをした後


片付けが終わると
サークルの皆んなで
夏祭りをしました


お料理もお酒も用意され
リーダーのお疲れ様!
との乾杯で始まりました


彼も休暇で帰って来ていて
久しぶりにRくん達と
積もる話を楽しんでいます


メンバーは50人ほどで
私も仲良しの人たちと
おしゃべりをして
とても賑やかに楽しんで
いました


1時間ほど経った時のこと
メンバーの人が
お酒に酔ってしまい

突然

「俺は京子ちゃんが
好きやったー!」と
言いながら女の子の
テーブルにフラフラと
来たのです


私は咄嗟に
席を立とうとした時に
後ろから抱きしめられて
しまいました


その勢いで
椅子やテーブルも倒れて
しまい…


私は突然で
自分がどうなっているのか
分からない状態でした


すると一緒にいた
女の子数人で
「Nさん!
やめて下さいよ!」と
言って私を引っ張って
くれました


離れたテーブルにいた
彼やリーダーたちが
騒ぎを聞きつけて走って
来ました


文章で書くと長い様ですが
数秒の出来事です



彼が私の腕を取り
「大丈夫⁈」と聞きました


私が大丈夫と言ったと同時に
Nさんが「好きやったとに」
と言いました…


その時、彼がNさんの
胸元をつかみました


するとリーダーが
「M、気持ちは分かる!
でも、やめておけ。
殴るなら俺が殴ってやる」

そう言われて
彼は手を離しました



Nさんはリーダーに
「お前は恥を知れ!
バカタレが!」と言われ
数人に
引っ張っていかれました



私は彼の顔を見ました
彼はとても怖い表情をして
いました…



帰りの車の中でも
彼は何も話しませんでした

私の家の前に着くと
「驚いただろうけど…
忘れて。」
そう言うと私が玄関の中に
入るのを見届けて
車は走り去りました



次の日

彼とデートの約束をして
いました


時間通りに車で迎えに
来てくれました


車に乗ると
彼は前を向いたまま
「昨日はごめん。」と
言いました


私は黙っていました


彼は続けて
「イヤな思いをしたのは
京子ちゃんなのに、
俺は腹が立って仕方なくて
気持ちがなかなか
収まらなかった…

後ろから京子ちゃんを
抱きしめているNさんの姿が
まだ目に焼き付いている

俺、まだ
やきもちやいている」
と言いました



私は
「私と同じね。」と
言いました


彼の腕に手を回して
「Mさん、家まで送って
くださいよー」と言った
新入生の女の子に
抱いた私の感情と同じだと
思ったからです


すると
彼は笑ってくれました


やきもちって
妬きすぎるとまずいけど
ちょっとなら
ステキなことだと
知っている私でした♡*




**・*・*・*・*・**



やきもちも

ちょっとだけなら

ステキなこと

でしょ(〃▽〃)♡



女はであれ
賢く優しいとなれ

*+.° °.+*










一瞬


一生











コイバナ
恋花

「絡まった糸を解くように」



私の薬指で
静かに輝いていた
見えない指輪が


愛しています
結婚してください

と言う言葉と同時に
形になり


それはまた


私の薬指へ
結婚の約束の証として
差し換えられ
新たな輝きを放ち始め
ました



私はこの時
あなたの色に染まりたい
心から思いました




**




新しい春を迎え
私は教職ではなく
企業への道を選び
社会を歩き始めていました


いろいろと考え
社会を知ってからでも
教職の道は遅くはないと
思いました



彼との手紙のやり取りも
そのまま続けています

夜8:05の電話は
企業に就職した私の
帰宅時間が遅いので
土曜日の夜と
日曜日にかけてくれる
ようになりました


電話や手紙で伝えるのが
難しいことは会った時に
話すことにして
いました



私には
心に絡まっている糸があり
それを解がなければ
結婚へ進めない気持ちが
ありました


次に会った時に
話せたら…
そう思いました



**



彼が
形にして差し換えて
くれた指輪は

いつも私の薬指で
小さな虹を作って
輝いていました



彼がこれからの事を
一つ一つ
決めて行こうと言いました


私は
心に絡まった糸のことを
話すことにしました



私「あのね、私、
結婚して、もしも
あなたと喧嘩をしても
帰る実家がないと
思うの。」


彼「うん。
ほかには?」


私「もしもね、
赤ちゃんが産まれても
友だち皆んなのように
お里帰りすることが
できないと思うの。」


彼「うん。
それから?」


私「だからね、
私はあなたと結婚したら
たとえ喧嘩しても
赤ちゃんを産んでも
ずっとあなたのそばに
いることになるの。」


彼「うん。
そうだね。」


私「だから…
困らない?」


彼「なんで困るのか
逆に分からないよ。

俺は京子ちゃんが
家出したくなる様なことは
絶対にしない。

赤ちゃんが産まれて
くれたら
俺が休暇を取って
産後の世話をする。

もし難しいようだったら
必ず他に良い方法が
あるはず。

だから、京子ちゃんは
ずっと俺のそばにいる。

夫婦だよ、
それが当たり前の事
だと思うよ。


彼はそう言いました


私は既に結婚をしている
多くの友だちから
よく実家に帰る話しを
聞いていたので

お嫁に行っても
そういうものだと
思っていました。


だから
私の母が再婚をすることに
なったことで
私には帰る所がないと思い
彼に迷惑をかけるのでは
と思ってしまいました


でも彼の言葉に
心の中で絡まっていると
思っていた糸が
するすると解けて行くのを
感じていました


そして気付きました
糸を絡ませているのは
私だということを。


彼は言いました


「なぜ駄目なのか
どこが悪いのか
そこばかりを考えるよりも

だったら
どうしたら良いのか
どうしたら良くなるのか
そこを考えよう。

俺は
京子ちゃんを幸せにしたい
だから幸せにするために
どうしたら良いかを
必ず考えるから
絶対に一人で悩まないで。

前にも言ったよね。
俺のいない所で
一人で泣いたり
傷ついたりしないで欲しい
って。
それと同じことだよ。」


と、言いました



私は彼の言葉に
とても素直に頷き

「ありがとう」

と、言いました





つづく







**・*・*・*・*・**


一人で考えると
大きく感じることでも

二人で考えると
とても小さい
何でもないことのように
思えてくるのね

不思議ね




女はであれ
賢く優しいとなれ

**+.° °.+**









一瞬


一生