第41章 失われた記憶、その先にある光 | 光と闇を 抱きしめたまま

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別の通路では、アクティアが一人の魔法少女と向き合っていた。

紫色のコスチューム。

暗い色の手袋。

アクティアとは正反対の色合い。

まるで、アクティア自身を反転させたような姿だった。

「……私に似てる」

だが、その顔を見た瞬間。

アクティアの表情が凍った。

「……え?」

その顔。

その目。

その面影。

忘れるはずがない。

「……ママ?」

そこにいたのは、

アクティアが初めて魔法少女になったあの日。

ネガティアの怪人によって命を奪われた母、

ミヅキにそっくりな顔だった。

「どうして……?」

アクティアの心が大きく揺れる。

死んだはずの母が、なぜ今ここにいるのか。

答えが見つからない。

その一瞬。

ミヅキの姿をした魔法少女が動いた。

レイピアが振られる。

アクティアは自分のレイピアで受け止めようとする。

しかし――。

パキンッ!

剣先が折れた。

「……!」

ミヅキはそのまま飛び上がった。

アクティアの頭上を越え、背後へ回る。

そして着地するより早く、

飛行マントを破壊した。

さらに背中へ攻撃が入る。

「っ……!」

アクティアはその場にしゃがみ込んだ。

 

アクティアは背中へ手を回した。

いつもなら、時間が経てば魔力による修復が始まる。

最近では、その速度もかなり早くなっていた。

しかし――。

「……どうして?」

再生しない。

まるで、リフォージ直後の頃に戻ったようだった。

魔力の流れが弱い。

ミヅキの姿をした魔法少女が再び迫る。

アクティアは右手にシールドを展開した。

連続するレイピアの攻撃。

キンッ!

キィンッ!

シールドが何度も攻撃を受ける。

やがて、

ピシッ……

亀裂が走った。

「まずい……!」

ミヅキが一気に踏み込む。

レイピアがシールドを貫いた。

さらにシールド発生部分まで突き抜ける。

アクティアは右腕を負傷し、その場でよろめいた。

それでも諦めない。

ミヅキの攻撃を、折れたレイピアの柄で受け止める。

そして左手を向けた。

「これで……!」

残された魔力を集める。

ドンッ!

ビームがミヅキの顔面へ直撃した。

ミヅキは顔を押さえる。

アクティアは息を切らしながら見つめる。

やがて、ミヅキが手を離した。

そこにあったのは――。

母の顔ではなかった。

無機質な、

V字の顔。

「……その顔……」

アクティアには見覚えがあった。

「量産型……魔法少女……!」

ミヅキは偽物だった。

量産型魔法少女が、アクティアの記憶にある母の姿へ擬態していたのだ。

「……ママじゃなかった」

アクティアの胸にあった戸惑いが消えていく。

代わりに、

闘志が燃え上がった。

「……そういうことなら!」

 

アクティアの身体の再生が始まる。

しかし、武器は戻らない。

レイピアは完全に破損。

シールドもない。

アクティアビットも全基破損。

飛行マントも損傷。

攻撃手段がない。

それでもアクティアは折れたレイピアを捨てた。

「これがなくても……!」

素手で向かっていく。

身体能力ではアクティアが上回っていた。

量産型魔法少女を押し始める。

しかし、相手にはレイピアがある。

一瞬の隙を突かれる。

「っ!」

刃がアクティアを捉える。

傷が増える。

再生する。

また傷つく。

また再生する。

しかし、アクティアの魔力最大値は極端に小さい。

再生するたびに、魔力が減っていく。

「まだ……!」

それでも戦う。

だが、ついには押し倒される。

アクティアは尻もちをついた。

目の前には、

ボロボロになった手袋とレイピア。

アクティアはそれを見つめた。

そして、静かに願った。

「……お願い」

手袋を握る。

「みんなの力になりたいから……」

折れたレイピアを握る。

「……協力して」

 

量産型魔法少女が迫る。

レイピアが、アクティアの胸へ突き出される。

その瞬間。

手袋とレイピアが光り始めた。

「……え?」

光が二つを包み込む。

そして、

新しいレイピアの柄へと姿を変えた。

量産型魔法少女のレイピアが迫る。

アクティアは柄を振り抜いた。

ブンッ!

その瞬間。

柄の先から、

光り輝く刃が出現した。

キィィンッ!

量産型魔法少女のレイピアが弾き飛ばされる。

宙を舞う敵の武器。

アクティアは一気に踏み込んだ。

「これで……終わり!」

光刃が敵を捉える。

量産型魔法少女の身体が崩れていく。

ミヅキの姿が消える。

無機質なV字の顔へ戻る。

そして、

灰へ。

静かな床へ落ちていった。

 

アクティアは新しいレイピアを見つめた。

「……この剣」

軽く振る。

光刃が一瞬だけ現れ、消える。

そこでアクティアは気づいた。

このレイピアは、必要なときだけ魔力を使う。

常に魔力を流し続ける必要はない。

光刃を形成するときだけ、わずかな魔力を消費する。

「これなら……今の私でも使える」

切断力も、以前のレイピアより高い。

ただし、

シールドはもう使えない。

防御を捨てた。

その代わり、限られた魔力を攻撃へ集中できる。

アクティアは新しいレイピアを携えた。

「みんな……待ってて」

そして、基地の奥へ向かって歩き始める。

ルミナもまた、仲間たちのもとへ向かっていた。

それぞれが、自分の過去と向き合った。

失った妹。

失った母。

ネガティアは二人の記憶を利用した。

けれど、

過去そのものに負けたわけではない。

ルミナは前へ進む。

アクティアも前へ進む。

その先に待っているのが何であろうとも。

ネガティア基地のさらに奥へ。

四人の魔法少女たちは、少しずつ同じ場所へ近づいていた。