その昔、鍋島藩の統治にあった有田町は金鉱山があり金の発掘により町は賑わっていた・・・っていうのは真っ赤な嘘・・しかしここ有田町に金鉱山があったと熱弁する円ちゃん・・・スタッフ全員横目で流し目・・全然信用していなかった。まして40年前、円ちゃんは水晶の山を発見して、そこには天然の水晶が沢山あったと言い張っていた。有田に生を受け、ずーっと住んでいる大田部長さえ「そんなの知らない・・夢見てたのでは?」っていうしまつ・・ベンツ南常務なんかはまったく円ちゃんを相手にしていなかった。確かにたまに変な事をいう円ちゃん・・俺も兼ちゃんもだーれも信用していなかった。昨日の午後、会社に顔をだしてみると、円ちゃんもベンツ南常務のいない・・「2人とも何処に行った?車はあるのに・・」・・・「山に行きました・・水晶を見つけに・・」・・・って開いた口が顎まで落ちた・・「どーせ見つけられないから、だまって行ったのです・・でも・・もし水晶があったら・・天下を取ったくらいに自慢しますよ!」と大田部長がいう。2時間くらいたって、2人は帰ってきた・・天下を取ったように帰ってきた円ちゃん・・無理やり付き合わされたベンツ南・・・「大変でした・・2山越えましたよ・まして専務は山から2~3回転げ落ちそうになるし・・でも確かにありました・・水晶・・」。40年まえの記憶を頼りに山を歩き回った円ちゃん・・・あまりに浮かれて帰り道が分からず迷ったらしい・・ベンツ南常務がいなかったら、遭難していたかもしれない・・・仕事までさぼって、ガキみたいに山を歩き回る円ちゃん・・俺の会社は大丈夫なのだろうか・・・?次は金になる金でも探してきてよ・・水晶なんて・・金にもならん!


    命がけで採取してきた金にもならない水晶