Hello! Magazine (Mar. 29, 1997)

As The Monkees' Reunion Tour In Britain Comes To An End

The Group's Lead Singer Davy Jones

Tells Of His Hopes For A Future Back Home In The English Racing World

モンキーズの再結成イギリス・ツアーが終了した今、

リード・シンガー、デイビー・ジョーンズが英国の競馬界に戻る希望を語る

interview: Simon Kinnersley

co-ordinator: Stevie Holly

日本語訳:Ness 【 】内は訳注

日本語訳掲載:MRC in Japan No. 53 (Apr. 1998)

 

こちらのインタビューの日本語訳は私が参加していたモンキーズのファンクラブ The Monkees Relived Committe in Japan の会報からの転載です。翻訳は共同編集者の一人、Nessさんです。Thanks, Ness!

 

マッシュルーム・カットでいたずらっぽい笑顔を浮かべた彼は、マンチェスター出身のモンキーだった。しかし、結成30周年記念再結成ツアーの一部としてのイギリス・ツアーが、先週の水曜日のウェンブリー・アリーナをもって終了した今、現在50才になったデイビーは、ハンプシャーの中心部、グレンヒル・ホールで馬小屋の掃除をする日を夢見ている。

 

それというのも、ペンシルベニアにきれいな樫造りの家を持ち、サンタ・バーバラにマンションを持っているにもかかわらず、デイビーの心があるのは、彼が誇らしげに言うとおり、1868年と1871年のグランド・ナショナル【年一回の大障害競馬】勝ち馬、「ザ・ラム」号が調教を受けたという、デイビーの元の厩舎であるこの土地だからである。

 

中庭を囲んだ四角い土地には、22頭分の馬小屋、馬具部屋と物置とが3方にあり、もう一辺に当たる部分には、ゆるやかな起伏をもつ田園風景に面して、エレガントな家が建っている。これが、デイビーの2人目の妻アニタと、彼女とデイビーの間の2人の娘、ジェシカ(15才)、アナベル(8才)の住んでいる家である。

 

現在のところ馬小屋には数頭の馬と娘たちのポ二-がいるだけだが、それでもこの馬小屋にはデイビーの夢があふれている。いつの日かまた、サラブレッドの競走馬が早朝の冷たい空気の中を馬丁たちに引かれて出て行く日が来ることだろうとデイビーは言う。その夢はあまりにはっきりとしていて、まるでデイビーには中庭に響く蹄の音が聞こえているかのようである。

 

だが、家の中にデイビーの存在の気配は少ない。アニタとの結婚も、最初の結婚と同じ、離婚という道をたどろうとしていて、2人は現在離婚の協議中だからである。それでも、最初の妻リンダとの時もそうだったように、アニタとデイビーはいい関係を保っている。「僕たちは今でもおやすみのハグをするよ。ただ、その後には僕は客用寝室に行ってそこで寝るわけだけどさ」。

 

デイビーには2回の結婚それぞれから2人ずつの娘がいる。ジェシカとアナベルはこの近くの市立学校に通い、タリア(28才)とセーラ(25才)は彼のサンタバーバラのアパートに一緒に住んでいる。

 

Q:デイビー、モンキーズが1969年に解散して以来、全員そろって再結成したのはこれが初めてなわけだけど、ツアーに出ようと思ったきっかけは?

 

A:僕たち4人とも、おもしろいんじゃないかと思ったんだ。でも、ビジネスとしての理由もちゃんとあった。イギリスとヨーロッパのツアー、そしてこの後夏にアメリカでの大規模なツアーがあるからね。それにアルバムも出したし、テレビスペシャルも作ったし、その上いろいろな商品販売があるわけだから、かなり儲かることになるはずさ。

 

Q:だけどあれだけのヒットを出してるんだから、一生悠々自適なんじゃないのかい?

 

A:そうあるべきなんだろうけど、僕たちは稼いだお金のほとんどを失ってしまったんだ。取り上げられた金を取り返すために弁護士を雇う金さえ残らなかった。

 

オアシスみたいなグループがひどい振る舞いをしていると、僕には怒りがこみ上げてくるよ。ポップ音楽界では、ああいう成功っていうのはほんの短い間しか続かないんだから、成功っていうものには敬意を持って接しなきゃ。できるだけその成功が長続きするように、努力するべきだと思うのさ。

 

人気絶頂のときには僕たちにも、金脈が尽きることなんて永遠にないんじゃないかと思えたけど、でもいつかは尽きるものなんだよ。しかもごく突然に。後には何も残らなくて、その時になってからやっと、名声がどんなにつかみどころのないものなのか、そして名声を当然のことのようにとらえていた自分はどんなに愚かだったのか気が付くのさ。

 

Q:その後、一種の鬱状態になったりした?

 

A:鬱状態になったとは思わないな。どちらかというと、恥ずかしい気持ちの方が大きかった。成功を薄々手放してしまった自分の過去が恥ずかしく思えたんだ。リンダに慰謝料を払うことさえできなかった。リンダは、『できるだけの金額でいい』って言ってくれたんだけど、問題は、銀行には1銭も残っていないし、税金の請求だけがどんどん入って来ていたということなんだ。

 

僕は世の中に対して腹を立てていた。だから、普段はそういうタイプじゃないのに、いろんな女の人と付き合ってみたり、自分の抱えている問題を酒で紛らわそうと、随分飲んだりしてしまったんだ。今考えれば、当時の自分がどんなにみじめだったかがわかるよ。ある瞬間はすべてが手に入っていたのに次の瞬間には1文無しだったっていう具合だったんだ。

 

Q:でもそこで完全にボロボロになってしまうんじゃなくて、ちゃんと人生を立て直した、、、。どうやって?

 

A:僕が完全にボロボロとまで行かなかったのは、3人の姉が僕のそういう話を新聞で目にしたくはないだろうってわかっていたからさ。ストックボードでスポーツ用品店をやってる、ベリルっていう姉がいるんだけど、ある時、僕の夫婦関係に問題が起こってるという記事を読んで、『どうしてそんな無責任な、馬鹿なことができるのよ!』って怒鳴ってきたことがあったんだ。その記事は事実無根だったんだけど、事実かそうじゃないかなんて、姉にはどうでもよかったのさ。

 

Q:今まで、ほとんどずっとアメリカで仕事をしてきているわけだけど、それはどうして?

 

A:イギリスの大衆の目には、僕はいつまでもモンキーズのデイビーとしてしか写らなくて、他の何者としても見てもらえないみたいなんだ。僕が、11才で『コロネーション・ストリート』に出ていた(エナ・シャープルスの孫の役)ことも、『Zカーズ』に出ていたこともすっかり忘れている。ウェスト・エンドやブロードウェイで『オリバー』のアートフル・ドジャー役をやったことも、こっちでは誰も覚えていないみたいなんだよ。僕は自分で自分をポップ・スターだと思ったことはなくて、いつも自分は俳優だと考えている。アメリカでは、僕が【モンキーズ後に】新しい出発をするのを受け入れてもらえたんだ。

 

Q:ショービジネス以外の面で、何か夢は?

 

A:僕の夢は、グランド・ナショナルで優勝することなんだ。騎手として優勝するのが無理だったら、調教師やオーナーとしてでもいい、去年僕は騎手としてリングフィールドの競馬に出て優勝したし、今年は僕が騎手だったわけじゃないんだけど、僕の同じ馬がやっぱり同じレースで優勝している。こういうのが、僕にとって本当に素晴らしい瞬間なんだ。僕の夢は、調教師の免許を取って、この中庭を馬でいっぱいにすることさ。

 

その免許を取るのはすごく難しいって知ったんだけど、僕の決心はとても固いよ。困るのは競馬っていうのは本当に金のかかることなんだけど、だからこそ、今回のツアーが成功したっていうのは僕にはとても大切なことなんだ。

 

Q:昔から馬は好きだった?

 

A:僕は労働者階級の出身だから、子供のころ、乗ったのことあるものなんてブラックプールで乗ったロバくらいだった。でも、今でも覚えてるよ、、、1953年に、通りでテレビのある家はうちだけだったんだけど、そのテレビでグランド・ナショナルを見ながら、僕は椅子の肘掛けにまたがって、騎手のふりをしていたのさ。その夢はそのまま消えずに、今でも持ち続けているんだ。

 

14才のとき、ニューマーケットにあったベイジル・フォスターの厩舎で、馬丁として働き始めた。給料はたった3ポンド5シリングで、しかもそのうち3ポンドは下宿代で消えてしまってたんだけど、それでも僕は幸せで仕方がなかったよ。

 

Q:競馬の世界を出てしまったことを後悔している?

 

A:すごくしてるね。モンキーズが解散した後、そのままニューマーケットに戻ればよかったって思う。24才だったから、まだ競馬の世界でキャリアを積めるだけの年だったし。ショービジネスは確かに楽しいけど、僕にとって馬と同じくらい意義あるものってわけじゃないからね。

 

僕は結婚という面では成功を収めてないし、実のところ、僕は人間とより動物との方が心が通じるタイプなんだ。自分の馬といるときは、本当に自分らしい自分でいられる。僕の手を見てごらんよ。手綱を握ったり、干し草を山のように運んだり、三つ又で馬小屋を掃除したりするから、すっかり堅くなっている。そういう場こそ僕が最も落ち着ける所だから、いつの日かきっとここに帰って来るつもりさ。僕のいたい場所はここなんだ。

 

Q:長期的には、モンキーズではどんな計画がある?

 

A:今年が終わったら、何もないね。僕たちがモンキーズをやるのは、これが最後さ。モンキーズをやるのは確かにすごく楽しいけど、どこかに、これが全部終われば人生でもっと他のことができるって、それが待ちきれないでいる部分もあるんだ。