Monkees Monthly #14 (Mar. 1968)

Davy: The Secrets Behind His Jockey Days

by Jackie Richmond


もしも騎手になる決心をしていなかったら、デイビー・ジョーンズがモンキーズの一員になる事はなかったかもしれません。おかしな話に聞こえますが、デイビーが最近この国に来た時、私がデイビーとベイジル・フォスター(有名な馬の調教師)と交わした内緒の話を聞いてみてください。

 

ジャッキー「最初に言葉を交わしたのはいつですか?」

 

ベイジル「デイビーに会いにケンブリッジ駅に行った時だね。最初に彼を見た時、自分にこう言ったのを覚えているよ、『あの子じゃないな、小さすぎる』てね。9才位にしか見えなかったんだ」

 

デイビー「自分だってそんなに大きくないくせに!どの位さ、ベイジル。5フィート5インチ?でも、初めてあなたに会った時は訓練を始めるのが楽しみで仕方なかった。学校を出たら何をするか、父によく話をしていたんだ。もちろん、色々な事を考えた。それで、騎手になりたいと決めたんだ。体が小さいって事もあるだろうけど、小さい事が有利になる職業だって思ったからかもしれない。とにかく、父にどうすればいいか聞いた。幸い、僕の姉の知り合いに新聞記者と親しいヤツがいたんだ。「スポーティング・クロニクル」のリチャード・オンズローって言うんだけど、ベイジルが有名なニューマーケットの調教師だって知っていて、ベイジルと連絡を取ってくれると言ってくれたんだ」

 

ベイジル「リチャードが手紙をくれたんだ。騎手になりたがっている若者がいるので、欠員があれば夏休みに試しに雇ってもらえないかと書いてあった。これは1960年の事だけどね。それから、もし私が興味を持ったのならデイビーの父親に連絡して欲しいとも書いてあった。私はジョーンズ氏に、次のクリスマスに欠員がでる可能性が高いと手紙を書いた。でも、デイビーが夏休みの数日を私たちと過ごすのはいいアイデアじゃないかと思ったんだ、彼が本当にこの生活をいいと思うかどうか確かめるためにもね」

 
デイビー「そんな心配は必要なかったんだよ。僕はもう心を決めていたんだから。父から厩舎で数日間過ごす事になったと聞いた時は、興奮しすぎて、その大事な日が来るまでほとんど眠れなかったのを覚えてる。出発の時が来るずっと前から僕の準備は出来ていたんだ。それから、父と姉たちにさよならを言って、列車が駅を出る時に手を振っていたのを覚えてる。そしてベイジルに会って、ケンブリッジ駅からベイジルのジャガーでニューマーケットまで行った。僕が読んだ話では、屋根裏の干し草で寝たり、ほとんど何も持たずに生活しているものがあったけど、僕の試用期間はベイジルと一緒にだったからかなり楽だった。ベイジルと彼の家族とも親しくなれた。彼には息子と娘、デビッドとスーザンがいて、3頭の犬ウィリーとレックスとベティーがいた。オウムもいたけど、なんて名前だったっけ?」
 
ベイジル「ポリーだよ。君はいつも彼女に何か言わせようとしてたけど、何も覚えなかったな」
 
デイビー「あなたの奥さんはとても良くしてくれた。彼女が最初に言ってくれた事を覚えてるよ、『フォスターさんの事は気にしないで。あなたを怒鳴ったとしても、本気じゃないの。口で言うほど怖くないから』ってね」
 
ベイジル「デイビーが私たちと家族のように過ごすのはいいアイデアだと思ったんだ。彼の父親が手紙で知らせてくれたんだが、デイビーは母親を亡くしたばかりでとても動揺していたんだ。私が妻にその事を話すと、彼女はすぐに賛成してくれた」
 
ジャッキー「デイビー、厩舎ではどの位過ごしたんですか?」
 
デイビー「正確には覚えてなくて、何しろ随分前の事だから。ただ1分1秒が愛おしかったのは覚えてる、まあほとんどはね。着いた翌朝は早く起きて、飼育場に行って厩務員に会ってきた。厩務員のリーダーのビル・エバンスに紹介されて、彼に僕がやらなきゃいけいない事を教えてもらった。すぐにそれが日課になったよ。朝、馬たちの日課が終わると僕はベイジルとギャロップしに行って、馬たちの中から1頭に乗せてもらったんだ。初めて本物の競走馬に乗った時の事はよく覚えてる。素晴らしい気分だった、レースに出たらレスター・ピゴット(訳注:英国の騎手で、通算成績は5300勝。日本で言えば武豊のような名騎手)にも勝てるような気がしたよ」
 
ベイジル「デイビーは本当に素晴らしかった、彼は身体が小さくてもいつも一生懸命だったし、ポニーにしか乗った事はなかったが、すぐに上手く乗れるようになるのが分かった。夏休みが終わって彼が家に帰る事になり、分かれる前に彼を事務所に呼んで、この生活が気に入ったかどうかを聞いたんだ。その時は彼が騎手になる事を諦めるかもしれないと思っていた。どんな天気でも朝は早いし、馬に餌をやって、毛並みを整えてやって、騎手になるにはそんな終わりのない大変な作業が付き物だからね」

 

デイビー「ベイジルが言った事はよく覚えてる。彼は威厳に満ちていた。僕がここで数週間過ごして、もう家に戻る時だと言った。そして、僕が騎手の見習いになりたいかどうかを見て知るには充分な時間だったと言った。彼はこうも言った、もし僕が気持ちを変えても何も恥ずかしい事はないし、悪く思われる事もないと。彼はよく分かっていたんだ、見習いになってからでは遅すぎるってね。彼は「気持ちを決めるのに明日の朝まで時間をあげよう」と言ってくれたけど、僕にはそんな時間は必要なかった。僕の心はもう決まっていたから、彼に気持ちを変えるつもりはないと言った。ベイジルはそれで「分かった。君のお父さんに知らせておこう。クリスマスに学校が終わったら、ちゃんと仕事が始められるよ」と言った。僕はすっかり有頂天になったのを覚えてる、有名な騎手への道を着々と進んでいたんだからね。実際、学校が終わって戻ってこれるのを待ちきれなかったよ。僕が2度目に旅立つ時、父から大切な事を聞かされた。気を付けなければならない事、フォスターさんの言う事は何でも聞くようにする事。つまり、息子が初めて家を離れる時に父親が言う普通の事さ」

 

ベイジル「もちろん、冬の間の厩舎は大変だったんじゃないかな。朝まだ暗くて凍えるような早い時間に起きるのは簡単な事じゃないし、ニューマーケットはとにかく寒くなるからね!」
 
デイビー「凍えたのは覚えてる。最悪だったのはあの冷たい水で洗濯する事だね、う~寒い!」
 
ベイジル「今なら笑えるだろうけど、彼の最初の給料は、1年目の見習いは全員同じなんだが、週給1.5ポンドに食事と寝床がついていた。そこから毎週5シリングを衣服代に充てなきゃいけなかった。最近は毎分それ位稼いでるんじゃないかい、デイビー」(訳注:当時は1ポンド1,008円なので、週給1,512円。物価上昇を考慮して4倍にしても、週給6,048円)
 
デイビー「そうかもしれないけど、ほとんどはそのまま税金に持っていかれるのさ!」
 
ベイジル「彼は厩舎の仕事を少し経験していたから、一度も厩舎で働いた事がない他の厩務員よりも見習い期間の最初の数週間はデイビーにとってはやりやすかっただろう。それに夏休みの間に他の3人の見習いと知り合いになっていたからね」
 
デイビー「今でも3人を覚えてるよ、そう3人いた!ゲイリー・クーパーとジェレミー・グローバーとキース、キース何とか」

 

ベイジル「キース・ビーソンだよ、彼は今アメリカにいる。ジェレミー・グローバーはナシュナル・ハント(訳注:障害競馬)で有名な騎手になった。皆、仲が良かったみたいだね」

 

デイビー「厩務員のリーダーのビル・エバンスにはよく怒られたよ。彼にいつもジャガ芋が入った袋が乗ってるみたいだって言われてさ。でも、皆しょっちゅうお互いにイタズラし合っていて、それも楽しかったよ」