Mental Flossのインタビュ―より(May 14, 2014)

 

あなたが小さかった頃、ご家族は引っ越しが多かったそうですね。デトロイトにも短期間住んでいませんでしたか?

 

僕の弟は1927年にデトロイトで生まれたんだ(笑)、うん、1927年だったと思う[注:実際には1947年生まれ]。弟がデトロイトで生まれた時、僕は2才半位だった。その次は第2次世界大戦直後のドイツに住んでいた。僕の父は占領軍にいたんだ。で、戻ってきて、(ウィスコンシン州)マディソンで父は大学院の学位を取った。それから、とうとうコネチカットへ移住して、父はコネチカット大学で終生教鞭をとることになった。

子供の頃はドイツ語もかなりしゃべれたけど、もう全部忘れてしまったよ。今は一言も話せない。実際、覚えてるのは1から10までの数字だけなんだ。その頃はかなりたくさんのドイツ語を使っていたけど、覚えてるのはそれだけだね。

 

弟さんと言えば、プロのアメフト・チームでプレイしていたことはありませんか?以前、ハワード・コーセル(米スポーツジャーナリスト)が、グリーン・ベイ・パッカーズのエリック・トーケルソンはピーター・トークの弟だと話していたと思うのですが。

 

いや、彼の名前は発音通り、「H」が入ってないトーケルソンだよ。僕の名前は "Thorkelson" で「H」は発音しないんだ。エリックはコネチカット大学でもプレイしていたから、余計にまぎわらしいのさ。

 

今回のツアーのセット・リストはどうやって決めたのでしょうか。どんな曲を聞けるのか教えてください。

 

やろうと思ってる曲のほとんどは、限りなくレコードに近い形でやるつもりなんだ。最近わかった事があってね、"I'm A Believer" の、素晴らしい品質のを非公式に見つけて、そうとは気づいてなかったんだけど、「ゆるい」グルーブみたいなものを、僕たちは手に入れていたんだ。このバージョンもいいよ。それとは別に、"Mary Mary" もやるよ。マイクが「ここをもう少し強調しよう」って言ったから、モータウン風のバック・コーラスを入れてる。マイケルが書いた曲でもうひとつ "The Kind of Girl I Could Love" は当時、ボー・ディドリーをイメージしてたんだって。でも僕らがレコードを作った時は全然そうはならなかった。だから、ちょっと立ち戻って、ボー・ディドリーというよりはマイクが元々構築した形に持っていったんだ。

 

モンキーズは「実際の」ミュージシャンではなかったと揶揄されてきましたが、あなた自身はギターからフレンチ・ホルンまであらゆる楽器を弾きこなしますよね、私の記憶違いでなければですけど。

 

このツアーでフレンチ・ホルンは吹かないよ。でも、ギターとベースとバンジョーとキーボードは演奏する。ピアノのレッスンは5、6年受けたんだ。いくつもの楽器を手にとって音を鳴らしてきた。十分な時間さえくれれば、フルートだって吹ける。ブルース・ハープ(ハーモニカ)も吹けるし、あ、それと縦笛!僕が覚えてる限り家の中にはどこにでも縦笛があったんだ。

 

モンキーズ3枚目のアルバム"Headquarters"はグループがすべての演奏を行い、楽曲もほとんど手がけた初めてのものになりましたが、元々あなたはスティーブン・スティルスをプロデューサーに推薦していたという話を聞きました。チップ・ダグラスのプロデュースとは異なる、どんな作品になったと思いますか?

 

もっと奇抜な感じになったと思う。チップ・ダグラスはすごく正統派のミュージシャンなんだ。モンキーズの成功に関して言えば、スティーブンの方がいいプロデューサーだったかどうかは分からない。ただ、もっと奇抜な感じになったと思うし、演奏も幾分リラックスしたものになっただろうね。スティーブンは溢れんばかりの感情の持ち主で、プロデュースの機会がなかったのが残念だよ。いいアイデアだと思ったんだけどね。

 

アルバム "Headquarters" に入っている曲で、あなたが作った "For Pete's Sake" がTVショーのセカンド・シーズンのエンディング・テーマに使われていますが、どうしてこの曲名になったのでしょうか?

 

この曲は、マイクが名前をつけた。マイクは曲の内容やテーマとか、歌詞とはまったく関係ない曲名をつけるのが好きで、この曲を "For Pete's Sake" って呼んだら面白いと思ったんじゃないかな。僕もかっこいいと思って。スタジオに曲を持ち込んだ時、僕はまだ曲名を考えてなかったんだけど、みんなが「いい曲じゃん、アルバムに入れようよ」ってなって、そうなった。で、TVショーのプロデューサーのひとり、ボブ・レイフェルソンが番組のエンディング・テーマに使うことを決めたんだ。
誇らしいよ。映画 "Head" でも "Can You Dig It" と "Long Title: Do I Have To Do This All Over Again" の2曲を書いた。この2曲もツアーでやる。バンドがすごく良くてね、上手い事やってくれるんだ(笑)。Headのコーナーもあって、 "Porpoise Song" もやるし、デイビーが素晴らしいダンスをする"Daddy's Song" のビデオも流すよ。 
 

"Headquarters" でどうしても確認したい曲があります。"Zilch" って一体全体なんなんですか?

 

僕たちにはBチームっていう、四六時中そばにいる、代役とかボディガードとかスタッフとか、それから僕たちがモンキーズになる前からの友達とかがいて、アイデアとか色々僕たちのために持ち寄ってくれてた。その中の誰かが "Mr. Dobolina, Mr. Bob Dobolina" っていうのを、実際に空港の呼び出しで聞いたんだ。それと、"China Clipper Calling Alameda" はハンフリー・ボガートの映画からで。"Never mind the furthermore…" は誰のアイデアだったかな。

 

それ、映画「オクラホマ」のセリフですよ!

 

ホントに?そうなんだ。あと "It is of my opinion that the people are intending…" は覚えてないな。僕たち4人は、"Headquarters" で作る過程を楽しむアルバムにしようと思っていた。"Band 6" っていう、ちょっとワーナーブラザーズ・アニメのテーマ曲みたいなやつなんだけど、ただふざけてるだけの、バカみたいな曲もある。僕たちは「ありきたりな、よくできたポップ・レコードを作ってるんじゃない。これこそ、僕たちのアルバムだ。」と思ってた。僕たちには、テープが回ってる間は狂ったようにハメを外せる場所があったんだ。

 

("Heaquarters"の)次のアルバム"Pisces, Aquarius, Capricorn and Jones Ltd."では、世界に先駆けてモーグ・シンセサイザーを使用している点が独創的ですね(ミッキー・ドレンツが市販品の3台目を購入)。

 

僕がミッキーの家のパーティーに行ったら、ミッキーがモーグ・シンセサイザーの設定をやっていたんだ。だから、みんなに「ミッキーって、すごく腕のいいシンセサイザー奏者なんだぜ。必要なことはミッキーが本当にやってくれるんだから。」って言ったら、ミッキーが「うん、でも自動演奏にできれば、もっといいんだ。」と言って、つまみを3,4,5ヶ所ひねった。そしたら、モーグが「ウーウーウー」と鳴り出した。いつまでも、ただリピートするんじゃなくて。ループしてるのとも違って、モーグ自体が演奏しているみたいだった。すごく感動したよ。

今回のツアーでは、"Daily Nightly" はやってない。僕は "Salesman" をやりたかったんだけど、お気に入りの曲のひとつでね、でも残念ながらこれもやってない。"Tapioca Tundra" と "No Time" は聞けるよ、これはこのインタビュー用にとっておいたんだ。

 

お時間とっていただいて、ありがとうございました。モンキーズはTVショーとアルバムの両方で長年多くの人を笑顔にしてきました、素晴らしい楽曲の数々に感謝です。

 

そう言ってくれて、ありがとう。僕は思うんだ、誰もが世界を良くすることができると。来る人あり、去る人ありってことさ。