【在来作物】「田川100年かぶ」の100年の秘密 | 【食文化研究日記】山形県の在来作物と東京レストラン

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在来作物は「お金のための作物」ではなく「命のための作物」。私たちはその作物を中心に携わる生産者、料理人、飲食店、消費者を介しその大切さを発信します。



『 田川かぶ 』

田川かぶ



山形県鶴岡市田川(たがわ)地区で伝統的な焼畑で栽培されてきた。

「田川(たがわ)かぶ」は『100年かぶ』と言われている。

それは、一度収穫したら同じ場所で作られるのが約100年後になるからだ。

焼畑は杉林を伐採し行われる。


杉が成長する100年の間、山は杉の腐葉土によって豊かにされていく。

人々は「田川かぶ」が最も美味しくなるその時まで、

世代を超えてじっと待つのだ。



このように杉を切って、かぶを育て、そして植林するという

循環によって長年栽培されてきた。

しかし、実
は今このサイクルに歪みが生じている。

木材の輸入自由化によって杉の価格が低迷。

そのため、伐採する山が減り、「田川かぶ」を栽培する場所の確保が

難しくなってきているのだ。



在来作物の悲しい歴史のなかで、

人の生活スタイルや経済事情の変化によって絶滅してしまった

種はいくつもある。



在来作物は多様性、文化財的な要素、安全安心など

優れた価値を数多く有している。

その在来作物達を守り発展させることが

食文化の発展にも繋がるのではないだろうか。