その少年は、野球人だった。

常にレギュラー争いの中に置かれ1つの油断が命取りになるそんな環境にいた。

怪我を認めた瞬間その争いから離脱してしまう。そんな過酷な世界。

なので頭の中は、、、

突き指=クシャミ。

捻挫=鼻水が出る。

打撲=ニキビが出来た。

こういった具合に軽い症状に変換されていたのである。

そしてコレを人は

「いやいや、やり過ぎだわ(笑)」という。

実際当の本人だった僕も今はそう思う(笑)

でもその頃は思えなかった(笑)

そして、その変換術は今でも残っている。

ここ最近の僕の出来事である。

いくつもの海外の仕事を連続してこなし間髪入れずに地方に赴き大会に参加するという日々を過ごしていた。

その海外遠征の最中身体に違和感があった。

がしかし気にも止めていなかった。

「どうせすぐ治る」

こう考えて...

そして海外から帰宅し大会のため間髪入れずに大阪へ移動した。

大会付近の僕は、やる気しかなく仲間といるのもあって違和感のことなんか気にも止めていなかった!

しかしふとした瞬間に...

ピリッ...

電気が走ることがたまにあった。

でもモーマンタイだった。なぜなら大会に向け気合が入っていたから。

そしてその大会で惜しくも敗退し、気を緩めたその日の夜からヤツが頻繁に現れるようになった。
その名は、「イタミノ・ペイン」

目が覚めて起きる時

ビリッ!

座ろうとしたその瞬間
ビリリリッ!

クシャミが出そうなその瞬間...

へ...

へぇー


ヘーック...


ビーーーーーンッ

と、こんな具合である。

どうもおかしい...

身体からのサインなのか何なのか...

そして嫁にも相談し、流石に痛いので病院で診てもらう事に決めた。

迎えた診察初日...

様々な質疑応答があり、ベットに横になった。

原因であろう所へ数本の局部麻酔を打ち、皮膚を切り穴を開け、その中をグリグリ...

それまでのヤツとは違った...
イタミ・ノ・ペイン。こんな可愛いヤツじゃなかった...

上には上がいた...

その名も「ギダビド・ベイン」

スケールが違った...

僕はベットで声を失った...

この状況を「悶絶」と言うんだと思う。

もしくは「チーン。」と言うんだ。

まさに地獄の数十分。痛みのあまり色んな筋肉がツッタ、ツーツタツン、ツッタ、ツーツタッ♫

そして帰り際先生がこう言った。

「明日から毎日来て下さい。」

そして僕は答えた。

「...はい」

その声は蚊の羽音よりも弱かった。

だって痛いんだ。

見たでしょ上の写真。

コレだもん!

ヤバいですって...

帰り際、痛みは消えていなかったのでゆっくり歩いてる僕の横を子供達が遊んで駆けっこをしていた。

そして言ったのである。

「はい、お前の負けー!」

...

お前の負けー...

...

この言葉が頭の中に響いた。

そして僕の中で何かが目を覚ました...



そうだった...

忘れていたよ...

あーこの痛みよ

コレは確かに痛いかもしれない

でも踊っている時のアクシデントの際に伴う痛み

今の痛みより上は無いんじゃないか?

そう思うといいトレーニングじゃないか!?

痛みのタフネス

それを乗り越えた時のサクセス

その境地に立った僕の喜びは隠せず

よーし...

明日からは痛みを受けに行くんじゃない...

痛みに挑戦をしに行くのだ...

その先の姿のために...

そう考えを変えたのである!

そして、迎えた診察2日目...

僕はベットにやる気満々で横たわった...

先生が作業を始める...

...っ!?


僕はまた声を失った...


次回に続く。