「翔大」若干33歳。
現在、三浦大知のサポートダンサー&ダンス演出の総監督として働きながら多くのイベントの企画や運営なども任されるほどの人物である。

そうこの人物こそ今回ステージ上の自分の反対側で踊っていた大きめの男である。

まずはこの男と私の出会いから話そう、、、

ダンスを若さ故の勢いでひたすら踊っていた下積み時代、彼は「アフロイズム」というチームに所属し、私は「フォーマーアクション」というチームに所属していた。お互いPOPというジャンルを踊っていた。

私たちはバッチバチだった。

なぜか?

それはこの頃、我ら「フォーマー」は“チケットノルマを捌き”イベントに参加させてもらっていた。

そう、イベントに“出させて頂いていた“のだ。
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対する「アフロ」は“ゲストとして招待”されキャーキャーの声援の中キラキラ踊っていた。

そう、イベントに“出てあげていた”のだ。
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冗談はさておき(笑)

正直すでにうちらの間には大きな差があった。

それでも負けじと私達も血の滲むような特訓や経験を積み、対等に踊りあえるようになり勝ったり負けたり、WIN OR LOOSEを繰り返した。

その関係は何年も続いた、、、。

年月が経ち年も重ね、大人になり険悪だった関係から交友的な関係へと変わっていった。

そして翔大は、大知くんのサポートダンサーとしても活動したり新たな道を切り開くようになり、私は変わらず踊り戦う道をひたすら進んでいた。

そんなある時、2人を引き寄せる出来事が起きた。

そきっかけは、三浦大知くんだった。

大知くんのLIVEで「REPLAY」のPVを再現したい。
という事でダンサーズヒーローの招集でお声がかかった。

そこで久し振りの再会&共に同じステージで踊ることになった!

そして今回、、、

めちゃイケの企画でまた同じステージに立つ事になった。

しかし、

今はそのステージに向けてのリハーサル室での厳しいチェックの真っ最中である、、、

ここまでブレイク、ロックと順調にチェックをクリアしてきた。

そして、そのやりきったダンサー達が爽やかに戻ってくる。

そのメンバーとハイタッチを交わす。
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「ナイスゥーっ!」※小声で

「イエーイッ!」※小声で


すると、、、


「はい!ではー、、、」
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ひっ。

来たっ!

POPの番だっ!

、、、。

「REPLAY、以上になりま〜す。」

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ズコーッ!

翔大も一緒に♫

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ズコーッ!!!

会場の雰囲気が一気に和んだ(笑)

そう、緊張している僕らを察して岡村さんの緊迫した空気を和ます一言。

一気に踊りやすい空気になった。

そして、その雰囲気のままチェックへ。

練習は何度もした、間違えるもんか!

どうだっ!!!!

踊りきった!

やってやったぜっ!

さーチェック!

、、、。

「えーっとですね、、、」

「!?」
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うー赤ペンチェックが入った、、、。

少し皆の感覚がズレていたようだ。

ほんの少しのニュアンス、そこを合わせる必要があった。

そう、大知くんに妥協や甘えはなかった。

ベストのパフォーマンスをお客さんに届けるために繊細に合わせる。研ぎ澄ます。

アーティストの鏡だ。

そして、おのおの課題を見つけ本番に向けて修正する事になった、、、

このチェックが終わった後も岡村さんは鏡に向かい練習していた。

そう、この人もまたアーティスト鏡だった。

繊細に、研ぎ澄ます。

そして私、いやダンサーは皆気付いていた。

このチェックの際、1番悠々と楽しんで踊っていたのは岡村さんだった事を。

あの緊迫感の中、誰もが力んだり空回りするあの状況の中、平然と踊ってみせた。

それは、ここまでの日々の桁外れの練習量、それが岡村さんの気持ちを支え、自信に繋がっていたのだ。

相当な練習、そして相当な経験を積んで来ているのだなと感じた。

それと同時に僕らも見習わなければいけないなと思った。

そして月日は過ぎ、、、

チュンチュンチュン。

ガバっ!

朝だ!

今日は本番当日!

いざ今宵の戦場、大宮ソニックシティへ!!

という事で午前中のうちに会場入り。入念なリハーサルを終え。後は開演を待つだけだった、、、

皆準備は万端である!

そして、お客さんが会場に入ってくる!

僕らの楽屋は地下一階で衣装のチェックや進行の確認。身体をほぐしてもらったり、ストレッチしたり、自分で音楽を聞いたり、彼女ができたか聞いたり、ご飯を食べたり、皆が集中してるのにひたすら話したり。

ただ、、、

ダンサーは皆、岡村さんのいる一階のフロアー、楽屋には行けなかった、、、
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何かを感じていたからである。

すごく重い空気を、、、

岡村さんの楽屋から感じる空気は普通ではなかった。

スタッフさんが見てるドア。
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僕らから見えるドアはこう。
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入れない、、、

入れやしない。

そして本番寸前、舞台裏で皆で円陣を組み、大知くんの掛け声のもと気合入れ!

いよいよだ。

まずは初っ端!

あ。
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ここで気付いた。

初っ端から岡村さんの出番がくる。

しかも「無音ダンス」

皆が凍りついた。

本番の頭、つまりまだお客さんも暖まっていない空気の中踊る。

これは場数を踏んで慣れていないとステージの魔物に食われる。

でも岡村さんはその場数は誰よりも踏んでいた。

大丈夫だ♫
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ひっ。
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コレは違う。

コレは違うのだ!

音楽があれば会場の空気は動き、お客さんも乗り、踊りやすくなる。音楽がエナジーをくれるのだ!

でもこのパートは、、、

「無音ダンス」

エナジーがない。

初っ端に無音ダンス。

なんて過酷な状況なんだ。。。
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一瞬頭によぎった。

いや、でもあの岡村さんなら大丈夫。あれだけ練習したんだ、、、

そんな心配とは裏腹に公演はスタートした。

大知くんがスモークの中から現れ歌い出す、、、

会場も待ってましたと大興奮!

スモークが広がり照明が変わり気付けばDMダンサー達がステージ上に!

イッツ、マジック!!!

そして歌と踊りが交わっていく、、、

一寸のブレもない動き、、、

繊細かつ滑らかな身体の運び、、、

そして、、、

音が消えていく、、、

 さー出番です!

ポジションに着く、、、

大知くんをキッカケに皆が動き出す、、、

息を飲むステージ裏、、、

時が止まったかのように静まり返る会場、、、

響くステップ音、、、

すごい!

乱れていない!!

皆の波長が1つになっている、、、

そして、、、

上げた手をゆっくり下ろす、、、

、、、

そしてダンサーがステージからはける、、、

すごい、完璧だ!!!!!

あり得ない!

あの状況の中ここまで出来るなんて。

楽屋に戻る岡村さんの背中を見て、、、

こう思った。

あの人は、、、

あのお方は、、、
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全てを可能にしてしまうんだと!

すげーや、すげーよ、岡村さん!!!

よし!

うちらだって!

皆の士気が一気に上がった。

そしてライブは大盛り上がりのまま進んでいく。

流石、三浦大知!!

確実にベストを出す。

プロフェッショナル中のプロフェッショナルだ。

そして皆が集中し楽屋がみんなの集中力で充満する。

そこへ、、、

!?

岡村さんだ!

わざわざうちらの楽屋まで来てくれた!

張り詰める緊張感を会話で一気にリラックスモードへ。

色んな話をしてくれた、しかも出番までの約一時間近く。

そして出番が近づき、、、

「よし、準備しよ!」

「はい!!!」

皆の気持ちは1つだった。

この時の僕らは、冷静と情熱の間にいた。

コレは踊る上で理想的な心理状況。

この状況を岡村さんは作ってくれた。

どんだけ素晴らしい人なんだ、、、

、、、。

これだけ素晴らしい人なんだ。

そして衣装に着替え気持ちを整えスタンバイ。

舞台では大知くんを先頭に皆が会場をロックしていた。

僕らは舞台裏で円陣を組んだ、ダンサーズヒーローの円陣。

気合いを入れて皆、握手で肩ドンッ!

握手で肩ドンッ!

よろしくって言いながら

握手で肩ドンッ!

さースタンバイだ!

大知くんが客席に語りかけ曲がスタート!!!

地鳴りのような声援!

心拍数が上がっていくのが分かる、、、

さーまずはBBOYチーム。

メンバー登場!※ニット忘れたのは内緒(笑)

ここでより一層の声援!

声援で足が浮きそうだ!!

その歓声の中メンバーが踊る、、、

軽快なステップ、、、

上下の運動、、、

その顔は自信に満ち溢れている!

動きは機敏だ!

回転も合わせ、立ち上がる!

そこから岡村さん!?

なにー!ウィンドミルッ!!!!

やりました!岡村さんがやりました!(笑)

それでも曲は進んでいく、、

続いてサビパートへ!

DMダンサーが登場し岡村さんも混ざり踊る。

一体感が大事なこのパート、皆がお互いを感じながら踊る、、、

ビートだけでなく歌のフレーズにも乗せて動くこのパートは全く今までとは違う感覚。

皆が音になり歌になっている、、、

まさに一心同体、、、

そのパートが終わると、、、

次はLOCKチームだ!

!?

あ!帽子!!!

岡村さん取っちゃった(笑)

でもそのまま振り付けへ突入!

皆の動きがリンクする、、、

手先指先♫

肩、背中♫

肩甲骨からこ・つ・ば・ん♫

ヒザ関節から足首つま先♫

全てがリンクし、ムーブになってく♫

そこにリズムも刻まれて♫

ゆー、あー、そー、そー、そーふぉんきぇーぃ♫

あんたらみんなSO FUNKY♫

その姿はまさにFUNKYだった!!

この一個でも間違えれば流れに戻れない難しいフリを焦ることなく踊りきるメンタル、、、

ゴイゴイスー♫

そして決めポーズ後は、、、

そう、我らがPOPチームの出番である、、、

しかし今から洗濯物を入れなくてはならない、、、

続きは洗濯物をしまい終わった後で。